私の結論
寒冷化よりも温暖化のほうがはるかにましです。
地球の気温に恒温なんてありえないのですから。
いま人類にとって焦眉の問題は「人口爆発」でしょう。
2050年には人口は百億になります。
地球の食料生産力を考えると、百億人が限度です。
この百億という数字に、専門家の異論はありません。
地球が寒冷化すると食料生産力は落ちます。
人類の歴史を見ると、ホモサピエンスは共食いができる動物です。
食料が絶対的に不足すると、人間は戦争と共食いを始めます。
そうなると、いまの文明は一挙に崩壊するでしょう。
それでも温暖化はいやですか?
2001年1月 | バイオマスアルコールの記事が「朝日」に出る。 |
2001年6月 | ドイツが原発全廃を決定。 |
2001年9月9日 | 原発反対論をすこし後退させる。トリウムを使う新型原発の話です。 |
2001年12月1日 | 「気象予報」をすこしブラッシュアップ。 |
2004年8月 | 最後のほうに少し加筆。プラズマ兵器関係。 |
2007年5月 | 全般的に加筆、訂正。ただし、趣旨は不変。 |
2007年6月 | 一部(温暖化懐疑論に関する部分)追加。 |
2007年8月 | 「地球温暖化(狂)時代〜環境バカ騒ぎを斬る」を追加。 |
2008年4月 | 田中宇氏の温暖化懐疑論を追加(下記にリンクがあります。) |
2009年6月 | たかじんの「そこまでいって委員会」で。 |
2009年8月 | 「ウランからトリウムへ――世界の核燃料戦略を読む」 ここから「オバマの戦略」へ飛びます。 上記01年9月の話のその後です。おもしろい。オバマの戦略のバックボーンが見えます。それにしても「『原発』革命」(01/8発行 文春新書187)の著者古川和男氏には先見の明がありますねえ。それに、原発反対論を01年に後退させたわたしも先見の明がありますよね、我ながら(^^;)。 |
2012年1月 | 福島原発事故について――福島の事故を見て、主張を変更して(変節して)、やはり原発には反対せざるを得ない。トリウム原発でもイヤだなあ。 |
前書きに代えて
● ネットには、まじめな温暖化懐疑論が結構あります。下記はそのサンプルです。わたしの話よりもこちらのほうが信じやすいでしょう。論者は東大生産技術研究所・副所長 渡辺正氏。ぼくはこれを2007年8月に読みました。以下の文章はもちろん、そのずっと前に書いています。
「地球温暖化(狂)時代〜環境バカ騒ぎを斬る」
● 下記は近藤純正氏(東北大名誉教授)の論文で、「気象測候所は都会にあるので、ヒートアイランド現象を受けて、気温上昇という観測結果を出しているが、田舎の観測所のデータでは気温上昇ははるかに軽微だ」という意味のことが書いてあります。農業試験所にも気温観測のデータがあるのだから、それらもきちんと調べて、調査しようという意味のことが書いてあります。データも豊富です。
近藤先生【温暖化は進んでいるか】へのリンク http://www.asahi-net.or.jp/~rk7j-kndu/kenkyu/ke04.html
● まともな評論家・田中宇氏のネット配信記事です。配信されたのは08年4月23日。微に入り細にわたり、IPCCに対して疑問が投げかけられています。炭酸ガスが温暖化の主因とする説への反論です。まずこのあたりを読んでほしいと思います。
田中氏【温暖化問題の裏側】へのリンク http://tanakanews.com/080422warming.htm
● 二酸化炭素の増減は海面水温の上下を後追いしているという論文です。資料もきちんとしていて、素人にもわかりやすい。つまり、温暖化と炭酸ガスは関係ない、という話です。一読を勧めます。
近藤邦明氏【大気中二酸化炭素濃度と海面水温・気温の関係】 http://env01.cool.ne.jp/global_warming/report/kondoh01.htm
●大阪発の民放に「たかじんのそこまで言って委員会」という番組(福岡では日曜の13時30分から1時間半。東京では見られない)があります。2009年6月28日の番組に武田邦彦氏(名古屋大名誉教授で反リサイクル論者としておきます)がゲスト出演して、「あなたがいま一番重要だと考える問題点は何ですか?」という質問に対し、武田氏はおおむねつぎのように答えていました。「いちばん緊急の問題は食糧問題。温暖化問題はほっておいてもいい。温暖化が最初に現れるのは大陸の国家。日本はまわりが海なので、温暖化は一番あとになる。温暖化が本当に大変なら、まず大陸国家が騒ぎ出す」【西府注:寒い国、とりわけロシア、カナダは温暖化歓迎でしょう。あの広大なシベリアが生きてくる――凍土の上のシベリア鉄道の改修は大変でしょうけど。シベリアはもちろんカナダの氷の下にもたくさんの地下資源がありそうだ】
趣旨はわたしの主張とまったく同じでした。
「本当に温暖化するのなら、そして温暖化が不都合なら、大陸国家がまず被害者になるので、かれらがまず騒ぎ出す」という視点は新鮮でした。
水の比熱を1〈物質で最大〉とすれば、土砂の比熱は概略0.15ぐらいでしょうか。つまり、概算7倍ほど大陸国家の方が日本よりも暖まりやすいということです。大陸は空気も暖めるので、その影響を考えて、概算5倍ほど大陸の方が日本よりも暖かくなる、と考えても良いと思います。なお大気の比熱は0.24です。大陸で暖められた空気は、日本海や東シナ海を渡ってくる間に冷やされます。【注:比熱が小さいほど「暖まりやすく冷えやすい」 水を1とすれば、鉄は0.1です】
いくら大気が暖かくなっても、海水は事実上、暖かくなりません。その計算は下記。【Excelを用いた地球温暖化計算】http://homepage1.nifty.com/gfk/heat-capacity.htm
海の温度を1度上げるためには、約1000度ほど大気の温度を上げる必要があります。もう少し現実的には、気温が1度上がれば、海水温は0.0001度上がるということです。これは手計算でもできます。
つまり炭酸ガスが温暖化の原因なら、海は絶対に暖かくなりません。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、海も暖かくなると言っているけど、なぜでしょう? 海が暖かくなるのは、太陽活動の影響です。炭酸ガスのせいで海が暖かくなると言うのは、風呂を沸かすのに風呂場の空気を暖めて沸かそう、というのと同じことです。どんなバカでもそんなことはしません。
■ ぼくを含め真面目で正直で、自分で考えようとする人間(^^;)なら、「温暖化!」なんて騒がないでしょうという話。この騒ぎの責任の大半は、権威に迎合することしか能がないテレビと新聞つまりマスコミです。戦前の「大本営発表」を笑ってはいられません。若い人は、大本営なんてわからないだろうなあ。
以上、前書きに代えて。
● 東北大震災と福島原発事故について ――(2012/1/10) 原発再稼働に反対するために、「福島県の農産物は買わない」という実力行使に打って出よう! これなら、カネも力もない庶民でもできる。
原発の恐ろしさは知識では知っているつもりだったが、3.11の福島原発の事故を目のあたりにして、その恐ろしさが実感として、経験としてわかった。経験しなければわからない、ということだが、本当にぼくはバカだったねえ。福島の事故であと一つわかったことがある。原発に関し、日本の大企業の代表である東京電力と経産省が嘘をついていた、ということだ。信じられるのは自分の感性だけだということだろうか。
原発で一旦大事故が発生すれば、日本では逃げ場がない。原発事故の防止は津波対策や地震対策だけですむものではない。スリーマイル島(1979/3/28)・チェルノブイリ(1986/4/26)・福島(2011/3/11)と三度の原発大事故があったが、前の二つはヒューマンエラーで起きた。To
err is human である。ブレーキとアクセルの踏み違いで生じた事故(「左足ブレーキ」を参照)のうち、ほぼ100%の人は、本気で踏み違いを認めない。踏み違えたことさえ気付いていない。これは日本でもアメリカでも同じである。
人が管理するものはかならず事故を起こす。事故が起きると取り返しがつかないものは、絶対に使うべきではない、と普通の人なら考える。「想定外でした」では通らない話なのだ。そのうえ日本は地震国だ。誰が考えたって、日本では原発は無理だ、という結論になる。
それなのに、原発の安全対策として、非常時電源の確保にしか目が行っていないのは、本当におかしい。
現時点(2012/3)で何基の原発が動いているのかよくわからないが(たぶん4,5基)、2012年6月には、再稼働がなければ全原発が止まる。ボクの勘だけど、それでも何とかなると思う。現になんとかなっている。電力不足は使用量がピーク時の不足なので、それを乗り切れば、電力不足なんて、起きない。夏季の10時から15時ぐらいが問題なのだ。大きな工場なら、それくらいの対策はすでに考えている。とりあえず、昼番を減らして、夜番を増やすのがいちばん簡単だ。労務費は多少高くなるが、一時のことだ。場合によっては、夏季だけ昼番を廃止して、オール夜番という手もある。工場長以下、全員が夜番になる。中小企業の工場では社長を除く全社が夜番で働けばいい。大企業の本社では無理だが、工場ならこれができる。
火力発電は燃料費がかかって電力費が高くなるというが、本当だろうか? 原子力発電の費用は、核廃棄物の最終処理の費用まで含んでいるのだろうか? 原発のある地元にばらまいているおカネまで含んでいるのだろうか?
54基4896万kWの90%以上が止まっている現在でも、冬場とはいえ、電力不足は起こっていない。原発がなければ、日本の電力は不足するというのは、電力会社が意図的に流した嘘だとしか思えない。
原発再稼働に賛成する人、組織(といっても、結局は人だけど)がある。筆頭は現民主党政府。新聞なら読売、産経だ。人なら寺島実郎(三井物産戦略研究所会長、財団法人日本総合研究所理事など。サンデーモーニングのコメンテーター)、ほかにもたくさんいるだろう。
こういう強力なメンバーに対抗するには、理屈ではだめだ。庶民には理屈に反論する資料がないし、知力もない。それ以上に、反論を組織するカネもない。かならず、負けてしまう。われわれは、原発は手におえない、と肌で感じている。その直感を信じるしかない。ここはわれわれ庶民がヒステリーを起こすしかない。理屈ではない、嫌なものはいや、である。ただし、それだけでは無力だ。態度で示す必要がある。だから、「福島県産の農産物は買わない」という実力行使(暴挙!)に打って出る。繰り返すが、理屈ではない。ヒステリーを起こすのだ。原発事故が起きれば、事故原発のある地元は、少なくとも30年は立ち上がれないほどの損害を被る、ということを世間に知らしめる。これしか対抗策はないと思う――福島県の人には気の毒だが。
沖縄のひめゆりの塔で説明していたおばあさん(いまのぼくの歳ぐらいだったろうか)が、観光客の、多少悪意を感じる質問に答えた、沖縄のイントネーションの静かな答えがいまだに忘れられない。「ヤマトなんか恨んでいません。ノーと言えなかったウチナンチュがいちばん悪い」
人間、欲ボケすると身を誤るねえ。
原発の爆発(つまり原爆と同じ。威力ははるかに大きいけど)は悪意ある攻撃でも起きる。北朝鮮は核弾頭など開発する必要はなかった。ミサイルの精度を上げる努力をすればよかった。それで、敵国の原発を狙えばいい。貧すれば鈍する、だね。
地震が多く、人口密度が高い日本で原発を運転するなんて、狂気の沙汰だ。
原発をやめたら、近い将来、不足する電力は、いまのところ天然ガス、石炭の火力発電で補うしかない。当然ながら、しばらく炭酸ガスの排出には目をつぶろう。そのうち、小規模水力発電・風力発電(九大の風車レンズは面白いし、有望だと思う。12年に博多湾で浮島式の実証実験が本格的に始まる。一番の問題は、台風をいかにかわせるかということだけど、これは台風が来てみないとわからないだろう――ここでふと思いついたんだけど、レンズ風車の羽をコントラ方式(大型船のスクリュウのように、2枚を接近させて並べ、回転を逆にする方式。送風機でこの方式を使用すると静圧が高くなる)にしたら、どうだろう? 羽の回転力を高めるのには役にたたないのかな?)・太陽光発電・バイオ燃料などが火力発電を大きく補うだろう。エネルギーの節約技術も進むだろう。
ただ、あまりゆっくりはできない。過去50年ほどは、年3%程度で日本のエネルギー消費量は増加している。25年で2倍になる。経済発展を維持しようと思えば、エネルギーは確保しなければならない。
レンズ風車とはこんなものです【下・左の写真】。構造が極めて簡単なのが実にいい。普通の風車に鍔のある輪っかを付けただけ。写真の日は帽子を手で押さえていなければならないほどの風が吹いていて、羽は勢いよく回っていたが、風車の直下で羽の回転音はほとんど聞こえなかった。台風対策は、羽の回転を止めることで対応するらしい。現在のところ、バードストライクも皆無らしい。
【写真上・右は九大春日原分校にあるデータ採取用レンズ風車。(左右の写真とも、風は手前から奥に向かって吹いている) 近くにいろんなリングの試作品がうち捨ててあって、あって、面白かった。地上左に伏せてある台形の筒は、当初の試作品の長い(おとなの身長ぐらいの)リング、つまり輪っか。誰だって、当初は、これくらいの長さは予測するよね。実はボクもこれとまったく反対のことを考えて、実験したことがある。うまくいけばトンネル内で使う予定があったのだ。風レンズよりも2,3年は早かったと思う。場所は台湾の現場の室内。トンネルの現場なので、熱線風速計があり、微風速(1cm/sec程度)を測定できる。段ボールで底のないすり鉢(大径が30cm、小径が10cm、高さ30cm)のようなものを手作りし、それを椅子2脚の間に吊って、普通の扇風機で部屋の隅から風を送る。ただ、風レンズと違うのは、大径のほうから風を送ったことだ。大径のほうから入ってきた風は、摩擦を無視すれば9倍の風速で小径から吹き出すだろうという、浅はかな予測のもとの実験だ。結果は予測に反し、小径での風速はほとんど速くならなかった。「あれ、変だな」と思いつつも、それじゃ、小径の方から風を送ってみよう、という考えにはまったく至らなかった。程度の低い素人の限界だ。風レンズの記事をネットで見たときに、一瞬にして原理を理解できたのは、この失敗があったからだと思う】
通常のわっか無し風車の約2倍の発電能力があるそうだ。福岡市がシーサイドももち海浜公園に3基建てた。1基あたりの仕様は下記
定格出力 3kW
年間発電量 3000kWh
ロータ径 2.5m
ウランを使う原発はプルトニウムを産むので、絶対に禁止すべきだ。プルトニウムはアルファ線しか出さない。アルファ線は厚手の紙で防げる。つまり紙にくるめば誰でも持ち運べる。そういう取り扱いのしやすさから、核兵器にもっとも適した原料なのだ。核爆弾に簡単に加工できる。テロ集団が核爆弾を持てば、絶対に使う。これほど恐ろしいことはない。核技術の進歩のせいで、広島程度の原発なら、ソフトボールほどの大きさでできるそうだ。
だから、下に書いているようにトリウム原発がいいと思った。燃えた後にプルトニウムを作らないし、液体燃料(フッ素溶融塩)なので、取り扱いも、個体のウランよりも原理的に安全で、効率がいい。これは石油と石炭を比較すればすぐわかる。トリウムは、賦存量もウランよりはるかにおおい。
ところが、トリウム原発の世界的な第一人者・古川和夫博士(惜しいことに、2011年12月に亡くなられた)が3.11後書かれた「原発安全革命」(前著「『原発』革命」の改訂版)という本を読んでも、「福島」を知った今、この原発が原理的に安全だとは思えなかった。
複雑系はかならずどこかで破綻する。ボルト1本の閉め忘れでヘリが墜落することを考えれば、納得がいく。原発は人間が作った機械のうちで、もっとも複雑なシステムだろう。複雑系が破綻することは、数学的に証明された事実だ。「ジュラシック・パーク」の最初のほうに、ジュラシック・パークの破綻を数学者が予言するシーンがある。
前述のように、今まで原発の大事故は3件あった。そのうち2件は、本当のヒューマン・エラーだ。福島第二だって、「想定外の自然災害」を原因だとすれば、ヒューマン・エラーと言えないこともない。津波後、緊急冷却装置が動かなかったのは、ヒューマンエラーだという意見もある。あまり複雑になると、機械やシステムの故障よりもヒューマン・エラーが先立つということがわかる。事故が起これば取り返しがつかないほど致命的なものは製作・使用してはだめだ。いまのところ、核力を使う技術である。
火力発電所が爆発しても、なんてことはないが、原発が爆発すると、小さい国だとつぶれるかもしれない。ベトナムが日本の原発の導入を考えているようだが、ベトナムで原発の大事故が起これば、ベトナムは潰れるだろう。誰が考えたって、こんなものは使わないほうがいい。使うべきではない。それでエネルギーが不足するのなら、耐え忍ばなければならないと思う。
もう一度言う。新幹線が脱線して、乗客全員が亡くなっても、日本はつぶれないが、もう一回、福島程度の事故があれば、日本は転落の坂道を転げ落ちはじめる。国民が誰も国家を信用しなくなるからだ。まず企業が逃げ出すだろう。日本に働く場所がなくなるということだ。
これは電力会社の名誉のために言っておくが、原発の導入を推し進めたのは、現在の自民党だ。英国からの導入に当たり、原発事故が発生した時の損害を政府の依頼で京大が試算したら、当時の国家予算を越えた。政府はこの試算を国民にはひた隠した。当然、電力会社は原発の導入を渋った。原子力賠償法を作って、ことが起これば国が何とかするから、と言って原発をイギリスから導入させたのは、政府つまり当時の自民党だ。参考までに、ここを見てください。かなり前に書いた文章です。
● 原発をウランからトリウムへ――オバマ大統領の戦略 (2009/8/6)
ヒロシマ・ナガサキに続く、3発目の核爆弾を爆発させる者は誰でしょう? 間違いなくテロリストですね。テロリストに核抑止力は働きません。それなら、3発目の核爆弾が爆発する都市は、誰が予想したってニューヨークでしょう。オバマ大統領の基本戦略はこの予想の上に成り立っています――この予想を実現させないために。
オバマ大統領の核兵器廃絶とグリーン・ニューディールに関する本気度がやっと理解できました。アメリカの繁栄と存続のために、オバマは本気でこれらをやるつもりです。もちろん、そうすることがアメリカの大きな利益になるからです。そのへんの政治家のように、単なる理想を語っただけではありません。「世界を救った者」として、オバマは歴史に刻まれると思います。【念のために言うんだけど、アメリカはICBMを全廃すると言ってはいない。少なくとも、ロシアに報復できるだけの核弾頭兵器は確保しておくはずだ。】
グリーン・ニューディールという今時のはやり言葉を使うなんて、と少し落胆したのですが、中身はそうではなかった、ということを思い知らされました。核兵器廃絶は言うに及ばず、です。
炭酸ガス排出を削減するには、誰が考えたって、原子力発電を増やすしか方法はありません。炭酸ガスの排出を10%減らそうとすれば、化石燃料(石油、石炭、天然ガス)の輸入量を10%減らさねばなりません。その減少した分10%と経済成長分の+αを原子力発電で補う必要があります。そうしなければその国の経済が減速します。リアリストなら誰だってこう考えます。
世界で必要な総エネルギーは年率3.2%で増えています。30年で2倍です。(3.0%なら25年で2倍) これだけのエネルギーを確保できない国は繁栄から取り残されます。これが現実です。
太陽光発電や風力発電で現代のエネルギー使用量の主要な部分を賄おうなんて、誰も考えていないでしょう。繰り返しますが、化石燃料の使用量を減らして炭酸ガスの排出量を減らしたいのなら、その減らした分を原子力で補わなければなりません。いままでのウラン原発は、核兵器の火薬たるプルトニウムを燃えかすとして発生させます。だから、ウラン原発を増やすのは、事実上、核拡散をやるようなものです。
それをかわすために、原子力発電の燃料に、オバマはトリウム(Th 原子番号90)を考えています。トリウムは原子炉で燃やしても原爆の原料たるプルトニウムを実効上、出しません。つまり、トリウム溶融塩炉というタイプの原発を計画しています。これは液体燃料の原発です。
アメリカは1965年頃から4年間ほど、トリウム原発の実験炉を無事故で運転しています。トリウム原発は既知の技術なのです。明日にでも実現可能な技術です。核融合のような遠い未来の技術ではありません。
トリウム原発なら、東京都に設置してもいいぐらい、きわめて安全なんだそうです。プルトニウムを副産しないので、その後処理も不要で経済性も高い。小型にしても効率が落ちない。つまり経済的に作れる。そのほかにもいろいろな長所があります。
じゃあ、なぜトリウム原発を採用しなかったのか? それはプルトニウムがほしかったからです。核兵器にきわめて使い勝手のいい、天然には算出しないプルトニウムがほしいだけのために、アメリカはきわめて危険なウラン原発(ウランをプルトニウムに変えます)へ舵を切りました。それに追随して、日本にウラン原発を本格的に導入したのが若き日の中曽根康弘氏(中曽根内閣1982年〜1986年)です。なおスリーマイル島の原発事故は1979年で、それ以来2011年までアメリカで原発の新設はありません。もちろん、原子力による発電は現在(2012年)でも行っています。
ヒロシマの原爆はウラン爆弾ですが、つぎのナガサキ以降の原爆は、すべてプルトニウム爆弾です。ウラン爆弾は爆発実験さえしていません。だから、ヒロシマの「リトルボーイ」はナチスの設計をそのまま使ったのではないか、などと陰口をたたかれました。
現時点では、世界情勢の変化で、核抑止力はその力と意味をおおかた失いました。テロという戦争形態がそうさせました。テロリストでも核兵器が使えるようになったのです。そうなると、厄介物のプルトニウムを燃えかすとして出し続けるウラン原発はまともな国家には不要になります。つまり、核兵器は危険きわまりなく、もはや不要なのですから。
核抑止力とは、ご存じのとおり、「核兵器で攻撃すると、攻撃された相手も核兵器で報復するので、核戦争なんてとても不可能」というものです。ところが、技術の進歩がその常識を意味のないものにしました。
現在の核兵器は、広島型原爆(「リトルボーイ」は重量5トン)程度の威力(TNT15万トン相当)ならプルトニウムを使って、ソフトボールほどのおおきさ(重さは10キロ以下のはずです。わたしの推定では8キロ程度)で出来るそうです。これがテロリストに渡った場合のことを考えてください。そうすると、この「ソフトボール」がニューヨークで爆発することだって考えられるのです。それどころか、誰が考えたって、現在の世界情勢なら、テロリストから最初に狙われるのはニューヨークですね。プルトニウムが放出するα線は紙でも遮蔽できます。紙袋に入れて持ち込めるのです。
その場合、核兵器による報復なんて不可能です。テロリストなんてどこにいるのかわからないのですから。
現在のテロリストの組織は、インターネット型だそうです(Wikipedia)。司令本部なんかありません。各「細胞」が自立的に働いています。アルカイダなんて、その存在さえ否定する人もいます【アルカイダはCIAにより作成されたデータベース――田中宇】。しかし、かれらテロリストの資金は間違いなく、まわりまわって石油の代金が賄っているはずです。【『グリーン革命/トーマス・フリードマン著』に、そのあたりの経緯が詳しく書いてあります】 かれらが「8キロのソフトボール」を手に入れて、自爆テロでそれを爆発させることを考えたら――手に入れたら絶対に考えます、それを防ぐのは不可能です。広島型原爆程度の原爆がマンハッタンで爆発するのです。
フレデリック・フォーサイスの小説『第四の核』のストーリーが、現実社会で実際に起こるかもしれないのです。そしてそれは、成功する可能性が極めて大きい。
核兵器を地上からなくさない限り、この悪夢と恐怖は続きます。だからオバマは核兵器廃絶を本気で考えざるを得なかったのです。そのためには、核兵器の火薬たるプルトニウムを生産するウラン原発は、最終的には全廃しなければなりません。「核拡散防止条約」――ちょっと頭の回る子供なら、その不合理性、不公平性――つまり「ばかばかしさ」、が直感ででもわかる「核拡散防止条約」を、まともな大人が必死で他国に守らせようとせざるを得ないのです。そもそも、五大国だけの核兵器独占つまり「核拡散防止条約」には正義がありません。
とにかく、核兵器の火薬であるプルトニウムを作り続けるウラン原発は、いまとなっては邪魔物です。
今年(09年)の7月にアメリカ上院を通過した国防予算の中に、海軍でトリウム溶融塩炉(つまりトリウム原発)の研究予算が付いているそうです。2011年2月1日までに国防委員会に報告するように、となっているそうです。実質、2010年までですから、1年の時間しかありません。もちろんこれは、とりあえず原子力潜水艦、原子力空母用ですね。アメリカはすでに動き始めています。
炭酸ガスの発生を抑制するために、化石燃料を制限する必要があるのですが、そのために発生するエネルギー不足は、もちろん、トリウム原発で穴埋めするでしょう。それどころか、トリウム原発の先進国となって、開発者利益をむさぼり、低炭素社会の先進国となって諸国のリーダーの位置を確保するでしょう。
09年4月5日、EU首脳会議に先立ち、核兵器廃絶をオバマはチェコのプラハでぶち上げました。そんな重要な演説をなんで本会議の前に、プラハなんか(スミマセンm(_ _)m)でやったのか、といぶかったのですが、その意味がやっとわかりました。チェコはトリウム原発の技術先進国です。(もちろん、冷戦時は西側の核兵器の標的だった、という効果もあるでしょうが。)
それにちかごろアメリカは中国に急接近しています。中国は世界のレアメタルの90%以上を押さえる資源大国ですが、トリウムはレアメタルを生産するときの副産物としても産出します。いままでは一種の邪魔物(放射性元素ですから)として扱っていましたが、中国はそれを捨ててはいないはずです。大量に保管しているに違いありません。トリウム原発の可能性は中国も当然知っているはずですから。
なお、トリウムの埋蔵鉱量はインドが一番だろうといわれていますが、世界中の海の砂にも大量に含まれているそうです。
現在、商用ウラン原子炉を作れる国はアメリカ(GE)、日本の3重工(三菱重工、日立、東芝)、フランス(アレバ)だけです。アメリカのGEは日本の技術協力(東芝だったかな?)がなければ、原子炉は作れないそうです。これはNHK(クローズアップ現代)で放映していました。現在のアメリカには原子炉圧力容器(数十気圧に耐えられるように、約17センチ厚さの耐圧ステンレス鋼内張の特殊な合金で出来ているそうです! ――『「原発」革命』より)を作る溶接技術がないのだそうです。現在のウラン・プルトニウム原子炉を使用する限り、エネルギーの根幹をアメリカは外国の技術に押さえられているわけです。このあたりも、トリウム原発への変換の裏の動機のひとつでしょう。
ウランの流通はユダヤのロスチャイルドが一手に握っています。アメリカの資本家の親玉はアングロサクソンのロックフェラーです。ロックフェラーはロスチャイルドと気が合わないそうです。これも、ウラン原発を廃止したいとアメリカが考える遠因かもしれません。トリウムは世界中で採れて、競争に曝されやすいのですから。
原発の燃料をトリウムに変えることこそ、日本はアメリカを素直に真似すべきでしょう。日本の3重工はおおいに反発するでしょうが、そんなことは無視して、これこそバスに乗り遅れないようにしたほうがいいと思います。
なおトリウム原発の世界的な第一人者である古川和男博士は、「トリウムエンジニアリング」という会社を作り、かれの持つ知的財産一式を海外向けに提供するという(09/9)。日本国内の反応の遅さにしびれを切らしたのでしょう。政権が民主党に移ったので、ここあたりで反応があるのかな? 鳩山氏が首相をしている間は、だめだろうなあ。なお、古川博士は1927年生まれだから、自分のお歳のことも考えられたのでしょう。【なお古川博士は11年12月に84歳で永眠されました。惜しい人を亡くしました。】
ところでアメリカは、9.11のテロで破壊されたWTC(世界貿易センタービル)の跡地に、541メートル(1775フィート、つまりアメリカ独立戦争の年)の巨大な超・超高層ビルを建てているけど、これこそテロの最適(?)の目標になると思うけどなあ。マンハッタンで原爆が爆発するなら、このビルの中か周辺でしょうねえ。
この地はやはり安藤忠雄先生の案のように、何もない芝生だけの追悼の広場がいいなあ。安藤先生はきっとここまで考えていたよ。
トリウム/Thoriumに関し、http://msr21.fc2web.com/ あたりから入るのがわかりやすいと思います。それにしても、トリウム・thoriumでググるとたくさん出てきますねえ。和文も結構あるなあ。
【未完】
以下、温暖化賛成論の本文です。表記の結論に至った理由を、煩雑なる枝葉をつけて、くどくどと書いています。
炭酸ガス(近ごろでは、CO2なんて表記するようだけど、炭酸ガスまたは二酸化炭素のほうがいい。化学の授業でもないのに食塩をNaClなんて言いません。)による地球温暖化有害説には、どこか、胡散臭さが感じられ、そのまわりには腐臭が漂っています。カネに群がる亡者の臭いが漂っています。技術者(のはしくれ)の勘です。
だから、ぼくははなからこの地球温暖化説を信じていません。温暖化していないと言っているのではありません。すくなくとも1970年以降、地球の気温はわずかに上昇しています。「その原因は本当に炭酸ガスなのか? それに、温暖化してなにが悪いのだ?」と言いたいのです。
炭酸ガスが増加して大気の温度が上昇すると言っていることがまず問題なのです。炭酸ガスの増加が地球の気温上昇と関係があると科学的に証明されているのか、と問いたいのです。6000年ほど前、海面は現在よりも2メートルほど高かった。これは証明された事実です。当時の気温が2度ほど高かったからで(これも証明された事実)、その原因は炭酸ガスではないでしょう。炭酸ガスによる気温の上昇だけでは、海は絶対に暖かくなりません。
ただひとつここで気をつけなければならないことは、原因が何であれ、いったん温暖化が始まると、原因を取り去っても、温暖化は数百年は続くだろうということです。これが地球スケールの一般的な速度の振る舞いだそうです。
もちろん、炭酸ガスが少々増えても、増加した炭酸ガスの量が直接人体に影響があるわけではありません。現在の大気中の炭酸ガス量は約350ppmです。それが、倍になったところで、人体に影響はないでしょう。それどころか、植物の成長には間違いなくいい影響が出るでしょう。つまり植物の成長は現在よりもよくなるでしょう。恐竜時代の大気の炭酸ガス濃度は2,000ppmぐらいだったそうです。だからあんなに植物が繁茂し、あれだけ大量の石炭ができた。当時、人間はもちろんいなかった。石炭は今の調子で採掘しても、数百年は持つといわれています。数百年は現実的・事実上、永遠と考えるべきです。事実上、いくら掘っても、石炭は掘り尽くせません。それほど多くの植物が地上にあったわけです。
【参考までに 1】 地下資源の埋蔵量は最高の国家機密です。つまり、全体のことは誰もわからない。石油があと30年といっているのは、商取引上の数量です。あと5年なんていったら、世界中であわてて代替物を作るでしょうし、100年なんていったら、値段が下がります。30年はいいところでしょう。第一次石油危機の時、サウジアラビアにヤマニ石油相という傑物がいました。石油の値段を吊り上げようとするOPECの担当者にかれが吐いた名言があります。「石器時代が終わったのは石がなくなったからではないよ」 (09/9/4追加)
【参考までに 2】 トンネルの掘削現場、鉱山などでの坑内空気中の炭酸ガスの許容濃度は5,000ppm(自主規制値のようなもの。むかしは恕限量(じょげんりょう)と言っていました。)、法令で通達されている規制値は1.5%(約15,000ppm! %は重量比、ppmは容積比)です。
ごく健全な疑問だと思いますが、1年ぐらいの長期予報があまり当たらないのに、50年後の天気予報があてになるのでしょうか? スーパーコンピュータを使った予報らしいのですが、そんなのは、インプットするデータとソフトの「意志」でどうにでもなります。つまり、50年間で平均気温が2度上昇すればこの世は地獄、としたければ、そういう風なソフトを使って、そういうデータをインプットすればいいわけです。
つまり、現在の計算技術では、そんなのはどうにでもなることで、あてになりません。
現に、気象専門のスーパーコンピューターはまだできていません【2008年1月】。それほど温暖化対策が重要なら、なぜ専用のスパコンをつくって、本腰を入れないのでしょうか? 作れない理由があるのです。専用スパコンをつくろうにも、気象の、つまり大気の動作の計算方法がわからないから、できないのです。それでも、最新のスパコンなら、「ギリシャで一羽の蝶が羽ばたくと、フロリダで竜巻が起こるかもしれない」程度の計算はできるかもしれません。
最近、東大が天文学(つまり重力計算)専用のスパコン(GRAPE-6)をつくりました。現時点では、この能力が世界第二です。ローレンス・バリモア研究所にあるASCII Whiteというのがこれまで世界一で、現在ではこれが世界第三。東大のやつはこれの能力の2.5倍はあります。つまり、32テラ(Tflops――1秒間に32兆回演算)だそうです。それ以上にすごいのは、GRAPE-6の値段です。むちゃくちゃに安いのです。ASCII Whiteの1/20(1/2ではありません)で、5億円でできたそうです。だから、当然、小さい。普通の部屋にごろんと置いてあります。【下に写真があります】
日本が、税金でつくった気象計算用(とは言っていませんが、目的は気象計算。名前は「地球シミュレータ」。横浜市にあります)のスパコンは、超大型の体育館ほどの建物(50m×65mの面積の二階建て体育館だと思ってください。建物の主要な目的は計算機の冷却)に入っています。最近の汎用スパコンはそれほど大きく、高価(建設費72億円。土地代は含んでいません。それでも、ASCII Whiteよりもかなり安い。NECが納入したんだけど、ダンピングだとアメリカが騒ぐわけです)なのをご存知でしたか? もちろん、性能は世界一(2002年)で40テラ。つまり、鼻風邪を治すのにDNAの解析から始めようとしているようなものです。
これが「地球シミュレータ」の建物の外観。本体は、この中にぎっしりと詰まっている。 | |
これが「GRAPE-6」。これだけ。 http://grape.astron.s.u-tokyo.ac.jp/press/2001-grape6.htmlから引用。写真は責任者の牧野准教授(お若い!) |
つまり、計算方法が確定していないから、汎用にしか作れないのでしょう。専用機を作れば、上記から推測して、値段はたぶん1/20程度のはずです。(あえてこれを税金の無駄遣いとは言いません。こういう無駄は必要かもしれない。ゼネコンの借金棒引きが1000億円単位だと思えば、タダみたいなものですから。)
音速以下の流体の計算はたいへんむずかしいそうです。温暖化というスケールの計算(地球規模の超長期天気予報でも同じ)では、それを地球、つまり球面の上で計算しなければいけません。直接差分法でやるのか、フーリエ変換を使うのか、それともルジャンドル変換を使うのか、そういう基本的なことをいま研究しているという最中なんだそうです。
専門家の話では、ここ10年ほど、その研究が大いに進歩した、という話はないそうです。(2008/1時点)
これでは、素人が考えても、専用スパコンは作れません。
まして、地球温暖化の予想は、誰が、何を使って(まさか、紙と鉛筆だけで計算してはいないでしょうから)計算したのか、わかりません。ぼくのような門外漢でも、これぐらいの判断はできます。
似たような状況が核融合でもあります。核融合はプラズマ状態の重水素・3重水素原子核をヘリウムの原子核に融合させることなんですが、その一番の問題点は、プラズマ物理学の理論的基礎ができていないことです。だから、実用炉と同じ寸法の実験炉が必要だとその担当者は主張する。小型炉では現象の本質に迫れないのだそうです。それで一気に、一兆円で「実験炉ITER」を国際共同で作りたい、という話になります。専門家の話では、それでも実用化にはほど遠いということです。今世紀中に「できるかできないかの目処が立てばいい」というところだそうです。
それよりも、いちばんあてになるのは、過去に同じような例があったかどうか調べ、あれば、その時代の地表の様子なんかを花粉の化石なんかで調べることでしょう。これなら、ぼくだって、納得します。現在では、5万年前までぐらいなら、過去の気候の様子はかなり精密にわかるようになりました。人類が農業を初めて1万年だから、これでも十分すぎるほどです。
地球が暖かくなると、砂漠がサバンナに、シベリアに草原が広がる可能性のほうがおおきい。6000年前、地球が現在より2度ほど暖かかったとき(地球温暖化恐慌論者のいっている気温上昇とこれはおなじ程度)、サハラには草原がひろがり、シベリアでは大型の哺乳類が群をなし、それを追って、ヒトもいました。これはグリーンランドの氷のボーリングなどで地質学的に確認された歴史上の事実です。南極はボーリングが終わり、これから本格的に分析を始めるそうです。氷を調べることで、35万年前までくらいの気候、大気の組成なんかが具体的にわかるそうです。調べればすぐわかることなのです。
いいことばかりです。地球が2、3度温暖化するとどこがまずいのでしょうか? 納得いく説明をきいたことがありません。声高に騒ぎ立てるばかりじゃなくて、ふつうの声でいいから、ふつうの人にわかるように静かに説明してほしいと思います。
それよりも、炭酸ガスの増加がそれほど温暖化に関連しているでしょうか?
そんなこと、わかるもんか、これから調べる、という趣旨の記事がNASAのサイトにありますし(http://pao.gsfc.nasa.gov 英文です。climate changeで検索してください。いろいろ出てきます)、気温の上昇は炭酸ガスなんか関係ない、太陽の活動が原因だ、という主張は、ウォールストリートジャーナルがくり返しています。これはかなり説得力がある。
この論文http://www.oism.org/pproject/s33p36.htm#Top なんか英文ですけど、わかりやすい。データも豊富で、説得力があります。この論文の冒頭の要約につぎのような文がありました。
Predictions of global warming are based on computer climate modeling,
a branch of science still in its infancy.【コンピュータを使用した気候モデリングの手法――それはサイエンスのまだ未熟な一分野にすぎない――に基づいて地球温暖化の予測は行われている。】
蛇足:グーグルがマウスオーバー辞書を無料で提供してくれているおかげで、ウェッブ上で英文を読むのが本当に楽になりました。この辞書と「英辞朗」があれば、わからない単語なんて、ないんですから。
これら反論をきちんと反駁した論文があったら、教えてください。わたしは見たことがありません。IPCCがそう結論づけたから、というのは素人の戯言です。IPCCは数千人の専門家からなるそうですが、数千人の専門家の意見をボトムアップして結論を出すことなんて、絶対にありません。最終的な結論を書いたのはせいぜい数人でしょう。科学の現場を知っている者ならそんなことは自明のことです。
ことわっておきますが、炭酸ガスが地球の温暖化に無関係(だと思うけどねえ)だと断言しているのではありません。
人類起源の炭酸ガスを増加させないためには、原理的に現時点では原子力発電しかありません。人間が直接出している炭酸ガスのうち、化石燃料を使用する発電がいちばん大量の炭酸ガスを出しているでしょう。我が家の電気代は月約1.5万円(これが最高。均すと1万ぐらいか)ぐらいで、車の燃料費は月4,800円(120円/Lとして40L/月)ぐらいです。このあたりが日本の家庭の平均値だとすると、自動車に比べ、発電の方が3倍(これには業務用のトラックなどは考慮していない)ほど炭酸ガスを出していると予測できます。【比較が困難なものを比較しなければならないときには、お金に換算して比較するのがいちばん妥当でしょう】
原発は本当に危険だから、それなら、炭酸ガスの増加を我慢しよう、その「副」作用が本当にあるのなら、すこしのことには目をつぶろうと言いたいのです。原発の危険性については、とりあえず、この文章を読んでみてください。すぐわかるように京都大学のホームページです。【原発で大事故が起きたら】http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/dent-07.pdf
近ごろの空気中の炭酸ガス濃度は350ppmです。ここ100年ほどがおおむね300ppmだから、原因が何であれ、急増していることは間違いありません。
350ppmというと大したことないように見えますが、約3,000分の1です。2リットルのペットボトルの水に、1cc弱の墨汁を流したことを考えると、かなりな濃度であることがわかります。わが家で使用している植木の殺虫剤は、「原液1ccを3リットルの水で希釈して使用」ですから、ほぼこれと同じです。
植物はこの炭酸ガスを吸って成長しているのですから、生半可な量じゃないことは見当はつきます。
■ 2001年6月12日、ドイツが原発全廃を決定しました。06年、ドイツに観光旅行に行ったら、発電用の風車がやたら目に付きました。(日本では、風力発電ほど不安定で迷惑な発電はないと思うけど、ヨーロッパでは常時一定の風が吹いているのでしょうか? 日本で風力発電がものの役にたつのは、安価で高効率な蓄電設備が発明されてからだと思います。【当件、2011年に九大が風車レンズを作ってから、考えが変わりました】 )
しかしドイツは、それで将来もやっていけるのでしょうか? 火力発電所をじゃんじゃん作らなければ20年後には確実に、ドイツでは電力不足が発生しますねえ――現在のカリフォルニア州のように。
なお、ドイツは国家戦略の重点を循環型エネルギーに関する技術の確立においたようです。その一番肝心な点は、技術よりも法の整備です。太陽光発電などで個人が発電して、もし余剰電力があれば、すべて電力会社が買い上げなければならないという制度です。その買い上げ単価は、とうぜん太陽光発電の単価ですから、石炭・石油の発電よりも3倍ほど高価でしょう。そうすれば当然電力会社の電力のコストは高くなります。その高くなったコストは電気代に転嫁していい、というのが一番肝心なところです。現時点では、循環型エネルギーは高価です。その分は国民がみんなで広く負担しよう、という制度です。
現在、ドイツの主要な外貨獲得の手段は、日本と同じように、自動車を主とする機械工業と化学工業です。今世紀の前半には、これらの技術の世界的な重心はインド、中国に移るでしょう。これは誰でも予想できる未来です。戦後64年の日本とアメリカの自動車産業のことを考えれば、このことは視界の範囲内の単純な未来でしょう。イギリスのジャガー(気取って言えばジャギュアだそうで)とランドローバーは今年(08年)中にはインドのタタ自動車に買収されるのはほぼ決定しています。元宗主国の名車が元植民地の企業に買収されるのです。感無量じゃありませんか。【2008年6月2日、買収は完了しました。】
アメリカのGMが空中分解するのも時間の問題でしょう。キャデラックとビュイックだけは名前が残るかもしれません。フォードも危ない。キャデラック、リンカーンは趣味の車としては依然残るような気はしますけど、それだけの話です。いずれおなじ身の上話が、日本の自動車産業の上にも時間差を置いて来ると覚悟しておいた方がいい。
2008年6月1日のNHKスペシャル「低炭素社会に踏み出せるか」によると、ドイツでは、太陽電池(新興企業の製品が主です)と風力発電(これはジーメンスSiemens)をあわせた輸出額が自動車の輸出額をすでに超えたそうです。
ただし、風力発電と太陽光発電だけでは、製鉄所は動きませんし、電車などの交通網は維持できません。これは厳然たる事実です。風力発電と太陽光発電はあくまで補助のエネルギー獲得手段です。
【脈絡のない蛇足】 日本もサッチャー(お気の毒に、その後認知症になったそうです。2008年8月朝日新聞朝刊)かゴルバチョフあたりを首相に招聘してみてはいかがなものでしょう――日本を壊されてしまう恐れもありますけど、拉致問題だけは絶対に片づくと思いますねえ。【拉致問題は日本の癌です。早期に摘出しなければ日本は腐ります。無辜の国民が他国に拉致されて助けを求めているのに、それを救出しない国に国民は忠誠を誓うと思いますか?】
[環境庁・地球温暖化http://www.eic.or.jp/ 第4章第1節1−(1)「地球温暖化」への反論] 環境庁の低級論文への反論です。
寒くなると、とにかく膨大なエネルギーが必要になります。いまの世界のシステムを変えないかぎり、そうなると、現在よりも、石油か石炭をたくさん消費するようになります。つまり、炭酸ガスをたくさん出すようになります。これを禁止することは不可能です。
自動車よりも発電所の方が、業務用を考慮して、4倍ほど石油を消費している、と単純に考えると、炭酸ガスを減らすには、発電所を原発に変えざるを得ません。
寒くなると、もちろん、電気もうんと使うから、発電所ももっと必要になります。発電所から炭酸ガスをださないようにするには、火力を原子力に変えなければなりません。世界中に(つまり、いい加減な国にも)原発をたくさん作らなければならないということです。
この危険性については、あとに書いています。いい加減な国に原発を作るほど、怖いことはないとおもいます。「統領」さまの天才的ご指導で原発が安全に運転されることに、あなたは生命を賭けなければならないのですよ。わたしはいやです。
温暖化防止論なんて、常識以前の矛盾だらけです。
それよりも怖いのが、農業への悪影響です。気温が下がると、食料生産量が低下するのは、理の当然。
くり返しますが、こんなことは、スパコンのだした答えを信じるより、地層の歴史を調べたほうがはるかに確実です。
地球が温暖化すると、極やその付近の氷が溶けて、海面が上昇するといっている本があります。ところが、南極の夏の温度は、大陸中央なら零下32度ほどです。それが、2,3度上昇しても、零下であることは変わりません。理屈で考えると、南極の氷は溶けません。ぼくが調べた限りでは、南極の温度は変わっていません。
南緯69度、南極大陸の端にある昭和基地で、夏の平均温度が零下1,2度。たまに+1,2度になったぐらいでは、あの氷床の氷は、海面が上昇するほどは、溶けないでしょう。
それよりも、地球が温暖化すると、海面からの蒸発量が多くなり、南極に降りつもる雪の量も多くなって、海面の低下のほうが起きるんじゃないか、という理屈もたちます。(冷蔵庫にお湯を入れると、霜がたくさん付くのと原理は同じ。)
南極大陸の周りを寒流が取り囲んでいる。温暖化でこの寒流に変化が起きれば(この可能性は否定できない)、南極大陸の氷はある程度は溶けるかもしれません。そうすると、海岸にある大部分の都市は水没するだろうなあ。
溶けるか溶けないかの境目にある氷が溶けても、大勢に影響はありません。問題は、地上の氷の90%を占めるといわれている南極大陸の上の氷(21,600(100万)km3))です。海に浮いている氷がとけても、海面はほとんど上昇しないことは、小学校で習いました。
温暖化(いま問題にしているのは、50年間で2,3度というオーダー。これは「温暖化恐慌論者」もおなじ)で海面が上昇するのは、たぶん、海水の膨張のせいです。その原因は太陽活動の活発化です。炭酸ガスは無関係だということはご理解いただいていますよね。
極めて単純化(海水は深さによって温度が違いますが、この辺はまったく無視――考慮するだけの力はぼくにはありません。ただし使用している値はかなり正確な概算値です)して、試しに計算してみました。
地球の周長を4万km、海の面積を地球表面積の70%、海の平均深さを3800mとして、平均海水温度(これがいちばん乱暴な仮定)が15度から18度に、つまり、3度上昇したと仮定して計算すると、計算上では1.8mの海面上昇になります。2度の上昇なら、1.2mです。但し、この計算には、陸地はすべて絶壁で海と接しているという仮定。だから、実際は砂浜様の海岸が多いのだろうから、出た値は多めのはずです。
ただしこの計算には、温暖化の根本に関わる、たいへん重大な仮定があります。温暖化で問題にしている温度は百葉箱の中の大気の温度です。大気の温度が3度上昇しても、海水の温度は事実上、上昇しません。これは海水と空気の比熱の差、量の差から簡単に計算できます。(計算式は冒頭から参照できます)
上記の計算は、海水温度が2〜3度上昇したという、事実と異なる仮定上のお話です。
水の体膨張率の式は理化学事典(岩波)を見たが、あんなにめんどうくさいとは知りませんでした。こういう計算には、いまは表計算が使えるので、ほんとうに便利です。
海水がどのように温まるのか、専門家に聞かなければわかりませんが、膨張すると仮定すれば、かなり海面が上昇するらしいとは、推測はつきます。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第3次評価報告によれば、1990年から2100年で0.09m〜0.88mの海面上昇を予想しています。これは、第2次報告よりも小さい値になっています。同報告書によれば、2100年までの平均の地上気温の上昇予想は、1.4度〜5.8度だそうです。これは50年間で2,3度という値と合致しています。ただし、この計算が成り立つためには、上の説明のように、地球の温暖化は地球のせいじゃない、もちろん人間のせいでもない、という仮定が必要です。
しかし、事実上、海水が温められれば海面は上昇します。それは、地質を調べれば、その事実が6000年前にあったことがわかります。縄文前期、地球の平均気温が2度ほど上昇して(だから、縄文時代は、東日本にひとがたくさん住んでいました。当時の日本列島の人口の90%以上という学者もいます。東北地方も暖かかったのです。青森市郊外の三内丸山遺跡はそのシンボル)、2mの海進がありました。つまり、海面が2mほど上昇しました。(ボクの概算とあっています(^^)――)
花粉などの化石、貝塚などの調査で、これは厳然たる事実です。グリーンランドの氷のボーリング調査からも当時の気候がわかっています。海進の事実はたんなる地質調査から、周知のことなのです。
この事実を説明するには、太陽活動の活発化が一番わかりやすい。海水が太陽からの輻射熱で直接温められたのでしょう。つまり、温暖化の原因は太陽活動の活発化だ、ということになります。炭酸ガスの増加などの地球自身の原因ではないということになります。
この項は、東工大の丸山繁徳先生の説を参考にしました。先生の説は本当におもしろい。ご一読をおすすめします。。
ただし、いままでの観察から、一つだけ間違いないだろうといえることがあります。それは、都市の温暖化です。いわゆる、ヒートアイランド現象は、平均気温が1度上昇すると、その数倍ちかくになって現れます。平均気温が3度上昇すると、東京のような超巨大都市はひじょうに住みづらくなります。
現にここ100年で東京の気温は3度上昇しています。いま温暖化と騒いでいるのは、たんなるヒートアイランド現象とわたしは確信しています。田舎ではほとんど気温の変化はないそうです。ちかごろ暖かくなった(ぼくが小学生のころは、九州でも、年に2、3回大雪があり、竹製の自作のソリで、ソリ遊びをしていた)と感じているのは、気温の揺らぎを温暖化と勘違いしているだけでしょう。
ヒートアイランド現象は人間が作ったものだから、原因も、したがって対策もわかっています。
ヒートアイランド現象の原因のひとつは、冷房機などの廃熱と自動車(つまり50kW〜100kWのヒーター)であろうと言われています。炭酸ガスではないらしい。
冷房の廃熱は、地中に捨てればいいのですから、何とかなります。技術的には、なんの問題もありませんい。つまり、やる気だけです。
ディーゼル車などが出す排煙は、パラソル効果となって、ヒートアイランド現象を和らげると言われているが、逆に考えると、熱を包み込んでいるのかもしれません。今度、東京都がディーゼルを規制するそうだから、いずれにせよ、結果はすぐ(20年後ぐらいか)わかるでしょう。
しかし、いちばん確実な対策と解決方法は、都市にひとが集中しすぎないことです。計算してみたのですが、ひとの集中は税金を安くします。これはちょっと意外でした。
東京都の人口密度は平成10年あたりで、5900人/平方キロ、福岡市は4300人/平方キロですから、これを大差なし、とします。2008年の一般会計と特別会計の総額を人口で割ると、その値が東京都で1037千円/人、福岡市が1326千円/人です。福岡市のほうが28%も高い。人口密度の差がこれほど効くとは考えにくい。どこかにからくりがあるのかなあ? それとも、こんな計算は意味がないのか?
住みづらくなれば、ひとは逃げだすから、人口を分散させたい都市の、いちばん安価な人口集中の排除法は、インフラの整備なんか、なにもしないことです。石原都知事だって、それだけの勇気はないでしょう。
東京が百万都市になっても誰も困るわけではありません。首都機能は人口50万もいれば十分維持できるはずです。ヒートアイランド現象を考えると、人口が分散することは、むしろ、望ましいことです。北海道にも島根にも鹿児島、宮崎にも、岩手にだって、つまり日本中あちらこちらに、まだ原野がたくさんあります。
そんなことは暴論で、実現できるわけがないなんていう声が聞こえてくるようですが、そんなことはありません。ドイツをみてください、人口はみごとに分散しています。ベルリンだけが特別で、約350万人。フランクフルトなんて大都会かとおもっていましたが、人口は、たった65万人です(福岡市は133万人)。ドイツの人口密度は230人/q2で、日本の330人より低いが、それでも、実にみごとに分散しています。
これはアウトバーンのせいだという意見を聞いたことがあります。アウトバーンは原則として無料です。これがドイツ人の移動をたやすく安価にしているのだということを読んだことがあります。
それなら、日本の自動車道を無料にしたらどうか、という意見が当然出てくきます。しかし、そういう意見が政治家から出てこないのが、日本の悲しい現実です。(ちかごろやっと、そういうことを言いだした政治家もいるようです。2003/9)
日本の自動車道の料金を十分の一ぐらいにしたら、我が国のGDPの2,3%はすぐに上がるのではないか、という試算もあります。
人口の分散を日本がなぜできないのか? 先の読めない政治家はやる気がないし、官吏はもともと前例がないことはしたがりません。それに、やはり、そういう程度の政治家しか選べなかったわれわれの民度の差(ドイツと比較して)もあるのでしょう。悔しいけれど。
じつは人口を分散させる、とっておきの妙案があります。衆議院・参議院の議員数を、人口比例ではなくて、土地の面積比例にすることですが、これの実現は難しいでしょう。
それでもヒートアイランド現象という「外圧」が強くなれば、しかたなく分散するでしょう。
田中角栄氏の日本列島改造論は、結果として、先見の明があったと思います――政治家としてはふた昔ほど古いタイプで、品格を欠きましたけど。だけど演説は面白かったなあ――どの村に行っても、ここに鉄道を引き駅を作ると言うんだもの。新潟の現場にいたときに、聴衆としてかり出されました。
50年間に2〜3mの海面上昇程度なら、オランダのことを考えると、たいしたことではありません。土木屋にまかせておけばいい。珊瑚礁の国が沈むかもしれないが、それは国連で面倒をみてもらいましょう。
現在はつかの間の間氷期だということを、みんな忘れているのではないでしょうか。温暖化の前は、ぼくの記憶では新聞は寒冷化と騒いでいました。過去のサイクルから判断して、間氷期の小春日和もそろそろおしまいだろう、というのが専門家の見解です。現代は、いつ氷河期が来てもおかしくない時期です。ここ5000年ほどが、異常なほど平穏で暖かい気候なのです。
人類がこれほど地表でわがもの顔に繁栄できたのも、特に直近の1万年が異常に気候が温暖で平穏だったからです。人類のもっている能力のせいなんかではない。気候のせいです。いまこそ、そういう意味の異常気象なんです。人類を含めて地上の生物はみんな、気候の奴隷にすぎません。気候に楯突くことなんか誰もできません。
温暖化防止論なんて、狂気の沙汰だと思います。歴史を見ると、寒冷期でさえ、人間は食料を求めて戦争しています。
氷河期になるには、気温が急激に低下する必要なんかありません。
むかし、新潟の山の近くでトンネルを掘っていたとき、そのことに気がつきました。新潟あたりでも、ちょっと山地に入ると谷の雪が溶けてなくなるのは8月の盆のころです。そして、9月の終わりには初雪が降ります。
例年よりすこし寒い冬が数年つづき、夏の気温がすこし低くなれば、新潟の山中にも氷河ができるだろうとすぐに推測がつきます。そうなると、いったん弾みがつけば、日本の東北地方が氷河に覆われることは時間の問題です。つまり、それが氷河期なんです。後になって考えてみれば、あの年が氷河期の始まりだった、ということです。遠い未来、突然、気温が急激に下がり、大雪がつづき……とかいうことで氷河期が始まるわけではありません。
食糧不足は爆発的に幕を開けるが、氷河期は誰も気づかないうちに始まります。気づいてときは、もう氷河期です。
ここ2万5000年間を見ると、現在は異常気候です。平穏すぎるほうの異常気象です。過去には、10年で10度の急激な場合もあります。
もしかすると、現代は、炭酸ガスの毛布のおかげで暖かいのかもしれません。それに、炭酸ガスは植物の主食、〈コメ〉です。炭酸ガスがふえると、緑がおおくなるというのは事実です。温室の中の炭酸ガス濃度をあげると、植物の生育が早くなるというのは、実験上の事実です。
氷河期がくると、たぶんロンドン・ニューヨークから北には、イヌイットだけしか住めません。イヌイットしか住めないところで、農業はできません。
つまり、地球的飢餓が確実にくるということです。飢えた外国人の日本流入を防ごうとすると、鎖国しかないでしょう。鎖国して日本が養える人口は、江戸時代と同じ3000万人ぐらいでしょうか。甘く見て4000万人とします。鎖国しておいて、食料だけは売ってくださいでは筋が通りませんし、世界的飢餓の時代に、売ってもくれないでしょう。そうなると、現在の日本人の3人のうち2人は、そのときすぐに死ななければなりません。これはきつい。(食料不足は突然やってきます。食糧は保存が利かない。0.1%の余裕と0.1%の不足はまったく別世界です)
それに、炭酸ガス排出規制は、重大な危険性をはらんでいます。
結果が予想もできない炭酸ガスの排出規制なんかにうつつを抜かすよりも、焦眉の問題は人口問題です。地球上のすべての災いは、人口増加が原因です。近頃、これに気付いたジャーナリストが二三人はいるようですが。
「首が飛ぶかどうかのときに、髭の心配をしてもはじまるまい」というのは、「七人の侍」のなかの、村の長老のせりふ。「底なし穴にロープでぶら下がっているときに、ポケットのコインなんか気にするな」という表現をする国もあります。
とにかく、人口の増加をとめ、それから、人口を減らすことです。そうしないと、人類、ちかい未来にほんとうに滅ぶでしょう。
それに、自然保護――具体的には、森林の復活、には人口減少がいちばん効果があるのは、バカでないかぎり、誰にでもわかっていることです。
飛行機に乗った時地上を見てください。自然破壊の最たるものは、農業です。人間が食べるだけのために、平野の全部は伐採され、緑の砂漠、つまり農地・牧草地になっています。人間の数が半分になれば、平野の半分は森林、原野に戻るはずです。これこそ、究極の自然保護です。
現在60億人の人間が、30年〜50年後(2050年頃)、100億になります。つまり、そのときには、現在ある森林の面積は、いま地球上にある田畑の面積とおなじくらい減少しているはずです。そうしないと100億は養えません。これこそ、究極の自然破壊です。
いろいろ考えてみましたが、やはり、自然保護、具体的には森林保護、つまり森林は人間の生存に絶対に必要です。人が住んでいるところで背後の森林がなくなると、時を移さず、そのあたりが砂漠化します。つまり、水がなくなる。水のないところに人は住めない。当たり前の話です。
くり返します。森林なくして、人類の生存はありえません。背後の森林を失った文明――つまり水を失った文明、はかならず滅んでいます。あたりまえの話ですけど、これは歴史の必然です。真理はいつも単純明快です。
もっとも、川の水を浄化するほどの単価で海水の淡水化が可能な技術が現れたら、背後の森林はその淡水で作ればいいから、この話は成りたたないと思います。
たとえば、クレタ文明。火山の噴火で埋もれても執拗に復活しましたが、造船用材を得るために背後の森林を切りつくしたとき、滅んでしまったそうではありませんか。4大文明(黄河周辺もやがてそうなる。)もすべておなじ運命をたどったことは、中学の教科書にも載っている事実です。
ところで、黄河が干上がりかけています。深刻化したのは90年代です。最悪の97年には、一年のうち226km上流まで干上がったそうです。そのまま放っておけば、黄河流域が砂漠となってしまうのは目に見えています。黄河がワジになります。砂漠に人は住めないから、黄河流域の人間は、揚子江流域に南下してきます。そうなると、人口の圧力で中華文明は滅ぶでしょうね。「マッド・マックス」の世界が中原で現実になります。この事実には中国首脳もあわてて、取水規制などの様々な対策を取り、2000年には、さすがに「断流」だけはなくなったそうです。【09年7月6日朝日新聞より】
いまなら、間に合います。黄河流域を緑化することです。黄河流域を砂漠にしてはいけません。これは世界のためでもあります。黄河に木を植えなければ、中国の未来はないでしょう。これこそ、日本がやったらどうでしょう? 成功間違いないと思う。緑化が得意な鳥取大ならきっとうまくやるでしょう。
過去1500年、中国大陸は日本のいい先生でした。中国(元寇をおこした元は蒙古族ですから)が伝統的に膨張政策を採らなかったおかげで、今日の日本があります。いまこそ恩返しの時でしょう。黄河流域を緑化しましょう。黄河流域に木を植えましょう。
誰が計算しても、食料生産量からはじいて、地球は100億人程度の人間しか養えません。しかもこれはかなりな楽観値です。このまま人間が増えつづければ、21世紀の中頃までには人口100億になります。100億になったら、どうなるか?
間違いなく、戦争と共食い(文字どおり、人間が人間を食料にすること)をはじめます。人類の歴史から類推すると、まず間違いなく、そうなります。400万年の人類の歴史なかで、人間が表だって共食いをしなかったのは、アジアではここ100年ほどだけです。表には出てこないが、文化大革命時代の中国では、ずいぶん人が食べられたそうですから。
4000年の昔から、中国大陸では人を食べるのが普通だったそうです。あの孔子は干した人肉が好物だったそうです。桑原隲蔵博士の「支那人の食人肉風習」を読めば、そのへんのことがよくわかります。これは、青空文庫で読めます。
なお、桑原博士には元(蒙古帝国)についての文章もあります。当時の蒙古人は非常に少食なのだそうです。その記録によれば、現代栄養学のカロリー計算などまったく成りたたない。ぼくはこの文章を読んで、生野菜を食べる西療法を思いだしました。興味がある人はぜひこちらも読んでください。ここには、元帝国の人殺しのすさまじさ(これは食べるためではない)が、淡々と書いてあります。蒙古民族が他民族を殺さなければならなかった必然性も納得できます。好きで殺していた訳じゃない。宦官の話もおもしろい。
こういう話を聞くと、中国人と商売するのは、やはり、恐ろしい。
ほかの地域でも似たようなものでしょう(記録に残さなかっただけでしょう。)――と、ここまで書いてきて、いま、ふっとフランスの童謡をおもいだしました。題名は「ちいさな船乗り」です。おおむかし、NHKの初級フランス語講座で聞きました。
問題はその童謡の歌詞です。少年の船乗りが初航海にでて、大海のなかで凪が続き(帆船時代の話です)、食料も底をつきかけてきた。それで、その少年船乗りがお祈りをすると、トビウオがたくさん船に飛び込んできて、みんな助かった、という、だいたいこんな筋。なにしろ、45年ほどまえにラジオで聞いた話です。大筋でしかおぼえていません。先生(あの前田陽一先生だったかなあ)も淡々と訳しただけでした。
この歳になって、いま、この童謡の歌詞の意味がやっとわかったとおもいます。
当時の帆船では、緊急用の食料として、少年船乗りを何人か乗せていたのではないか。子牛や羊は、餌は食べるが、掃除や給仕はしません。こう考えると、この童謡の歌詞の意味が鮮明にイメージされてきます。凪が長引くにつれて、いや増す少年の不安。夕日に向かって必死に祈る少年の顔つきさえ目に浮かぶようです。
この解釈、正しいのかどうか、わかりません。どなたか、当時の帆船の歴史にくわしい方、ぜひご教示をいただきたいとおもいます。
65歳(2006年現在)以下の日本人は飢餓の恐ろしさを知らないはずです。
将来も人類が生存を続けようとすると、ちかい将来(50年以内ぐらい)、人類の増加を頭打ちにしなければなりません。それには、死は恐怖ではない、ということを納得させる強力な哲学が必要です。なにしろ、余剰の人類は死ななければならないんですから。自然死による減少なんか待っていられないのです。自然死で人類の減少を期待しようなんて、夢物語です。そんな悠長なことをしていると、共倒れでしょう。「殺人は究極の悪だ」なんていっていられないのです。それには、ヒューマニズムを否定する必要があります。それがいやなら、ともに滅びることを受けいれるしかない。真剣に考えると、こうなってしまいます。
[この欄も丸山先生の説(新しい哲学の必要性)を借用。文責は私]
これに関して、私の考えは、丸山先生と少し違います。
人口増加で人類が生存の崖っぷちにかかると――つまり、食糧の不足で人類全体に飢餓がはびこり、文明の衰退が始まると、本能の制御する領域(これには戦争も含まれる)に、動物としてのなんらかの制御がかかると思います。
われわれの若いときとくらべると、近頃の男の若者の精子の数は、ずっとすくなくなったというではありませんか。もしかすると、環境汚染の結果、体内に有害物質が蓄積し、寿命が短くなるかもしれない。平均寿命が40歳になれば、黙っていても、人口は激減(日本を例にすると)します。
人口減少にいちばん効果のある、そのうえ実現性の大きい手段は、やはり戦争でしょう。第3次大戦は核兵器の戦争(楽観的かな?)にちがいない。そうなればそのとき100億の人口が10億(この数字はまったくのヤマ勘)に減少する可能性があります。10億も残っていれば、現在のテクノロジーの継承はなんとか可能だろうし、残った人類はおなじ愚はくり返さないでしょうから、人類は、生き延びるかもしれません。
もっとも、この話は少しヤバいのです。核兵器より強力な兵器が開発されているという噂が絶えないからです。いわゆる「プラズマ」兵器と称するやつです。
兵器メーカーの社長やその専門の技術者が、核兵器が究極の兵器だなんて考えるはずがありません。そうすると、いったん大戦になれば、戦いは一瞬で終わり、終わったときには、地上は岩石が熔けたガラス状の物質で覆い尽くされ、海さえなかった、ということになりかねない。
「人類、なにやってんだか……」とそのときになって後悔しても遅いのです。
プラズマ兵器というからわかりにくい。要するに反物質爆弾です。つまり、地上に反物質を作ればいい。この原理は簡単。物質に超々高圧を加えればいい。(圧力=エネルギーですから。)
戦車の厚い鋼板を貫く弾頭があります。弾頭の先端に火薬のエネルギーが集中する形状のものです。技術的に難しいものではありません。洞窟や地下壕に潜んでいる敵を壊滅するために、アメリカは湾岸戦争、イラク戦争でこの技術を使っています。日本でも特攻機にこの種類の爆弾を積載する計画がありましたが、実戦には間に合いませんでした。福岡県の大刀洗飛行場でこの特攻機が不時着しています。
この弾頭を互いに正面衝突させれば、一瞬、超々高圧が発生するはずです。この原理を使えば、理論的に反物質ができることはわかっています。
さすがのアメリカもこの実験だけは怖くてやれない。地球表面全体がガラス状になってしまう可能性があるからです。プロパンガスが充満している部屋でライターを点けるようなものかもしれないのですから。
数年前、木星にレビー・シューメーカー彗星が衝突したことがありましたが、あれはこの兵器の実験じゃなかったのか、という噂がしばらくのあいだ流れていました。天体現象にしては奇妙なことが多すぎたというわけです。
そのうえ、あの衝突は地球から見えない木星の裏側で起きたのですが、ちょうどその時、木星探査衛星ガリレオがその衝突を観測できる位置にいました。しかし、衝突のそのときにガリレオの調子が急に悪くなったいうことで、そのくわしいデータは得られなかった、ということになっています。そして、すぐに回復。――これはどう見ても、怪しい。
(当項、2004年8月加筆)
それはともかく、表だってヒューマニズムを否定しなくても、戦争、未知の強力な疫病を含めて、とにかく、人口減少の兆候が現れるのではないでしょうか。
丸山先生の悲観論に対し、わたしのは、つまり、超楽観(?)論。
所詮、人間も動物の一種。天のコントロール(もちろん戦争を含む)からは逃げられまい、ということです。
趣旨は違いますが、あのレスター・ブラウン博士が同じようなことをテレビ(NHK)で喋っていました(07/05/24)。ソ連・ベルリンの壁の崩壊を例にだして、「それが生存に必要となれば、世の中は一気に変わる」というのが趣旨でした。だから、その必要性に気づいた者から、声を上げようとも言っていました。これなんか、超楽観論でしょう。心強い。
もし、そういうコントロールが働かなかったらどうするんだ、戦争で誰も生き残らなかったらどうするんだ、という反論には、「なにもしない」と答えるしかありません。
そのときは、ヒューマニズムといっしょに、運命に従えばいいだけの話。つまり、地獄を見て、阿鼻叫喚しつつ滅べばいいのです。
そのとき人類はきっと、三葉虫のように、最高の示準化石になるでしょう。
近未来の地球規模の飢餓地獄は、はやくてもわが孫かその子(孫なら、やっとひとりだけ出来ました(^^;))、の時代です。飢餓地獄がきて、それから、戦争を含めた動物としてのコントロールが本格的に利き始めるとぼくは考えています。それをしのぐことができれば、あるいは人類は生き延びることができるかもしれません。
炭酸ガスの排出を減少させるには、誰が考えても、現時点では、原子力発電所を増やすしかないでしょう。地球温暖化防止論には欧米大資本の陰謀(おおがかりな金儲けのこと)の腐臭がします。そういえば、世界のウランの生産と流通は、ロスチャイルド(Rothschild――roten schild「赤い盾」という意味だって。)が一手に握っています。ユダヤ系のロスチャイルド(中枢は英国にある)とWASP代表のロックフェラーは犬猿の仲だそうです。
ウラン鉱の使い道は、核弾頭か原子力潜水艦か原子力発電しかない。核弾頭と潜水艦が頭打ちなら、ウラン鉱のお客は、民生用の原発しかありません。
2008年1月現在、原子力発電炉(いわゆる原発)を作れるメーカーは世界に5社しかありません。日本の三菱重工・日立・東芝、アメリカのGEとフランスのアレバです。GEの原発部門は日本の東芝(だったかな?)と提携しているから、事実上は日本3社とフランス1社です。ブッシュがアメリカの原発再開を決定してからというもの、日本3重工の原発部門はフル回転しています。ロシアも日本の原発技術がほしくて、猛烈に近寄ってきています。もしかすると、炭酸ガスによる地球温暖化説で潤っているのは、ロスチャイルドのつぎに日本かもしれません。
原発はかならず事故をおこして、爆発します。原発の事故は基本的には、原爆の爆発とおなじです。原子炉でいちばん多量につくられるプルトニュウム239の半減期は2万4000年です。原発の事故は、このプルトニュウム239――人類が作った最強の毒物(具体的には放射線による発癌性。それさえなければ毒性は普通の重金属と同じ程度、らしい。)――を大量に地球にばらまきます。つまり、一度ばらまかれたプルトニュウムの放射能は、永遠になくならない、と考えたほうが事実上、正確です。人類が都市文明を作ったのが、やっと一万年前を思い浮かべてください。
原発事故の恐ろしさは、下記のURLを見ればわかります。ぞっとします。ぼくもこれほどとは、思っていませんでした。
http://www-j.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/genpatu/gnsk9905.html ――見てもわかるように、京大のサイト。
ここには1998年に運転を終了した東海村の原発が事故を起こした場合の被害予想がしてあります。これは、日本第1号の原発で、これを英国から買うとき、原発は未完成な技術なので、運転上の責任は持たないという一札を英国からとられました。そのために、専門家を集めて、万一の場合の被害を試算しました。1960年当時の国家予算が1.7兆円。試算で出た最悪の場合の金額が3.7兆円――国家予算の2.2倍。
これには政府もびっくりして、あわててこの試算を極秘にして、そのうえ「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法)を作りました。
これは、原発で事故を起こした場合、ある額以上の事故の場合は、政府が保証しますという法律。そうでもしないと、東電でも、万一、本格的な原発事故を起こすと、破産する恐れがあるから、原発やれ、といっても、うんとは言わなでしょう。
東海村原発の規模は、発電量で16.6万kW程度。現在の原発は1基100万kWが普通です。
1986年のチェルノブイリの事故では、風下のベラルーシュ(白ロシア)がいちばん被害を受けたのですが、その額は、ベラルーシュの国家予算の32年分(3.2年分じゃないよ)にもなっています。
なお、チェルノブイリの事故は、厳密に言えば操作ミスではありませんでした。設計ミス。どういう設計ミスかというと、これは、たとえ話がわかりやすい。(上記のサイトを孫引きして、変形しただけです)
超低速で走っている自動車を止めるには、ブレーキを踏むのではなくて、サイドブレーキを使えというような設計がしてあった。もちろん、通常の運転速度から停止するときには、その必要はない。そのうえ、超低速状態で走っているときにブレーキを踏むと、アクセルと同じ作用になるような、つまり暴走するというような信じられない仕様だったそうです。さらにその上に、その仕様をチェルノブイリの現場には、説明していなかった。投獄されていた技術責任者が、ソ連崩壊後に出獄して、世界に訴えて明らかになりました。原子力関係者なら誰もが知っている話だそうです。もっともすぐさま、チェルノブイリ型原発は改良はされています。
しかし怖いのは、原発は、原理的に、上記のブレーキ仕様、くせを内部に持っているということです。軽水炉型でも同じ。原発の運転は、ほんとうに難しいそうです。とくに停止するときに、機種により、さまざまな癖があるといいます。「やばい!」と思ったときは、あわてて停止しなければならないんだから、なおやばい。
原発の事故のたびに、地球はプルトニュウムにまみれていき、その放射能汚染が減少することは事実上ありません。一度プルトニュウムに汚れると、事実上、二度と元には戻らないのです。じつに恐ろしいことではありませんか。
あたりまえのことだけれど、故障しない機械なんて、人類は作ったことがありません。原発の怖いところは、故障すると、暴走して、結果として、原爆になることです。
火力発電が暴走したって、蒸気タンクが爆発して終わりでしょう。日本の国家予算の何倍もの被害が出るようなことは、間違っても、ないはずです。
それに、原発には、世間があまり問題にしない、強い「副作用」があります。
ぼくがどこかの国の独裁者で、本気で日本を攻撃したいのなら、普通のミサイルで日本の原発を狙います。わざわざミサイル搭載の核なんか開発しません。(敵国の原発を狙うという作戦は、自衛隊や軍事関係者のあいだでは、常識だそうです。現在、地下の原発というのは世界中どこにもないようです。技術的には困難がある――つまり、カネがかかるけど、原発こそ地下発電所にしたほうがいいと思います。土被りの500m(海抜500メートル程度の山をくり抜けばいい)もあれば、敵国の攻撃ではなくても、万一操作ミスで爆発したって、地表での爆発に比べたら、被害ははるかに少ないと思います。
その後聞いた話では、地下原発でも攻撃にたいして安全ではないらしい。アメリカの緊急時の防衛本部が航空機の中に移されたのは、いくら深部の地下でも、最近の兵器の技術なら破壊可能だからなんだそうです。これには、そのほかに情報機器の小型化(日本の技術のせいですね)が一役も二役もかっているんでしょう。つまり、必要な情報機器が飛行機に積めるほどになったということです。維持管理費を考えると、地下の大基地よりも飛行機のほうが安上がりですから)
金さんのところでは核開発なんかやっているようだけれど、貧乏人ほど、無駄なところに金をかけたがるのは世界共通のようです。核開発なんかより、ミサイルの命中精度を上げたほうがいい。日本には、たくさんの原発があるのだから。日本海側の原発を狙えば、命中精度も上がだろうし。もっとも、アメリカから潰されないためには、核の保有は必須条件だろうけど。フセインの二の舞は避けたいでしょうし。
しかし、原発で一番怖いのが、人為ミス、操作ミス。これはいまでもしょっちゅうおきています。「誤るは人の常 ”To err is human”」とは聖書の言葉でしたね。
そのうえ、世界中で原発を使うようになると、当然、いいかげんな国も原発をもちます。いいかげんな国でも、原発だけはきちんと管理するだろうなんて、そう考え、期待するほうがバカです。いい加減な国は、所詮、どこまでもいい加減なのです。
そのうえ、数がおおくなれば、事故の確率もふえるのは理の当然。
欲に駆られて、原発なんかにうつつをぬかしていると、ほんとうに、人類はほろびますよ。(滅んだって、べつにかまわないか――しかし、あの娘は惜しいな)
人類がいなくなると、地球という「アクアリュウム」(aquarium、末尾の註を見てください。)は、ずいぶんすっきりと自然に帰るでしょう。神様の高みから見たら、それが望ましいのかもしれませんが。
最近(01年)、「『原発』革命」という本を読みました(2001年8月発行。古川和男著 文春新書――近年まれな名著だと思います。エネルギー問題に関心のある方には一読を勧めます。2009年現在、書店にはほとんど置いてありませんが、Amazonならすぐに手に入ります)。著者は日本原子力研究所の主任研究員だった人です。現在はトリウム熔融塩国際フォーラム会長。
著者が提案しているのは、Th(トリウムThorium 原子番号90 Uは92)を燃料とする原子炉です。核融合のような新技術も必要としない。
それじゃ、なぜいままで使わなかったのか? その理由もいろいろ書いてあって、十分納得させられました。一番の理由は核爆弾に必要なプルトニウムが出来ないということです。
核兵器はウランを使うよりも、プルトニウムを使うのがいちばん簡単で作りやすい。ウランを原発で燃やせば、プルトニウムができますが、トリウムを原発で燃やしてもプルトニウムはほとんどできないそうです。トリウムでは核兵器はできない。これがトリウムが無視されたいちばんの理由でしょう。
そのうえ、核燃料の製造・供給で利益が出にくい。従来の原発では、発電所の建設よりも、核燃料の供給のほうがはるかに高利益を確保できたそうです。だからロスチャイルドは、ウランの供給と流通だけはいまでも決して手放そうとしない。
ウランは石油と同じで特殊な地方にしか出ないが、トリウムは天然ガスと同じで、日本以外は、どこにでもあります。量は1000年分ぐらい。つまり、事実上無限(原発に使用するウランは石油と同じ程度の埋蔵量といわれています)。多数は海岸の砂の形で存在します。そういう点も魑魅魍魎の魅力を引かなかったのかもしれません。つまり、競争にさらされやすく、安価で価格のつり上げが困難なのだそうです。
近年になって、アメリカ・ロシア・日本が共同でこのタイプの原発を開発する機運があるそうです。この技術が表舞台にたつ時勢が来た、という感じがします。トリウムの埋蔵量の多い(海岸の砂にある)インドもトリウム原発に熱を入れているそうです。
なお、この技術は1968年に米国のオークリッジ国立研究所で実験炉がすでに完成していたが、その後、さまざまな事情――つまり、金儲けの種になりづらい、ということで放置されていたと、その本には書いてありました。それに、当時米国ではエネルギーが有り余っていました。
なおトリウム・thoriumをウィキペディアで調べると、英文の記述がいかに的を射ているか、よくわかります。英文ではほぼ上記のことが書いてありますが、日本文では、元素トリウムの通り一遍の説明と、原発に使用することに関して、否定的な説明が付け足し程度に書いてあるだけです。thoriumで検索して、英文を読んだあとで、トリウムで検索して和文を読むと本当にがっかりします。インターネット時代は英文が読めることがいかに重要か、身をもって知らされます。
インターネットで読む英文の70%程度(もしかすると80%)は、日常会話に出てくる言い回し、構文や単語です。英文を速く、大量に読みたいので、わたしはこの歳になっても、英会話のヒアリングの練習を毎日、1時間(ウオーキングの時間中にi-podで)続けています。語学の練習は、目的さえはっきりしていれば結構続くものです。英文を読みたい・読む必要がある方に、この方法はおすすめです。英文に接したとき、身構える心理が少なくなりますし、読むスピードも確実に上がります。一番の効果は、たぶん、飛ばし読みしていいところがわかることです。
現時点では原発に問題がおおすぎるから、それなら、地球が温暖化したっていいから、たくさんある化石燃料を燃やして発電するほうがずっといいし、そうすべきです。それが理性というものだと信じています。
化石燃料がなくなるまでには、たぶん、化石燃料にたよらないエネルギー源が開発されているでしょう。たとえば太陽エネルギーを利用する超高効率の水の電気分解方法が発明されているかもしれない(ちょっと無理かな)。 つまり水素燃料です。
ただし、水素は軽いから上空にあがる。漏れた水素が上空に集まり、フロンのように、地上に何らかの副作用を及ぼさないのでしょうか?
なお、核融合は中性子を大量に扱うので、原理的に危険です。中性子の怖さは、さきほどの東海村の事故でもわかります。中性子は生物だけを破壊します。(厳密にいえば、無機物も変質させる。) 戦略核はこの中性子を使う。つまり、小型の原発は必然的に中性子爆弾になるという原理を使ったのが、戦略核。つまり、戦場で使う超小型の原爆。設備は破壊せず、人間などの生物だけを破壊します。
石油・石炭は、いくらがんばって使っても、あと200年は十分だいじょうぶです。(200年以上という専門家もいる)。
石油がなくなっても、天然ガスがあります。天然ガスの埋蔵量は現時点で無尽蔵にちかい。隕石の中にも発見されているから、宇宙の生成と天然ガスは関係があるらしい。つまり、宇宙に普遍的に存在している可能性が高い。無機起源のガス田もあります。
天然ガスは埋蔵が地球上に遍在(「偏」ではないよ)していて、そのうえ、とんでもないところに偏在(「遍」じゃないよ)している石油よりも、燃料としてクリーンです。石油が豊富にあるうちに、エネルギー源ははやく天然ガスに切り替えるべきです。
それには、ガスのパイプラインを世界中に張りめぐらす必要があります。これはだまっていても商社と鉄屋がやるでしょう。目端のきく商社やゼネコンなら、もう手をうっているかもしれません。
エネルギーの歴史を「木材→石炭→石油」と見てくれば、石油のつぎはガス――これは技術史の必然でしょう。もしかすると、そのあいだにアルコールが入るかもしれない。
原発がなければ電気が不足する、なんて、どこのバカがいったんでしょうか? 天然ガスを使う発電所をじゃんじゃん作ればいいだけの話です。
そうはいっても、天然ガスよりも、やはり液体燃料のほうが使い勝手と具合がいいという困った分野があります。自動車です。
ところで、先ごろ(1999年4月)、おもしろい記事が例の「FOREIGN AFFAIRS誌」(これの註も末尾にあります。)に載ったそうです。つまり、遺伝子操作技術を使って、どんな植物廃棄物からでも、つまり生ゴミや農産物の廃棄物からでも、エタノール(つまり飲めるアルコール!)が経済的に生産できる見通しが立ったという。バイオマス・エタノールというやつです。
現在のガソリンよりも安価に生産できるのかどうかはわからないが、この雑誌に載るくらいだから、ガソリンに太刀打ちできるようになったのでしょう。勝算があると確信できたのでしょう。すでにアメリカでは生産会社を設立したようです。
これが本当なら(たぶん間違いなく、本当だ)、農業の概念が一変します。
バイオマス・エタノールの生産が軌道にのると、どうなるか?
アメリカが中東に気を使わなくて済むようになります。つまり、21世紀もアメリカの世紀のようですね。中東の産油国に支払っていたお金(アメリカでは、石油全消費量の60%が自動車関連だそうです。そして貿易収支の赤字の40%が石油の輸入によるそうだ)を自国の農家に支払えばいいのですから。アメリカはますます豊かになります。
【これを書いたのが1999年4月。2001年1月22日の朝日新聞電子版に、これが本格的に動きはじめた記事が出ました。最後の註を参照ください。しかし、これがほんとうに実用になるのには、やはり日本の技術が必要なようです。】
発電用には、「炭酸ガスによる地球温暖化防止」を掲げて、世界中に原発を売りこみ、車の燃料用には、バイオマス・エタノールを売る。21世紀も、エネルギーの首根っこはアメリカに押さえられている。こうして見ると、21世紀もやはりアメリカの世紀のようだが、これの結論はまだ出ていないと思います。
人類は壮大な実験を二つおこなっています。一つは結論が出ました。いわゆる「社会主義体制国家」は、いまの人類の知性の程度では、無理だということです。
いまは中国が表面上は、社会主義体制ですが、あれは「便宜社会主義」であって、中国人は、本気で社会主義を信じるようなお人好しではありません。
本気で社会主義を信じていたのなら、いつまでたっても「ケ小平」の出番なんかなかったでしょう。民度の低い国の改善には、社会主義・共産主義のほうが効率がいいことを中国人は知っていただけの話。そういえば昔、あの大宅壮一が「共産主義の勧め」という本を書いていました。
しかし、長い目でみれば、資本主義は一時しのぎの手段でしょう。資本主義のようにブレーキが付いていないに等しいシステムなんて、長続きするわけがありません。人類がここ100年をやり過ごすことができたら、将来はやはり全体主義的修正社会主義(つまり、本当の賢人たちが支配するシステム)になると思います。個人の自由なんか頭から無視して、人類全体の存続を目的とした、全体主義的組織にならなければ、長続きはしないでしょう。それがいいか悪いかの判断は、趣味の領域に属することです。
それにしても、車は人類にとって悪魔の発明でした。麻薬とおなじで、いちどこれに汚染されるとぜったいに元には戻れない。こういうぼくも車好きで、新車をみると、かならず
エンジンフッドを開けてエンジンをみる癖が、この歳になっても、抜けません。フッドを上げるときの感じって、女の子のスカート(スコットランドでは男でもスカートを穿きます。文は正確でなければならない)を捲るときのような(本物のスカートを捲ったことはありませんけど)、快感があるんですねえ(^^;)。
しかし、近頃の若者に車離れの傾向が見られるそうですね。もしかすると、これは異質の文化の先取りかもしれない。社会の変化の密かな前触れかもしれないと思うことがあります。
【本当の蛇足】ヴィクトリア女王の御代、スコットランドの男性はスカートの下に何もつけていなかった。行幸の歓迎式で、盛大にスコットランド・ダンスを披露したところ(あれは脚を上げるからねえ)、スカートの下が丸見えになり、「スカートの下にはパンツを着けるように」という指示が女王から出て、それ以来、パンツを着けるようになったのだそうです。丸谷才一の随筆で読んだことがあります。
以上、ほんと、まじめな話です。
註:地球が100億人しか養えない理由
地球が人間を何人養えるのか、じつは定説がありません。いろいろな試算があって、だいたい100億人ぐらいだろうといわれています。地球の食糧生産可能量がよくわからないのです。これさえわかれば、地球が養える人口はすぐわかるのだけど。
1997年の実績では世界の穀物総生産量は年20.89億トンで、そのときの人口が58.1億です。単純に比例するとして、100億の人口を養うには、どれだけの穀物を生産すればいいかを計算すると、約32億トンになります。
つまり、100億の人口を養うには、いまの耕地面積の1.5倍が必要です。
農業の技術革新を考慮して、常識的には、これぐらいだと何とかなりそうです。100億人はいい数字かもしれないと思います。現在の耕地面積の2倍(つまり120億人分)は無理でしょうね。
人間が肉食を止めれば、もうすこし余裕が出来きます。上記21億トンのうち、小麦30%、米30%、雑穀40%です。雑穀のほとんどは家畜の飼料でしょう。人間が肉食を止めれば、150億人ぐらいは大丈夫かもしれない。しかし、死に瀕してもこれはできないでしょう。
別の国連の調査(92年〜94年平均)によれば、1日あたりの食料供給量は日本人1.28kg(うち、肉魚類0.49s)、アメリカ人1.87kg(うち、肉魚類1.09s)です。上記の数字は世界の平均だから、この数字と概ね合致する。貧しい国では、みんな痩せているのが現実ですから。
穀物を牛が食べ、その牛を人間が食べる――これは非常に効率がわるい。
なぜなら、恒温動物(ヒト、牛、豚など)は、食料からとるエネルギーの2%しか成長に使っていないからです。つまり、体温維持に77%も使う。これが、寝ていても腹が減る道理です。残りの31%はうんこだそうです。これで100%。(これこそ本物の名著「ゾウの時間、ネズミの時間」本川達雄著 中公新書に書いてあります。)
ついでだが、そんなに肉が食べたければ、変温動物を食べることです。小型変温動物ならそのうえ成長も早いので、時間の節約にもなる。蛙なんか、牛にくらべると、ずっと熱効率がいい(摂取したエネルギーの21%を成長に使っています。恒温動物の約10倍です。文字どおり桁違い)
地球が100億人を養えるというのは、流通が(分配機能が)完全に作動しているときの話です。いまだって、食料の配分は見るも無惨な結果です。世界では10億人(17%! つまり、感覚的には、地球の人間はみんな餓えている、と言ってもいい。)の人が飢えに苦しみ、1300万人が毎年餓死しています。【注:15%の人がテレビを持っていると、「みんなテレビを持っている!」とひとは感じるそうです。】
つまり100億人はかなりの楽観値です。
とくに気をつけなければいけないことは、食糧の不足は突然、やってくるということです。
0.1%の余裕と0.1%の不足はまったく別の世界ですから。かつて日本の米が不作だった年の、あの慌てざまが世界的規模で起きます。米がなくてもうどんやパンがある状況で、あのざまです。食べもしない外米をバカな政治家が、あわてて輸入した醜態はみんな知っているはず。「貧乏人はうどんを食え」と言える勇気のある政治家がいなかったのが悲しい。ほんとうに食料が不足しはじめ、それが知れわたれば(インターネットがあるから、すぐ知れわたります)、まちがいなく世界中でパニックが起きます。
食料生産量は、技術改革でもそれほど大幅には増えないだろうと、いわれています。これは、常識的に納得できます。
それにくらべ、人間の増えかたが異常なのです。国連の推計値をつかって、横軸を5000年ぐらいの時間、縦軸を50億の人口に目盛ってグラフを書いてみてください、ここ100年ほどで、ほぼ直角にグラフが立ちます。
いまの勢いで人口が増加すれば、孫のその子どもの時代は、ほんとうの地獄でしょう。
註: 人口増加抑制方法の一私案
いまから始めて間にあうかどうかわかりませんが、人口増加抑制の方法があります(と思います)。たとえ間にあわないことがわかっていても、努力するのが人間の勇気、武士の心意気というものです。
人口爆発は、アフリカの最貧国と呼ばれる国で発生しています。欧州や日本はやがて人口が減少しはじめる。先進国のうちには、すでに人口が減少し始めた国もあります。
世界の実績を見れば、産児制限が可能になると考えられる国民一人あたりのGDPは700ドル(年間7万円の稼ぎと見なしていいでしょう。)です。中国の1995年のGDPが68ドル(2004年の1月にはこれが1000ドルの大台に乗ったそうです。)だから、そう見なしていいと思います。インドが362ドル。年収400ドルでは産制はちょっと無理でしょう。
参考までにGDPの最低はモザンビークで86ドル。ワースト10の最高がバングラデシュで259ドル。北朝鮮が11位で2771ドル。日本は4万ドルで世界第2位。1位はスイスの4万3000ドル。まともにやれば、銀行は儲かるんですねえ。
問題は、ひとりひとりが年収7000ドル(年収たった約7万円です。月収にすると6000円弱です)をどうやって稼ぐか、ということです。これは、自分たちで考えてもらうしかありません。そのためには、考える力をつけることが必要です。
考える力を付けるのにいちばん手っ取り早い方法は、識字率をあげることに違いありません。字も読めない、ではなんの知識もえられないし、与えてももらえないでしょう。
識字率をあげるために、先進国がお金をだしあって、最貧国に小学校をたくさん作ることです。学校といっても、建物はあばら屋で十分です。柱と屋根さえあればいい。雨露させしのげればいい。問題は、先生と生徒です。
ところが、そういう国では、子供は労働力です。学校なんかには行かせてもらえない。だから、子供の稼ぎ分ぐらいの小遣いを子供に与えて親を納得させ、子供を学校にこさせる必要があります。ここまでやらないと、日本の田舎の町がやったこととおなじになります。校舎だけを作って、それで終わりとなります。
その費用は、すべて先進国がお金を出しあってまかなう。これこそ「先進国の義務」です。先進国の若者にこの学校の先生をボランティアとして働き、あるいは兵役のように、先進国の若者の義務として、先生をやらせます。
いまでは悪名高い文化大革命で、毛沢東は都市の青年を農村に追いやって苦労させたが、それがいまになって効果を発揮しはじめています。おなじ効果が、先進国の青年にも期待できるのではないでしょうか。そうなると一石二鳥です。他人の痛みがわかる人間が多くなるかもしれない。
遠回りですが、これがいちばん有効な手段だと思います。この程度のことを先進国ができないようだと、人類に未来はないでしょう。ほんと、「情けは人のためならず」なんですから。
どこかの金持ちの会社か国にお願いします。この方法がはたして有効なのかどうか、アフリカの適当な小国で試してみませんか。うまくいけば、歴史に名が残りますよ。100年後(人類がいればの話だけど)の正史に、人類を救った恩人として名が残りますよ。
ただし、こういう事業は、東洋人がやらないと効果はでないでしょうね。白人(ここでは、ラテン系まで含める)には、根元的に無理。こういうことには、白人は不適格です。その理由は、別途、書き継ぎます。
【わたしが上記を書いたのは2001年頃です。2008年3月3日の朝日新聞に下記のような記事が載りました。】
答えているのはエマニュエル・トッド博士。フランスの人類学者、歴史学者。
――近代化とは?
「何よりも識字率の向上だ。(中略)読み書きは単なる技術ではない。人間形成に深くかかわる。(中略)識字率の向上は人口面にも革命的な変化をもたらす。出生率の低下だ。それなしで社会は近代に移行することは考えにくいが、それにはとりわけ女性の識字率の向上がカギだ。」
この答弁者の考えは非常におもしろい。各文明は近づくだろうが、けっして一致しないそうです。どんなに文明が進んでも、戦争はなくならない、とも言っています。そして一番強調していたのが、どんな文明の人間も、本質的に違わない、ということです。答弁者の専門がイスラム文明らしいから、西欧もイスラムも人間として違いなんかないよ、ということが念頭にあるようです。これは白人としてはめずらしい立場です。西欧の白人は、一部の本物のインテリをのぞけば、本心では、おおむね白人以外を人間として認めていません。質問した新聞記者(ヨーロッパ総支局長・大野博人)に向かって、こうはっきりと明言したひとをぼくは知らないなあ。
これはキリストの教えに反するのではありませんか?(マザーの施設はキリスト教の布教が目的ですからね)
キリストの教えは、つきつめれば、「万人(つまり、血縁者でない人も、もちろん異教徒をも)を愛しなさい」ということにつきるのだと思います。選別の思想はその教えに反しないのでしょうか?
そういえば、わたしが知っている範囲の、日本のミッションスクールはどちらかというと、選ばれたものの通う学校です。貧乏人から優先的に入学させているミッションスクールなんて、寡聞にしてわたしは聞いたことがありません。
貧しいものへ、先に手をさしのべるのが本当の愛なのではないでしょうか。(^^;)
これはキリストが悪いのではないでしょう。それを手段としか考えていないやつが悪いんですね、きっと。
話は飛びますが、なぜ台湾の李登輝がノーベル平和賞をもらえないのでしょう? 東ティモールのなんとかいうキリスト教の坊さんとか、上記のテレサ婆さんのしたことよりも、世界史的には、李登輝のしたことのほうがずっと意味が重いと思います。漢民族四千年の歴史のなかで、はじめて、民意により選ばれた首長ですからね。この事実は、大陸ではまだ実現していないし、これからもしばらくは実現しそうもありません。
そのうえ、2001年現在では、日本でさえまだ実現することができない、完全な政権交代(自分が属する政権を交代させた!)までやらせて、「うちは民主国家だよ」ということを世界に示しました。これで中国も、台湾にはちょっと簡単には手が出せなくなった。その手腕、「お見事!」というほかありません。あの選挙は李登輝が筋書きを書いて演出した、というのが台湾の常識ですからね。つまり、事実ということ。
もっとも、李登輝は歴史が記憶するにちがいないから、ノーベル賞なんか必要ないでしょう。
選考委員とスウェーデン政府は、中国から文句をつけられるのがきっと怖いんですね。李登輝を平和賞なんかに選んだら、100%まちがいなく中国がきびしい難癖をつけてきますからね。インドネシアが文句をつけてきても、たいしたことはないでしょうから。
いっそ、ノーベル平和賞は廃止にしたら? そのほうが、ノーベル賞とスウェーデンの権威が保てると思いますけど。平和賞のような生臭い賞は、ノーベル賞には向いていません。
ついでのついでだが、例のプリオン(イギリスで発生した狂牛病の「原因」といえば思いだしましたか? 狂牛病はヒトにも伝染するんですよ。ノーベル賞受賞者がそういっています。牛の内臓や脳までを有効に利用しているハンバーガーを食べる勇気、まだあります? 潜伏期間が5年以上だから、結果は5〜10年後ですけどね。豚がこの病気にかからないのは、この潜伏期間の長さのせいだそうです。5年以上生かされている豚っていませんからね。そういえば、近ごろ、ハンバーガー、やけに安くなりましたねえ。きっと牛のからだをとことん使い切っているのでしょうね。現在のところ、狂牛病は不治で致死です)で1997年に生理医学賞を単独受賞したスタンリー・プルシナーへの、反論(反感か(^^;))、異論がおおい。かれの受賞は時期尚早というのが専門家の意見の主なものだったようです。
しかしぼくは、これこそノーベル賞表三賞の選考委員会の尊敬に値する見識だったと思います。たぶん、選考委員は、時期尚早の異論がでることを十分に予想していたのではないか。極論すれば、プリシナーの理論がまちがっていても(いまでもその可能性があるそうです。)、この段階でノーベル賞を与えるに値するとかれらは判断したのではないか。ノーベル賞選考委員会のその勇気と価値観に、ぼくは満腔の敬意を表します。
プルシナーの理論は、人類が他者の肉を食べることへの、強力な、説得力のある警告だからです。
(争点は、「原因」たるプリオンが核酸(DNA,RNAあるいは、その断片)を持っているのか、あるいは持たないタンパク質の異常な結晶かという点らしい。たとえかれの理論が学問的に誤っていても、その警告の実際的な意味はまったく色あせない、とぼくは考えています。「脳が自分自身を破壊するこの悪性の疾病は、動物が動物を食べる食肉行為によって感染する。」ということをかれは明白に指摘した。だからヒトにでも、猫にでも、牛(牛が肉食をしているということは、いまや常識。)にでも感染する。もしかすると、根絶が不可能かもしれないという。これから見ると、エイズやエボラはかわいいものなんだそうです。エイズは気をつけていれば防げるが、狂牛病は肉食をやめない限り防げないかもしれないそうです。
狂牛病の発見の発端は、ニューギニアに住んでいる宗教的な人肉食の習慣をもっていた部族特有の奇病の研究です。肉食を神がいさめたような気がしますねえ。
英国ではバラ(roseのこと)の肥料として、牛の骨を粉状にしたものが売られているそうです。これには、密閉した室内では使用しないように注意書きが書いあるそうです。飛散した粉を吸うからです。
「きみはバラに骨粉を使っているかい?」
使っていると答えた。
彼はうなずきながらいった。
「わたしなら使わないな」
『死の病原体プリオン』(リチャード・ローズ著 草思社)という本(この項のタネ本がばれるなあ……)のいちばん最後の文章です。質問者はガイデュシェック(狂牛病でノーベル賞を貰った最初の人)、答えているのは著者(ピュリツアー賞受賞者)。
狂牛病がらみのノーベル賞受賞者はプルシナーで二人目です。なお、受賞者は二人とも、現時点では、プリオンはタンパク質の結晶の一種だと考えています。だから、煮ても焼いても死なない。放射能を浴びせても、ホルマリンにつけてもだめ。なにしろ、殺そうにも、命はもちろん、RNAの断片さえも持っていないのですから。こういう話を聞くと、SFの名作『Andromeda Strain (和訳名「アンドロメダ病原体」。「ジュラシック・パーク」を書いた作家の処女作ですね。)』を思い出しますねえ。もしかしてこの二人、あれを読んでいたのかな――いや、きっと読んでいたね。
なんだか文の調子が、しかめっ面しくなってきました。
1999年12月7日付け日経夕刊の「あすへの話題」という囲み記事のなかで、三井物産会長の熊谷直彦氏が、イギリスの狂牛病のことをお書きになっている。『私は英国にいた当時、何の心配もせずにステーキを食べていたが、帰国後間もなく狂牛病でバタバタと倒れる牛の姿がニュースで映し出されるのを見て、ぞっとした。』
そのおなじ囲み記事のなかで書かれていたのですが、わが日本政府は、「1980年から96年までの間に半年以上英国に滞在した人の献血を取りやめる方針」なのだそうです。たまにはいいこともやるんですねえ、厚生省。でも私は知らなかったなあ、この話。『自分自身病気にかかったようないやな気がする』と熊谷氏は書かれています。
最後の締めは、つぎのとおり。『芋のつるは決しておいしくなかったが、こころおきなく安心して食べられたことがせめてもの救いであったといえるかもしれない。』
きちんとした人は、やはりきちんと物事を見ているんですねえ。
台湾の歯医者の待合室で読んだ、日本の一流(ぼくの恣意的な判断)週刊誌の記事によると、日本のあの新興宗教のボスがノーベル平和賞(まさか、文学賞ではないよね? 書いた本をたくさん押し売ったのでノーベル賞をもらったという話はさすがに聞かないからね。)をほしがっているそうですが、もしこれが実現すれば、ほんとうにおもしろいと思います。
それをどう記事にするかで新聞、ジャーナリズムの踏み絵になります。とりわけ新聞紙上に、提灯持ち記事が溢れると思いますけど。
自己紹介のところにも書きましたが、ぼくは大嫌いだけれども、創価学会のやったことを認めるだけの客観性は持っているつもりです。共産党でさえ手をだすのをためらった(手をだす勇気がなかった)日本の最貧層を組織化して、あれだけ政治組織にまで練り上げたんですから。その場合、宗教とあくの強さ、厚顔無恥は必須条件だったんでしょうね。創価学会についての、マルクスやエンゲルスのコメントを聞きたかった。きっと好意的なコメントになっていたと思います。
ル・モンドに言わせると、創価学会はオカルト集団、だそうです。けどねえ、そんなことを書いてると、遙かなるフランスといえども、新しい青い背広を着た刺客を送り込まれるよ。
しかし、さすがフランスの知性ですねえ。歴史をちゃんと理解し身につけている。フランス革命は、政治から宗教を除外するのが第一の目的だったんですからね。つまり、啓蒙主義。
日本の創価学会、アメリカ大統領選挙に隠然たる勢力を持つキリスト教宗派――近ごろ、宗教が妙に政治に関わっている。おおきな代償を支払い、2000年をかけて政治と宗教は断固分離すべきだと西欧は結論をだしたんですけどねえ。
「いかなるおおきな組織でも宗教は私事」と断じたのはカントでしたね。やはり偉いなあ。
(この項、2004年8月)
註:Aquarium の話
コンラート・ローレンツの著作のなかに、『ソロモンの指輪』という本がある。例の「刷り込み――imprinting」のことなどを素人にもわかるように書いた啓蒙書のような本だ。その中にこの「アクアリウム」の話がある。予備知識があった〈刷り込み〉の話よりも、ぼくはこちらのほうが、おもしろかった。
ここでいう「アクアリウム」とは、熱帯魚などを飼う水槽のことだと思ってもらえばいい。
ローレンツが推奨する水槽は、コンプレッサーでふきこんだ空気の泡などがたっている水槽ではない。そういう人工的なものを、いっさい排除した水槽だ。
適当な大きさの水槽に、たとえばメダカなら数十匹を入れ、それに生きている水草と砂を入れたものである。ただそれだけだ。水は(できるだけ)メダカがいた川の水を入れておく。そうすると、水棲の昆虫なんかもいっしょに水に混ざってくる。餌だけは魚の数に応じてときどき与える。(水槽を大きめにして、魚の数をうんと減らせば、餌も与えなくていいかもしれない。)
そういう水槽を、適当に、日の当たる窓辺に放置しておく。そうすると、そこに小宇宙が誕生するというわけだ。
メダカは水の中のプランクトンなんかも食べ、かってに成長する。メダカが必要な酸素は水草が補給する。水草の栄養は、メダカがだす排泄物だ。メダカの数も水草の増え方も水槽の環境によってきまるそうだ。環境に余裕があれば、卵を生んで自然に増える。そういうふうにして、ある平衡状態がつくりだされ、いったん平衡状態になった水槽は、掃除などしなくても、つねに水は透き通っているし、ガラスの内側が藻でよごれることもないという。ローレンツの話では、おなじような初期条件の水槽をつくって、おなじ場所にならべても、平衡状態の様子はまるでちがってくるそうだ。
このアクアリウムでいちばん気をつけなければいけないことは、魚は、はじめから多く入れないことだ。(自然に増えるのはいい。) はじめから魚が多すぎると、水中の酸素が不足して、(プランクトンが生きられないために)水が腐敗し、ついには水槽のなか全体が腐ってしまうそうだ。この話、人口の異常増加への痛烈な警告のようですねえ。
註:FOREIGN AFFAIRS誌
アメリカ合衆国に「外交問題協議会」(CFR)という平凡な名前の、「超」有名な民間組織がある。その機関誌が「FOREIGN AFFAIRS」だ。CFRは、実質、ロックフェラーが主催する民間の協議会で、大統領の閣僚、補佐官はCFRのメンバーがそのほとんどを占めている。それどころか、民主党、共和党を問わずに、大統領はだいたいCFRの会員から選ばれてきた。二大政党による政権交代って、なんだろうね。
上記の話は超有名で、あちこちの本、参考書の類にも書いてあるが、念のため、ここにも書いておく。
なお、バイオマスアルコールの記事は、リチャード・G・ルガー米上院議員とジェームス・ウルジー元CIA長官の共同執筆だそうだ。なお、2000年秋、アメリカの政治評論家ジョナサン・シェルは上記FOREIN
AFFAIRSに「核不拡散と核兵器による抑止戦略とは、けっして両立しない」と論証しているそうだ。
なお下記は、2001年1月22日の朝日新聞(インターネット版)に載っていた記事だ。
『米国南部のルイジアナ州ジェニングス。来年初めに大規模な「微生物利用工場」が建設される。ベンチャー企業のBCインターナショナル社(BCI)が計画するエタノール生産工場だ。サトウキビのしぼりかすを大腸菌を使って発酵させ、年間約7万6000キロリットルのエタノールを作り出す。エタノールはガソリンに混合して利用し、石油の消費量削減に役立てるという。
「米国は微生物利用のバイオテクノロジー(生物工学)に本気で乗り出した」。工業用アルコールメーカーでつくるアルコール協会の斉木隆・研究開発部長(61)は一昨年夏にBCIを視察し、米国の積極的な取り組みに驚いた。【西府註:今ごろ驚くとは、勉強不足。あなた、専門家でしょ?】
BCIの微生物工場には、米エネルギー省が1100万ドル(約12億円。バイオはほんとに安上がりだねえ。熊谷組に対する債権放棄が3000億円だったかな……)の研究開発費を提供している。これらの資金で、エタノールをつくる遺伝子を大腸菌に組み込む技術が開発され、効率よくエタノールを放出する大腸菌がつくられた。
●バイオマスに、乗り気の米
一昨年夏、クリントン米大統領は石油中心のエネルギーやものづくりから、植物や微生物を使うバイオ技術への転換を国家戦略として打ち出した。
掲げられた目標は「50年後に国内のエネルギーやプラスチックなどの生産量の半分を石油原料ではなく植物などの生物資源『バイオマス』から作り出す」。米国は過半の石油を中東などからの輸入に依存している。「バイオマスの利用でエネルギーの安全保障とCO2削減をねらっている」と斉木部長はみている。
米国では大手化学メーカー、デュポンが2010年までに製品の製造過程の4分の1にバイオ技術を取り入れる方針を打ち出した。穀物メジャーのカーギルと化学メーカーのダウ・ケミカルは、乳酸菌を使ってトウモロコシからプラスチックや繊維の原料を開発、日本の繊維メーカー、カネボウ合繊などもこれを応用した衣料品づくりを始めている。米国の2社はさらに大規模な工場を年末に立ち上げる。』【以上朝日新聞からの引用】
●2006/9/11追加【バイオマスエネルギー生産の現在の問題点とその解決法】
バイオマスからエタノールを作るアメリカの現在の方法には大きな問題点がある。
その原料に、サトウキビやトウモロコシなどのように、人間・家畜に必要な農産物を使わなければならないということだ。つまり、穀物や砂糖のような糖質でなければ、うまくアルコールが作れないという問題だ。雑草、トウモロコシの実ではなく葉っぱや茎などいままで廃棄していた不要な副産物、生ゴミなどをアルコールの変えることができなければ、原料の確保という点からも、石油の工業的な代替はできないだろう。
これを日本の技術が解決しそうなのだ。たぶんできると思う。糖質はもちろんセルロース(つまり雑草や木の屑も)もエタノールに変換する技術の実用化に目処がついたそうだ。数年後には間違いなく実用化するだろう。
これはRITE((財)地球環境産業技術研究機構)とホンダ技研(ホンダの子会社というか、一心同体。アシモはここで作った。)が実用化に成功したそうだ。【2006/9/15頃の新聞発表】
2、3年後には工業化するといっているから、もちろん、採算上も何とかなるのだろう。楽しみだ。
(この稿、未完……)
ホームページへ戻る。