ふたたび、左足ブレーキについて――(2019/7/10)

 以下はオートマチック車の話です。軽を含む国産乗用車を考えれば、これで99%はOK。
 新聞紙上で、高齢運転者のアクセルとブレーキの踏み違いによる加速事故の記事が絶えない。統計上でいえば、若い人(特に免許取り立て)だって結構踏み間違えているらしい。これの最大の原因は、同じ右足でブレーキとアクセルを踏むからだ。理屈でいえば、それじゃ空いている左足でブレーキを踏めばいいということになる。右足はアクセル専用、左はブレーキ専用だ。
 ところが今年6月29日の福井新聞によると、福井県警は左足ブレーキを禁止したそうだ。理由は、左足ブレーキは急ブレーキになりがちで、追突事故が発生する恐れがある、それと、左足ブレーキはブレーキを踏む回数が多くなって、ブレーキのフェード現象が起こりがちである、というものらしい。もしかするとこれを書いた記者は、運転免許証を持っていないかもしれない。そうでなければ、記者会見の時に、発表者に質問したはずだ。
 これは事実誤認も甚だしい。100%オートマチックであるTHS2(トヨタ式ハイブリッド。ブレーキは100%バイワイヤ)でいえば、ブレーキを踏むとストップランプはつくけれど、ブレーキパッドを使ういわゆるブレーキは、急ブレーキの時ぐらいしか使わない。つまり、発電モーターによるエンジンブレーキを多用して、エネルギーをこまめに回生している。だから、ハイブリッドのブレーキはほとんど減らない。後輪のブレーキディスクなんか、よく見ると薄くさびが浮いているときがあるぐらいだ。C-HRを買うときディーラーの担当者に言われた。「ハイブリッドなら、ブレーキはこまめに踏んだほうが、燃費はよくなります。遠慮なく、ブレーキを踏んでください、ブレーキを踏んでもブレーキはほとんど減りません
 それに、後続車の立場からいえば、前行車はブレーキランプを多く使う車の方が、後続しやすい。マニュアル車が主流だった昔、エンジンブレーキを多用する車(つまりギアダウンで減速する車)の後ろに付いたら、運転しづらくて仕方がなかった。

 台湾で働き始めたとき(満9年間働いた)、ボクは左足ブレーキに切り替えた。つまり、車の左側通行(日本)から右側通行(台湾)に頭を切り替えるときに一緒にやった。慣れるのに一番苦労したのが、ブレーキよりもウィンカーだ。いままで右手で操作していたウィンカーを左手に変えるのに比べると、左足ブレーキは簡単だった。
 ただし、左足ブレーキにはちょっとしたこつが必要だ。マニュアル車に慣れている者は、左足はクラッチの癖が付いているので、かかとを浮かせて一気に踏み込む。これをやったら急ブレーキになるに決まっている。
 そこで、左足ブレーキの最重要なこつは、かかとを床につけて、足指の根元でブレーキを踏むことだ。初めのうちは、意識してかかとを床につける。これだけで、すぐ慣れる。右足ブレーキの時も、かかとを床につけて足先で踏み込んでいるはずだ。左足の時も同じようにやればいい。ボクの経験では、ちょっとの練習で、簡単にできるようになる。ついでだが、靴はスニーカーのように底の薄いものよりも、底は堅いものの方がやりやすい。ボクは運転するときは使い古しの黒革の靴を使っている。
 着座位置も少し変える方がいい。心持ち運転席の左側に座り、体を少し右にひねる。これだけでも、ずいぶん楽な自然な姿勢で左足でブレーキが踏める。【以上、左足ブレーキの技術論

 ボクらの歳になると、運転免許更新の時、けっこう本式の実技試験がある。そのときボクは左足ブレーキを使うのだけれど、前回の試験では、それにクレームをつけられた。そこで論争してもいいんだけれど、歳をとるとすべてが面倒になる。それで、「この次までには、右足ブレーキに変えときます」と返事をしておいた。この次の更新の実技試験場は、別の教習所にしよう。

 以上は、「左足ブレーキなら、アクセルとブレーキの踏み間違いはないはずだ」というボクの仮説に基づいている。果たして、この仮説、正しいのかどうか、ボクにはわからない。
 ただ、ボクは左足ブレーキを続けるつもりだ。左足ブレーキをやると、日頃、脳のあまり使わないところを使っているような気がして、頭がよくなったような気がする。「いまオレは未開の脳の部分を使っているんだ」という気になれるのだ。脳が若返ったような気分になるのだ。これは非常に大きな選択理由になる。【以上、左足ブレーキの精神論

 ボクの愛読している自動車評論家は、じぶんでも、国内外を問わず自車でラリーなんかに出ている実践を重んじるタイプだ。かれは普段日常は右足ブレーキだそうだが、ラリー(スバルのオートマチック車WRX S4をラリー基準に改造してラリーに出場)では、左足ブレーキだそうだ。理由は、アクセルとブレーキの踏み替えタイムラグを少なくしたいためだという。
 プロのラリー選手はマニュアル車しか使わないので、この問題は発生しない。(上記自動車評論家の試みは、オートマチックの方がラリーではもしかして有利ではないかという反論だそうだ。ボクの感じでは、ラリーはやはりマニュアルが有利) F1やインディ500などのフォーミュラカーはクラッチなしのマニュアル方式である。クラッチの切り替えは、ステアリングに装備してあるボタンでおこなう。だから当然、左足ブレーキ、右足アクセルとなる。0.01秒を争う競技だからね。ラリー車も近い将来、この形式(ボタンクラッチ)になると思う。問題はEVの実用化(つまり固体電池の実用化)との時間の争いか。

 高齢者の踏み間違い事故は、プリウスで発生していることが多いが、これは高齢者がプリウスを使用している事例が多いからだろう。エンジン車からハイブリッドに乗り換えたひとならすぐわかるのだが、ハイブリッドの発進は、エンジン車に比べると、静かで遅い。いきなりアクセルを踏んでも、エンジン車のようには飛び出さない。これは機構上、当然だ。ハイブリッドは最初モーター(エンジンより馬力は小さい。プリウスなら約30kW-40馬力)で加速し、それからエンジンがかかる。エンジン車でいえば、4速から発進しているようなものなのだ。暴走するまでにはタイムラグがあるはずだ。
 万一暴走して頭の中が真っ白くなって、とにかくブレーキとアクセルを一緒に踏んでも、現代の車はブレーキオーバーライドという装置があるため、必ず止まる。とりわけハイブリッドはそうだ。トヨタのハイブリッドで暴走したということは、アクセルだけを踏んでいたということだ。これ、左足ブレーキにとって、大いなる援軍だと思う。
 さらに、現代の車にはEDR(event data recorderというらしい)という装置が付いている。航空機でいうフライトレコーダーのようなもので、操作・操縦の記録が全部残るようになっている。アクセル・ブレーキ・ステアリングがバイワイヤになったから、こういうことが可能になった。福岡のタクシー運転手の暴走事故も(本人はブレーキを踏んだが止まらなかったと今でも言っている。この例、多数)、アクセルとブレーキの踏み違いであると警察から断定されている。事故の時、ちかごろ警察もやっとEDRを採用するようになってきた。
 プリウスのシフトの形などに難癖をつける人もいるようだが、文字どおり難癖だ。包丁で人が殺せるので、包丁は使うな、というのと一緒だろう。

 世間はどうして左足ブレーキに大げさな敵意を見せるのだろう? 多分、人と違うことをするひとを異端視するという、人類古来の癖が抜けないのだろう。
 左足ブレーキはEVになっても有効である。若い人は頭脳が柔らかい内に左足ブレーキに慣れておく方が絶対に有利だよ。
 左足ブレーキよ、永遠なれ!



 トヨタのC-HRという車に替えた――(2018/4/17)

 今まで乗っていた”ヴィッツG's” という車に飽いたわけじゃない。コンパクトカーのくせに全輪がディスクブレーキで、7速のパドルシフトがついていて、車重が小さいので(軽いので)結構キビキビ走る。唯一の欠点が、乗り心地がいささか悪い。路面のちいさいデコボコを拾ってしまう。ダンパー(ショックアブソーバ)に KYB(カヤバ製作所)を使っているせいが大きい。いったん外車に乗ると、やみつきになるのはこの乗り心地のせいといわれている。こればかりは歴史と伝統の力か、日本のメーカーも頑張っているんだが、追っつかない。アブソーバ自体は、決して複雑な機械じゃない。だからなおさら、難しいのか。
 C-HR はダンパーにドイツのザックス (Sachs) というメーカーの製品を使っている。工場はトルコにある。第2次大戦の枢軸国だ。ザックスは韓国でもライセンス生産をしているが、韓国の製品は評判が悪い。ホンダが一時高級車に採用していたが、いまは止めているはずだ。
 トルコのザックスはメルセデス・ベンツも使っている部品である。トヨタが一部の車にザックスのダンパーを使いだしたのは、「もっといい車を作ろう!」というモリゾーさん(豊田章男社長のハンドルネーム。あえて漢字で書けば「森蔵」だろう。名古屋で行われた緑化フェアのマスコットの名にちなんで使い始めたらしい)のかけ声のせいだ。
 それだけでなく、C-HR には後輪にダブルウィッシュボーンという懸架機構も採用している。若いときボクが乗っていたコロナの前輪にこの機構が使われていた (当時のコロナは FR で、前輪にダブルウィシュボーンが懸架できた) 。そのコロナはたいへん乗り心地がよく、つぎに乗り換えたカローラレビンの乗り心地の悪さに辟易したことを覚えている。そのレビンには3年乗ったが、乗り換えたときの下取り価格は買ったときの新車よりも高価だった。未だにその理由はわからない。後で知ったことだけど、レビンは名車だったのだ。

 C-HR がザックスのダンパーを使っていることは知っていたので、30年来の付き合いのあるディーラで試乗したら、これが予想以上に良いのだ。マンホールを通過しても、優雅にやり過ごす。日本車もやっとベンツに追いついた、と真剣に感じた。ベンツには、台湾の会社で地元の社長からよく乗せて貰ったから、その乗り心地はよく知っているつもりだ。
 すばやくボクの反応を見た四十絡みの営業さん(長い付き合いだ)が機敏に反応してきた。9インチナビを付けたフル装備で買ってくれたら、本体価格で33万円 (正確には32万9900円)、下取りで30万円だけ「勉強する」というのだ。合計で63万円だ。「勉強する」という言葉を久しぶりに聞いた。金物店をやっていた父親がよく使っていたなあ。
 ボクもすばやく計算して、それなら生活費で使っている普通預金通帳の中で何とか都合がつくと見当を付けた。試乗する前に、ボクも中古車専門店の「新古車」(走行距離約3000km以下、大抵はディーラの試乗車だったもの。中には200kmというのもあった) で、購入価格と下取り価格のおおよその値段は調べていた。63万円の値引きなら、新車を買う方が「新古車」を買うより安いのだ。新古車は7インチのナビだけど、新車は9インチだ。だからすぐ「商談成立」だった。

 衝動買いのようなものだが、ボクの方にもそれなりの理由があった。
 妻を亡くして1年半、今までは葬儀とか法事とかに紛れ、そうでもなかったのだが、近頃、急に無常観にさいなまれるようになった。有り体に言えば、夜中にふと、それもしばしば、耐え難いほどの寂しさを感じるのだ。それを紛らわすのに、趣味の車 (安い車限定だけどね) に没頭するというのは、かなり高級な処理の仕方だと思う。酒に逃げ込むよりもはるかに健康だ。これなら第一に無機質で清潔だし、わが娘どものひんしゅくと反感を買うこともないだろう。
 そう考えて、2年で車を買い換えることにした。少なくとも、しばらくの気分転換にはなるだろう。車を買ったら、あちらこちらといじくる回すからね。その上、大げさに言えば、日本国の経済を回し、国の経済発展の一助にもなるはずだ。日本の経済が停滞しているのは、国民が政府を信用せずに、老後の生活のために貯金ばかりするからだ。1億2千万の人口があれば、内需だけでけっこう経済は回るはずだからね。そう考えることにした。
 

 車を趣味とするときの唯一の危惧は、事故だ。もらい事故で死ぬのなら問題ないが、こちらがその原因には絶対になりたくない。運転席に座ったら、まずハンドルを指さし、「無事故で行こう、ヨシ!」と声を掛けるのを習慣にしている。現役の時にやっていたから、慣れたものだ。ただし一人の時限定だ。
 運転のための体力を保つために、市のトレーニングセンターに週3回は通って、ランニングマシーンで6kmの速歩している。それに、なにより頭の働きを衰えさせないために、数学の勉強にかなりな努力で取り組んでいる。テイラー展開なんて、はじめから復習し直したし、そのせいで、三角関数と指数関数に関わるオイラーの式に掛かっていた靄も晴れて、芯から納得できたと思う。そうなると、シュレディンガー方程式 (量子論の入り口だ) にも心置きなく手が出せる。
 好きな分野だけ勉強する数学 (ボクの場合、数論を目指している(^^;)) なんて、かなり高級な趣味だと思う。第一、試験を受ける必要がない数学の勉強は楽しい。数の世界では、世間の常識なんかいっさい無視できて、理屈だけで事が運んでいくんだから、精神衛生上、これは気持ちが良い。世間の空気を読む必要もないし、誰に忖度しなくてもよいんだから。数学ではその結果において世間の常識を無視していいことは、18世紀に天才オイラーが始めたことだからね。だから、数学の世界では1を無限に加えるとー1/2になる。これは別の欄でも書いているが、証明は簡単だ。利口な子なら小学校六年生でも理解できる。数学は枝葉末節に行くほど難しくなる。
 1/9=0.1111……でもわかるように、ゼロ以外の正の数を無限に加えても、無限大にはならない場合もある。小学生に無限の考え方をたたき込むときに、この例を使うと、納得した反応をする。


 ただしこんな話は、間違っても、たとえば天満宮の飲み会なんかで口に出してはならない。強い反感を買う。
 2月ごろ天満宮の「研修旅行」で、縁のある神宮の正式参拝のついでに、鹿児島の川内原発の展示場に行った。団体なので展示場の若いかわいい娘さんが説明についてくれた。総括的な説明が終わったとき、ボクが質問した。深い意味はない。思わず軽い気持ちで口に出たのだ。
 「ここの原子炉のメーカーはどこでしょう?」
 娘さんは一瞬戸惑ったような表情を見せた。
 「重工か、日立か、東芝か――?」
 「あ、三菱です」
 それには即答が返ってきた。
 説明のお嬢さんは質問の答えを知っていたのだ。ただ原発を巡る世間の風を感じていて、答えを言っていいものかどうか、一瞬戸惑ったのだろう。だいいち、こんな場所で質問なんかする団体客はいないはずだ。空気を読めないボクがいい歳こいて、世間知らずだったのだが。
 その夜の宴会では、この話題を肴にして、しばらく盛り上がった。表向きは娘さんの反応を面白がっているという風だったが、裏の真意はボクを揶揄していたのだ。真面目くさって質問なんかするバカがいる、といって――これは間違いない。

 話はそれたが、以上は事故を起こさないための「精神論」である。精神論だけではつまらない。
 具体論としてボクが実行しているのが、眠気防止のためのカフェインの使用だ。2時間以上運転することが予想されるときには、運転前にカフェインの錠剤を1錠200mgだけ服用する。水なしでも簡単に飲める。超濃いコーヒー2杯分だろう。これで6時間は眠くならない。6時間を越える運転の時は、5時間ぐらいでつぎの1錠を追加する。
 カフェインはアメリカ製が安価だ。日本で一番安い「カーフェ錠」の約10分の1で、ネットで簡単に買える。もちろん日本国内で入手したときの単価だ。これだけ単価が違うと、比較にもならない。アメリカから直接買えば送料込みでもっと安価であるが、トラブルが発生したときのことを考えると、このあたりでいいだろう。【注:200mgといえば、1円硬貨の1/5の重さだ。それだけでは小さすぎて扱いづらいから、1錠を1000mg 以上に増量している。手に持ってみると、1円硬貨より微かに重い感じがする。内容表示にはカフェン以外に記載がないから、増量剤は食用粘土(戦後よく食べたアメリカの安いビスケットなどに使われていた)の類か。糖衣錠ではない
 ピル容器に入れて、10錠ほどいつも持ち歩いている。車にも常備している。カフェインで注意することは、その効果が出始まるまで30分は掛かることぐらいか。その30分の間は、まったく利かないから要注意である。
 カフェインで副作用を自覚したことはない。アメリカではボディビルダーが体のエネルギー消費効率化の目的で服用しているらしい。アメリカから直接買うと、そういう類の商品の専門店からになる。アメリカの長距離自動車運転手もきっと使っているとボクは思う。あれだけ単価差があるのは、それだけ消費量があって、大量生産ができるからに違いない。

 土日と続けて計1000キロほど高速を走ってみた。燃費は高速で20km/Lで、こんなものか。はじめの500kmは「エコモード」、残りは「普通モード」で走ってみたが、2〜3km/Lしか違わないので、高速は「普通モード」が気持ちが良い。「エコモード」では息をつくような加速をする。1万キロ以上の慣らし運転が済んだら、「エコモード」でもよくなるのだろうか。プリウスとまったくおなじエンジンであり、加速の途中でプリウスは「エコモード」でも息をつかなかったからね。
 高速道路を走るときに利用する「オートクルーズ」という仕掛けはいいねえ!。楽ちんそのものだ。周りの景色が目に入るようになる。ラインの新しいところ(白線が鮮明なところ)を走っていれば、ラインからはみ出ることもないから、準自動運転みたいなものだ。技術の進歩はすばらしい。

 ふう……、終わりにしよう。



 急発進防止装置(商品名「ペダルの見張り番」を取り付けた――(2017/9/7)
 オートバックスで上記の商品を売り出して、好評だという記事を9月6日の朝日新聞で読んだので、早速取り付けた。
 取付費を含めて、43,198円。10時に予約して車を持ち込んで、取付が終わったのが、ちょうど13時。それから、30分ほどの1対1の説明と実地運転講習があった。
 アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防止する装置だ。今までなかったのが不思議なくらいのものだ。ギアがバックに入っていても、有効だ。
 ブレーキは通常は、アクセルよりも強く踏む。ブレーキとアクセルを間違えて踏んだ場合、アクセルを強く踏むので、事故につながる。だから、アクセルを急激に強く踏んだときに、アクセルが反応しないようにする装置だ。今の車はアクセルもブレーキも by wire(電気操作)なので、これができる。時速10km以下の時、作用するようになっている。 動作は3段階にセットできるようになっていて、2段階で乗ってみたが、調子はいい。発進の時、アクセルを強く踏むと、ピーという音がして、クリープのままである。緩めてゆっくり踏み直すと、普通に発進する。ギアをニュートラルにして、何回か試してみたが、急激にアクセルを踏んだときは、アイドリングのままだ。

 ただ、注意が必要なのは、例えば、脇道の出口で一旦停車して、発進するときだ。今までのように、急激に加速できないので,注意を要する。高速道路への進入の時は、一旦停止しなければ、問題ない。

 これを取り付けて感じたことは、発進の時、結構急激にアクセルを踏んでいたということが分かる。

 坂道の途中発進の時はサイドブレーキを使うなりしてください、ということだったが、ボクの車の場合、これは以前とまったく変わらない。いったん途中で停止してそのままアクセルを踏んでも、後退はしない。その動作はまったくかわっていなかった。

 熊本の町工場が開発した「成瀬ペダル」という,同じ目的の機械的な装置がある。ボクはその町工場でその装置を付けた車に試乗したことがある。今から8年前ほどのことだ。当時で取付費込みで11万円だった。少し前の新聞では、現在の値段は、取付費込みで20万円ぐらいだそうだ。アクセルとブレーキが一体になった構造で、足首を横に動かす動作でアクセル、縦に踏み込む作動でブレーキという装置で、慣れが必要だと感じた。もちろん十分に実用に耐えると断言できる。しかし、この機械仕掛けと今回のオートバックスの電気仕掛けを比べると、価格、慣れの必要がほとんどない等の点で、この電気仕掛けに軍配が上がると思う。

 成瀬ブレーキは町工場(有明海の海苔の採取機械を製作している)の社長・成瀬さんが、長い時間を掛け、一人で苦心惨憺して作り上げた品物で、「イッピン」の雰囲気を感じさせる芸術品のような装置である。そういう機械装置が好きな人にとっては、たまらない魅力があると思う。20万円が問題でない人は、熊本の田舎の工場まで行って、ぜひ一度実物を見てほしい。




 トヨタが固体電池開発、実用化にメド ――(2017/8/20)
 下記の記事は2017/7/25の中日新聞である。中日新聞のトヨタに関する記事は、実績を見ればきわめて正しい。
 これが実現すると、自動車だけではなく、生活にも大いに影響が出てくる。2022年は今から5年先だ。ボクがまだ生きていれば、つぎのつぎの車はトヨタのEVで決まりだね。

 【中日新聞の記事】

 トヨタ自動車は、現状の電池よりも飛躍的に性能を高めた次世代の「全固体電池」を搭載した電気自動車(EV)を2022年にも日本国内で発売する方針を固めた。現在のEVの弱点である航続距離を大幅に延ばしフル充電も数分で済む。車載用では世界初の実用化になるとみられ、EV開発で欧米メーカーが先行する中、革新技術の導入で巻き返しを図る。

 現在、各社が販売するEVの車載電池には主にリチウムイオン電池が使われている。電解質を液体から固体に替えた全固体電池は、リチウムイオン電池の2倍の充電量を見込める。現行のEVは航続距離が300〜400キロ程度とガソリン車より短く、急速充電であっても数十分かかるが、全固体電池はこれらの弱点を一気に解決する可能性がある。

 長年にわたり全固体電池の研究を進めてきたトヨタは昨年、東京工業大などとの共同研究で電解質に適した固形素材を発見したと発表した。

 22年以降に国内での市販を目指す新型EVに搭載するため、量産化に向けた開発を今年から本格化させた。新たにEV用のプラットフォーム(基本骨格)を開発し、全固体電池を搭載する計画だ。19年にも中国で生産、販売する小型スポーツタイプ多目的車(SUV)「C−HR」をベースにしたEVは、迅速な市場投入を優先して既存のリチウムイオン電池を使う予定だ。

 全固体電池の開発は、独BMWやフォルクスワーゲン(VW)なども進めているが、量産を巡る具体的な計画は明らかになっていない。

 <全固体電池> 充放電の際にイオンの通り道となる電解質にセラミックなどの固体を使用する。液体を使うリチウムイオン電池と異なり液漏れの心配がなく、高熱にも耐えるため安全性が高い。出力や蓄電量も倍以上の性能が期待できる。

(以上、中日新聞)

 充電時間が数分ですむのなら、現在使用中のCHADEMO方式は使えないだろうが、それは何とでもなる。問題は、電池の耐久性だ。現在のリチウムイオン電池を使用している日産の電気自動車リーフ(新車で買えばクラウンほどする)は、中古になると電池が劣化して、そのせいで中古のリーフの価格は高くて40万、2011年製なら9〜22万だ。国沢氏(自動車評論家)のリーフは1充電あたりの実走行距離は80kmだそうだ。買って4、5年だろう。こんなことなら、誰もEVなんて買わない。トヨタのことだから、このあたりのメドもついているに違いない。ハイブリッド車を売り出したときのように、安く売り出してください、トヨタさん,お願いします。

 この中日新聞の記事、内容はきわめて衝撃的だが、他の新聞はどこも報じないし、EVの記事でも、従来どおりだ。この電池と太陽光発電を組み合わせると、一般家庭は、買電の必要がなくなる。世の中が根底から激変するよ。2022年が楽しみだなあ。 


 アルミ箔テープを車に貼って、空力特性をよくする(トヨタの特許)話――(2016/9/28)――

 この話、「トヨタ アルミ箔テープ」でググると、たくさん引っかかってくる。要するに、車のプラスチック部分・ガラス部分にアルミテープを貼ると、空力特性がよくなり、その結果、乗り心地・ハンドリングがよくなるというオカルトめいた話である。トヨタが特許を取得し、プロボックス・サクシードなどの商用車、86などの新型の趣味車、レクサスの一部、ノアなどの売れ筋のワンボックスにもすでに採用しているというからには、それなりの効果があるに違いない。とりわけ商用車に採用したというのが、この技術に真剣に向き合っていると思う。効き目がなければ商用車なんかに採用しない。風の抵抗が大きいワンボックスタイプほど効き目が実感できるというのも、理にかなっている。トヨタではこのアルミテープを部品として売り出している――でも、ちょっと高いかな。だけど、導電性アルミ箔テープを使うといいそうだから、これならネットですぐ買える。

 これで思い出すのは、10年以上前に話題を賑わせていた「アーシング」だ。今はさっぱり聞かれなくなったが、現在ではたいていの車メーカーは製造工程でフレームのアーシングをしているのだそうだ。つまり、アーシングは効果があったということだ。

 アルミ箔テープとアーシングの話、いずれも車に発生する静電気に関係していて、しかも、トヨタが採用しているので、アルミテープの話も信用できると考え、とにかく試してみようということになるじゃないか。だいいち、カネはほとんどかからないしね。ボクの投資額はアルミ箔テープ代金200円だけ(2000円/巻のうち2mほど使った)。
 
静電気の知識なんて皆無に近いから、少し勉強してみようと思う。
 静電気の間に働く力はクーロン力とか言っていたけど、あれはわずかな力だから、結局は車体に発生する静電気(空気中の静電気と同極で、車体表面に乱気流を作るらしい)を逸散させて、クーロン力よりも遙かに大きい空気抵抗を減少させようとしているのかな。とにかく車体には、空気との摩擦で大変な量の静電気が起きるらしい。

 まずトヨタが取得した特許をプリントアウトして読んでみた。図を見ながら説明を読むので、プリントアウトは必須だと思う。https://patentscope.wipo.int/search/en/detail.jsf?docId=WO2015064195
 このwebが出たら、このなかの「フル テキスト」の項目を出す。これ全部をプリントアウトする。たいしたページ数ではない。他に図面があるが、これはパソコンの画面で見たほうがいい。パソコンの画面を見ながら、テキストを読むのだ。テープを貼る場所だから、すぐに納得できる。

 これを読む限り、アルミ箔テープは厚さ方向に導電性が必要だ。これは上記書類にも「電導性アルミ粘着テープ」と書いてある。手元にあったホームセンターで買ってきたアルミ箔テープは厚さ方向の導電性はない。(アルミ箔なので、当然だが長さ方向の導電性はある)これを調べるには、テスターなんか必要ではない。懐中電灯の乾電池の間にアルミ箔を張ってみれば、導電性がなければ点灯しないはずだ。ホームセンターのものは点灯しなかった。定性的な話だから、テストはこれで十分だ。
 ホームセンターの店頭には導電性のテープは置いてなかったので、いつものようにネットで買った。(寺岡製作所 導電性アルミ箔粘着テープ No.8303 15mm×20m No.8303 送料込みで2000円ほど) 懐中電灯でテストすると、ちゃんと点灯した。つまり、粘着剤を通して厚さ方向に導電性がある。
 15ミリ幅を選んだのは、この用途のアルミ箔には、静電気の特性上、面積はそれほど必要なく、縁の長さがより有効だというからだ。それに、できるだけ目立たないように張りたいので、幅は狭いほうが扱いやすい。

 これを下記のような箇所に張り付けて、たまたま所用ができたので、高速道路を280キロほど走ってみた。10キロ以上走ると効果が出てくると書いてあったが、効果は3キロぐらいで出て(つまりボクの車は静電気がたまりやすいということか……)、高速に乗る前に体感できた。それは予想以上、驚愕の好結果だった。

 まずハンドリングがスムーズになる。「オレはこんなに運転がうまかったのか!」という感じだ。これは快感だよ。こういう快感を味わったのは、30年以上前、初期のコロナの機械式ディストリビュータをセミトランジスタ式にかえたとき以来だ。
 つぎに、道路の凹凸でバウンドしたときに、ガタンと飛び上がった時の音とショックが消えた。「ゴト」の1回で終わる。ダウンフォースが利いている感じだ。車体が路面に吸い付いているような感じがする。帰りの高速道140キロはほとんど豪雨の中だったが、運転に不安は感じなかった。雨の中の自動車道の、下り坂の連続カーブでも、タイヤがアスファルトに吸い付いている感じなのだ。場所は悪名高い中国道の下関までの下り坂のカーブ30キロだ――かつて、ランボルギーニやカウンタックで集団走行していた連中が数台の玉突き事故を起こした場所と言えば、わかると思う。連中の事故は、晴れの日の上り線の上り坂だったけど。
 タコメータが2000回転を超す頃、エンジンの排気音が図太くなる。これはエンジンルームにある吸気口(黒い樹脂製)とエアフィルターのケース(これも樹脂製)にアルミ箔を張ったせいかもしれない――空気の流れがよくなり、吸入量が増えて、小さいターボ効果が出たのかもしれない。ただ、出力が大きくなった感じはない。

 合計300キロ(うち高速280キロ――全行程の93%)の燃費は17.1km/L9/30日満タン法で測定)で、かなりいいが、これは高速道が多いせいだろう。アルミテープのせいではないだろう。日常使用の実燃費が出るのは、ほぼ1ヶ月後の10月中旬。
 その後、10/8までに484.3km走って32.0L(そのうち300kmが上記と同じ行程)だったので、普通道184.3kmの燃費を計算で出すと、12.8km/Lになる。良くもないが、悪くもない。つまり、アルミテープは燃費には大して貢献しないらしいとわかった。

 この実験の一番の弱点は、その効果(つまりフィーリング)を、燃費を除けば、定量的に証明できないことだ。やる方法はあるのだろうが、ボクは知らない。

 【導電性アルミテープを貼った箇所】
 1)運転者の膝のところにあるステアリング・コラムカラーに10センチ長を2本。ここが一番オカルトっぽいところだ。運転席に頭をつっこまなけば、ひとには見えない。こちらから言わないと、絶対にわからない。先ずここに貼って、実感してほしいと自動車評論家はいう。
 2)エンジンルーム内のエンジン吸気口に10センチ、エアクリーナーのカバーに10センチ2本。アイドリングの回転数が100rpm落ちた。700rpmが600rpmになった。エアコンを切って試すと、これが確認できる。
 3)バッテリー側面と上部に5センチを1本。(ー)端子に2センチを1本。
 4)サイドミラーの下側。屈んでのぞき込まなければ、見えない。風切り音が減るのではないか、と思ったから。メルセデスにはメーカーでここに張ってあるやつがあるらしい。風切り音に関しては、ここの効果はよくわからない。ボクには実感できない。
 5)フロントガラスの最下部、左右に10センチ、2本ずつ。これは第三者に見える。ただし、運転者/席からは見えないので、車検には問題ない(と思う)。
 6)フロントバンパーの下部、路面側の左右に10センチ2本ずつ。もちろん外部のひとには見えない。
 7)リア・ウィンドウのガラスの上部中央に10センチ2本。これはあからさまに見える。リアスポイラーの下側(中央ストップランプの直前)に10センチ1本。これはほとんど見えない。
 8)サイド・ウィンドウの前後のガラス部分の最上部、サイドバイザー(ウィンドウシールド)に隠れる部分に、窓ガラス1枚ずつに10センチ2枚を横に並べる。左右で計80センチ。これは、サイドバイザーのせいで、気をつけて見なければわからない。フロントドアの窓ガラスは車検の時引っかかるかもしれない。
 9)バッテリー本体の上部と側部に10センチずつ計20センチ。
 10)車内の前部天井、使用していないときのサンバイザーに隠れる位置に、10センチを左右に2本ずつ、計40センチ。
 11)車室内のルーフライナー(天井の内装のこと)の中央に縦流れに20センチ。車内のひとには見えるが、普通、車の室内の天井なんて、誰も見ないし、気にしない。


 以上、すべて特許の図面に表示してある場所だ。もちろんこれ以外にも、ボディー下面の樹脂の覆い、燃料タンクなど多数あるが、とりあえず上記11箇所に導電性のあるアルミテープを張った。1)と2)は自動車評論家・国沢氏が推奨している場所だ。とりわけ1)は、その効果が最も大きいと多くの自動車関係者も口をそろえて言っている場所である。
 なお、国沢氏のHP(2016/9/30)によれば、1)運転室のステアリング・コラムのカバーにアルミ箔を張った場合、三菱アウトランダーPHEVとフランスのルノー車では、コーションランプ(警報ランプ)が点いてエンジンが止まるそうだ。もしかして三菱とルノー、製造工程でアーシングしてないのかな? トヨタ車は製造工程でアーシングを施してあるそうだ。 試行した車のどの程度(%)でそうなるかは書いてなかった。テープを剥がして再起動すれば、問題ないという。テープに集まった(+)静電気がそうするとしか考えられない。これだけでも、想像以上の電荷が発生していることがわかるし、テープの効果もわかる。われわれが知らない現象がまだたくさんあるということだ。
 なお、アーシングとは一昔前に、利く・利かないで議論になったあのアーシング。アーシングは利くとわかって、日本の自動車メーカーは黙って取り入れていた。少なくともトヨタは製造工程でアーシングを施している。

 このような、ひとがあまり知らない、秘密のバイパスめいた話がボクは好きなんだなあ。

 この結果が、上記の驚愕のフィーリング・所感を作り出した。

 やってみて絶対に損はない。これだけは保証するよ――ボクの保証なんか何の役にも立たないけどね。なおこのアルミ箔テープの話、定期点検でディーラーに車を持ち込んだとき、ディーラーの担当者が知らなかったので(「あのテープ、何かの意味があるんですか?」と本気で聞いてきたので)、「あれ、知らないの? バスに乗り遅れるよ」で始めて、滔々と説明してやった。愉快だったなあ。展示場においてあった「86」のフロントバンパーの裏側にもちゃんと貼ってあったそうだ。あとで電話が来た。
 「トヨタ アルミ箔テープ」でググると、上記のテーマで多数の記事が出てくるが、似たような話に「uso800」(車にアルミテープを貼り、性能を上げるという部分が、その中にある)がある。どちらも根底には静電気が原因しているらしいと思うが、「uso800」のほうは、車以外の部分の扱いが完全にオカルトで、新興宗教色さえ見え隠れして、インテリを自認にしているボクとしては、とても受け入れられない。どちらの話がより早く出現したかはボクには判断できないが、インターネット上で読む限りでは、uso800のほうが早かったのかなと思われる。



 車を変えることにした――(2016/3/2、2017/4/26)――
 ハイブリッドにそろそろ飽きてきた、ということも紛れもない理由だが、車を換えるもっとも主要な理由は、寄る年波に勝てず、自動停止装置の付いた車の必要性を感じ始めたからだ。あと一つ、わが家の周辺の道路環境では、プリウスでは大きすぎることもある。それで注文した車種は、ぐっと2段階も小型化(つまり安い車種ということ)して、VitzのG’sというタイプ。
 今の使用状況(福岡・東京往復なんてことはしなくなったからね)では、年間10,000kmも怪しい。多分今後5年も生きてはいないだろうし、生きていても車の運転はあと5年だろう。つまり、この車がボクの最後の車だろう。そう考えて、ヴィッツのG'sというタイプにした。このタイプがあるのは、ハリアー・マークX・プリウス・アクア・ヴィッツの5機種。(ただしVitzのこの車種2017/04頃には生産中止――普通のVitz RSに比べ30万円ほど高価なので、売れなかったんだね)。
 ガソリン価格は今後、140円/Lを大きく越えることはないだろう。アメリカのシェールオイル・シェールガスの産出が軌道に乗り、その原油価格が40〜30ドル/バレルが確定したためだ。しかも、アメリカは原油を輸出したがっている。つまり、国内消費量を超えた産出量が予測されたためだ。ハイブリッドの価格は、普通のエンジン車と比べて、もう少し安くしないとだめだね。しかも、イスラエルにサウジアラビアに匹敵するほどの大油田が発見されたそうじゃないか。それなら、高くても原価5ドル/バレルだろう! イスラエルは金持ち国になる。

 G'sというタイプは、言うなれば、メーカー(トヨタのGazoo)製のチューニング車だ。普通のタイプと比べても見た目の変化はたいしてないが、見えない部分に結構手を入れている。ブレースを使った車体の剛性の強化(フロント1か所、リヤ3か所)、ロッカーパネルにスポット溶接打点6か所追加(これはメーカーでなければ絶対にできない)、フロントスポイラー、空力フィンなど空力パーツの追加、コイルスプリングのバネレートを41%強化、車高を10mmダウンなど、人の眼に触れない部分にかなり手間暇を掛けた玄人好み(^^;)の車だ。見た目よりも、乗り心地・運転性能にカネを掛けている。江戸の通人が着物の裏地にカネを掛けたやり方と心理的に似ている。ただし、エンジンと駆動装置には手を付けていないから、世に言うスポーツカーでは、けっしてない。乗り心地とフィーリングに手を入れた、どちらかと言えば、年寄り向けの車だろう。
 ただし、スポーツモードで乗ると、驚くほど加速が良い。大昔に乗っていたスターレットにフィーリングが似ている。だから、近頃は近所のチョイノリはスポーツモードで乗っている。エコモードで乗るのは高速道路の時ぐらいだ。

 車を換える前に、視力を確保するために、白内障の手術をした。白いレースのカーテン越しの景色が、レースのカーテンはおろか、窓を開け放った鮮明な景色になった。それ以上に道路標識が楽に読めるようになった。手術以前は高速道路の標識が見づらくなっていた。近くに完全な四つ葉クローバ型の鳥栖ジャンクションがあるのだが、その道路標識が読みづらくなっていた。それから、夜の運転が本当に楽になった。
 めがねで補正しても片目で0.5しかなかった視力が、0.8になった。両眼では1.0程度だ。(左目は25年ほど前、眼底出血で視力が落ちて、0.2程度だった。もちろんこちらも手術したら、明るさが戻った。手術後の視力検査では、左眼0.5になっていた)手術前はめがねで補正しても、両眼で0.6程度しかなかった。両眼にあった飛蚊症がなくなったのも、うれしい副作用の一つだ。眼科の先生にそう言ったら、幸運な例だと言っていた。
 費用は片目で1万2000円程度。正味の手術時間は1眼、10分ぐらいか。目薬による麻酔で、先生は「痛くない」と言ったが、10秒ほどだけど、やはり少し痛い。ただし、歯医者よりはましだ。手術後、眼帯をしてすぐに帰宅できて、次の日に眼帯を取ってもらって検査して、それで終わり。1週間は洗髪禁止だけ。
 当然、現在使用中のめがねは合わなくなる。これを作り替えるのは、手術からひと月ほど後がいいと先生が言ったので、そうすることにする。ただし、合わないと言っても、遠くのものが少しぼんやりする程度で、実用にはあまり困らない程度だ。

 以上の経験から、年寄りにドライバーには、白内障の手術はおすすめです。ただし、先生曰く、白内障の手術には「手遅れ」ということはないそうだ。100%安全な手術はないからね。

 2017年からトヨタは海外でWRC(国際自動車連盟主催・世界ラリー選手権 FIA World Rally Championship)に出場するが、その出場車がこの機種(ヨーロッパの呼び名はYaris)だそうだ。WRCは、一定の量産車でなければ出場できないから、競技専用車をすぐ準備するわけにも行かないので、とりあえずVitzのG'sを競技用に改造したもの(1.6Lにして直噴ターボ化)をそれに当てるらしい。もちろん、WRCのために、C-HRという機種を売り出すそうで、プロトタイプも発表している。トヨタのこれらの一連の動きは、もちろん「モリゾウ」さんの指揮だろう。世界に向けた車の売り方を本当によくわかっていると思う。
 WRCから、財政難のために、三菱とスバルが手を引いてしまったから、日本のために、トヨタには頑張ってほしい。出場経験のあるスズキも再度出てもらいたいが、厳しいのかな。この大会でいい成績を残すと、その機種だけではなく、その会社の車の、海外での売り上げが断然伸びるそうだ。
 笹子トンネルの天板崩落事故の時、車体の左半分を潰されながらも、ただ1台だけ、走り抜けて助かった車(NHK職員が運転)がいたが、その車がスバル・インプレッサWRX STiで、かつてWRCで華々しい成績を残した車だった。その好敵手が三菱・ランサーエボリューション。WRCで活躍しようとすれば、2、3回の横転ぐらいで動かなくなっては、問題外なのだから。

 車が手元に届くのは、4月の下旬だという。届いたら、とりあえず1000km(ほぼ九州一周)乗って、続報を書く。


 4月27日、車が来た。ネッツの担当セールスマンが言うほど、乗り心地は悪くない。ミニバン用タイヤを履いたプリウスほどではないが、購入直後のプリウスよりは遙かに乗り心地はいい。一番気持ちがいいのが、ハンドリングの良さだ。意のままに曲がる、と言ったらいいのだろうか――運転がうまくなったような気分にさせてくれる。それに、車体の剛性の高さがこんなに気持ちいいものとは知らなかった。
 ダッシュボードは回転計(タコメータ)が真ん中にすわっているタイプだが、このタイプは若い頃乗っていた経験があるので、違和感はなく、どちらかといえば、お里に帰った感じで落ち着く。結果として、タコメータを見て走ったほうが、ゆっくりと走っている。
 頼んでもいないのに専用のリアスポイラー定価で81,000円)、ホイール(これが結構高価だから、よく盗難に遭うらしい)とナンバープレート(ライセンスプレート)のロック装置3年分のJAFをサービスで付けてくれたのは、同じディーラーと30年以上付き合っているせいだろう。プリウスの下取り価格もぼくの実地調査より20万円は高かったしね。あるいは、Vitzがこのディーラー(ネッツ)しか取り扱っていないというのが、つまり、Vitzならサービスできます、というのが利いたのかな。もちろんドライブレコーダは純正(純正である必要はないんだけど)を付けている。
 この車種にはスペアタイヤは付いていない。そのかわり、タイヤの応急処置装置を積んでいるが、ディーラーが言うには、「パンクしたらJAFを呼んでください。それが一番早い」のだそうだ。そうは言われても、釘を踏んだぐらいなら、自分で手当てして、スタンドまで走るつもりだ。元エンジニアの端くれだからね。
 フロントのフォグランプ(19Wとワット数が結構大きい)と車幅灯は、サービスに対するお返しの意味で、ディーラーでLEDに換えた。Koito(小糸)製のLEDだ。夜走ってみたが、なかなか調子がいい。
 ウィンカーランプ(前後)はとりあえず自分でステルス球に換えた(中古のランプをもっていたからね)――以前書いたように、「煽り止め」に相応の効果が期待できるし、ステルス球自体は中古を持っているので、タダだからね。アンテナも自分でフィンタイプに変えた。ついでに、ライセンスランプもLEDに変えた。

 ウィンカーをステルス球に換えると、黄色いウィンカー色が消え、これが「煽り止め」になる。煽る奴は「ステルス化」の意味を知っている若者が多いからね。

 最近のオートマチック車は、上り坂道発進で、一瞬の後退に気を遣わなくていいようだ。プリウスは坂道発進装置が付いていて、ちょっとした坂道なら、よく利用した。G'sにはこれが付いていなくて、そのかわり、坂道の途中発進でも後退しない。どういう仕掛けなんだろう? これは非常に調子がいい。軽くブレーキを利かせている感じがする。平地でアクセルを離してエンジンブレーキを掛けると、軽いブレーキがかかっている感じがして、最後にスッとブレーキが緩む感じがする。

 県道の峠越えのつづら折りでパドルシフトの性能を試した。いままでパドルシフトの付いている車には乗ったことがなかったからね。結論は、「快適!」。長い下りでも一度もブレーキを踏まないですんだ。

 この車にはアイドリングストップ装置は付いていない。燃費で勝負するタイプの車ではないのだ。アイドリング時の回転数は800rpmほどだが、音と振動はほとんど感じられない。聞いた話では、エンジン・マウントにも普通のヴィッツとは違う材質のゴムがつかってあるそうだ

 このタイプの車は、燃費を気にしない人が乗る車なんだが(そうは言っても、エンジンは1500ccだから、たかがしれている)、燃費は満タン法で測定して10.7Km/Lだった。走行距離257.6Km、24.08L。日常の買い物が主で、太宰府という観光地の超混雑地域のど真ん中に住んでいる。走行距離257Kmはすべて日常買い物だ。高速は使っていない。1万Km乗れば12、3Km/Lだろうか。同等の条件で以前乗っていたプリウスは19.5km/Lだった。
 ガソリン115円/L、年間走行距離5000kmほどなら、7年ほど乗らなければペイしないという計算はこの燃費を使っている。現実的には、ガソリンが130円/Lになっても、7年でペイという計算は成り立つだろう。
 2016年6月末の時点で、走行距離1600km時点の、300km(感じだが、高速10%、郊外路20%、買い物等市内が70%)ほどの実績燃費は14.0km/L。自慢じゃないが運転はそこそこ荒い。それでこの燃費だから、燃費は結構いいと思う。

 あと残っている改造は、ウィンカーのLED化だけど、これはフラシャー防止装置を付けなければならないので、専門店に頼もうと思っている(もう少しからだが動けば、もちろん自分でやるんだけど)。ウィンカーって思っていたよりワット数が大きい。ディスチャージのロービームで35ワットなのに、前後ウィンカーで42ワットである。ボクはウィンカーを多用するので、これのLED化はあくまで気持ちの問題だが、是非やりたい。経済性だけを考えたら、メリットなんか絶対ないと思うんだけどね。英国のEU離脱を考えたってわかるように、経済性だけで人間は動かない。イギリスはきっと、ドイツと一緒またはその下(EU出資比率ドイツ25%、イギリス11%)でやるのに我慢ができなかったんだね。

 2016年7月2日、ウィンカーのLED化を完了。これでヴィッツの「お手入れ」は完了した。これでウィンカーの点滅のキレ(これこそ好きずきだろうなあ)もよくなったので、気持ちいい。プリウスと同じように、ほとんど使用しない車内照明はいじらない。もちろん使う予定のないリアフォッグランプもそのままである。

 購入からほぼ2か月、未だに同じ車(VitzのG's)に出会わない。ディーラーの話では市内にもう1台、赤いヤツがあるらしいんだけどね――こんなこと、漏らしていいのかな?。若いお嬢さん(ならかわいいに決まっている)が乗っているらしいから、出会ったらフラッシュするのを楽しみにしている(^^;)
 2016年9月中旬、購入してほぼ5ヶ月たったが、同じ車にまだ一度も出会わない。これは気持ちいい。

 2017年4月26日、ほぼ1年たったときの車載メーターの平均燃費は13.3q/L、高速道路だけなら、16.4q/L強。全走行距離は11,350qである。まあまあ、こんなものか。
 これで普通車とハイブリッドの差33万円(AquaとVitzとの価格差。Vitz G'sとの差ならほぼ0円)を取り戻すには、【Aquaの燃費20Km/L、Vitzの燃費13Km/L、年間10,000Km走行、ガソリン130円/L】とすれば、9.4年ほどかかる。結論は、ボクがもし今後車を買うなら、ハイブリッドは不経済かもしれないが、話はそんなに単純ではない。ハイブリッドに対する税金の割引が意外と大きいのだ。見積もりをシミュレーションする必要がある。これはネットで簡単にできる。C-HRでハイブリッドとターボ(4駆)との差は、税金を含めると実質4万円しかない。カタログ価格ではその差は13万円で、ハイブリッドのほうが高価。この金額は車種によって違うので、乗りたい車種で調べる必要がある。C-HRで言えば、その差が税金の関係で4万円になるのなら、九州ならやはりハイブリッドだろう。4万円なら1年で元を取るからね。C-HRの場合、ターボ4駆は雪国向けである。



 タイヤを替えたら、乗り心地が劇的によくなった――2015/8/2――
 新車から乗って走行距離ちょうど30,000kmでタイヤを替えた。新車装着時のタイヤはYOKOHAMA S70、195/65R15。もちろんスリップサインは出ていないし、まだタイヤの溝は3mmほどあって、1年後の車検にはたぶん通るのだけれど、車の買い換えの時期なんかを考えると、今が替え時かと考えた次第。小さいクラックも結構、走っていた。
 新しいタイヤは、TOYO Grampath mpZ、サイズは同じ。すべて込みで47,600円。たぶん高価ではないと思う。買った店は「博多タイヤ」という比較的近くのタイヤ専門店。
 ボクの車はプリウス”S”だけれど、このmpZはミニバン専用に開発されたものだ。なお、エコタイヤと称するもので、普通車用(国産)なら、38,000円~42,400円だ。

 「普通車にミニバン用タイヤを履くと、乗り心地がよくなる」という話は聞いていたが、これほどとは思わなかった。橋の段差やマンホールなどは、遠くでコツンという感じで乗り越える。前のタイヤでは足下で「ガタン!」だった。
 これからは段差を踏むのが楽しいくらいだ。取り替える前は、段差の手前でブレーキを小さく踏んでいたほどだったのに。「子供が車酔いしなくなった」という話も聞いたことがある。たぶんこれも本当だろう。

 「タイヤのグレードアップは、価格相当の効果がある」と言っていいと思うというのが結論だ。


 ウィンカーと後退灯をLEDに変えた! ――2013/7/6――
 ウィンカー一式の価格が1万円ほどになったので、ウィンカー(正式名称:フロント・リヤ方向指示兼非常点滅灯)をLEDに変えることにした。これをLEDにするにはハイフラッシャー防止器を取り付ける必要があり、そのために運転席の足許にもぐり込まなければならず、体の硬いわたしにはきついので(苦労したと、皆さんもネットに書いている)、その部品の取付とフロント2灯の取付(リフト装置がなければ、地面に寝転ばなければならないからね)はショップに頼むことにした。ついでに後退灯もLEDに変えた。デフォルトでウィンカーが21W×2=42W、バックライトが21W、合計で63W。これがLEDに変更後は18W程度になる。照度が大きくなって、消費電力はデフォルトの30%未満になるわけだ。それでも、コストだけを計算すればまったく赤字だが、ここは趣味の領域なので、気分を重視することにした。とりわけウィンカーはその明かりのキレが段違いに気持ちいい。バックライトも段違いに明るくなり、これは暗いところでの車庫入れ時におおいに重宝するだろう。ただわたしの好みから言えば、ウィンカーの色調はステルス化した電球のほうがいい。しかし、実用面からはLEDのほうが色調が鮮明なだけに、好ましく、より安全だろう。
 わたしはどちらかと言えばウィンカー(非常点滅灯)を多用する。ちょっとした駐車ではかならず非常点滅灯を点滅させている。これからはこれが心置きなくできるわけだ。それに点滅音もかなり小さくなった。サービスエリアなどの広い駐車場で自分の車を探すときは、点滅させていればすぐにわかって、非常に便利だ。
 これでわが愛車のLED化は完了だ。ルームランプは常時切っているし、ほとんど使わないので、いじる気はない。

 なお、こういう修理は、大きなチェイン店(自動後退や黄色帽子など)よりも、専門店のようなところのほうがかなり安い。家の近くに車のLED化専門店(本業はバイクのトライク(3輪車)化らしい)のようなショップがあったので、そこで聞いたら、有名チェイン店の見積りよりも工賃・部品代でほぼ半額だった。見積りも、こういう専門店のほうが、箇所ごとの単価が明白で、断定的で明晰だった。やってみた具合では、もう少し高くなることもある、なんていい加減なことをチェイン店では言う。そんなところに頼むわけには行かないではないか。つまりちゃんと仕事のわかった職人がいないに違いない。
 実は、ウィンカーの部品はネットで買って、取り付けてくれるところを探していたら、結局、ネットで買った店が取り付けてくれるということがわかった、という次第。だからバックライト用のLEDは、取付けの日に、店頭で衝動買いしたものだ。対応してくれた店員さんの態度も本当に気持ちよかった。バックライトは30Wの明るいやつもあるのだが、実用だけからなら9Wで十分ですというので、そうしたというわけだ。リヤ側のLEDの取付なんか簡単で自分でできるので、自分でやるといったら、いやな顔一つしなかった。もちろん、部品代と取り付け費は箇所あたりの別計算である。もちろんネット価格と店頭価格は同一だ。
 この日、天候は最悪だったけれど、久しぶりにいい気分になれた日だった。店の名前は「ユアーズ Yours」、実店舗は大野城市の国道3号線沿いにあります。



 いわゆる『燃費改善剤』について。――2012/11/03――
 【その後のテストで有意の差は認められなくなった。代用品は薦めることはできない、というのが結論
 その後のテスト:確認のため、添加を中止して1000キロほど走ったが、20q/Lが確保できた! とりわけ丁寧に走ったわけでもないし、高速道路はほとんど走っていない。つまり、実用上の差は出なかった、という結論になった。それなら、微量とはいえ、灯油は添加しないほうがいいに決まっている、というのが結論になる。


 【試してみてもいいけど、その結果に《当局》はいっさい関知しないからね】
 ガソリンに添加して燃費を安くする添加剤が今回のテーマ。結論は、ガソリン1リットルに対し、灯油1mL(cc)〜2mL(cc)(つまり1〜2‰)程度添加すると、ぼくの実績では、燃費が15%〜20%ほどよくなる。18q/L程度が21q/Lになる。少なくとも、ぼくの30系プリウスでは、そうなる。なおこれは法規違反ではない。ガソリンの灯油混入量は、容量比で4%以下と定められている。


 2年ほど前、奇妙な名前の添加剤(1缶1リットル6000円が売価)を買い、新車の30系プリウスで使った。近場の3000q程度の実績(つまり殆どがちょい乗り)で20q/L〜22q/L。その後その添加剤を使い切り、添加剤を使用しない状態で乗っていたら、しだいに燃費が悪くなり、18q/Lになった。もともとぼくは運転が下手で荒っぽく、人よりも燃費が悪い。それでも、いささか気になり、気をつけて運転していたが、いっこうに改善しない。
 その時、もしかするとあの添加剤が効いていたのかと、ふと思い当たった。実は、添加剤を使用中は、「値段のわりには、たいして利かないなあ」と思っていたのだが、それが、実は利いていたんじゃないか、と考えたのだ。
 それにしても、6000円/Lは高い。使用量はガソリン1Lにたいし添加剤1mL(1‰)、つまりガソリン1Lにたいし6円かかる。上記の効き方だと、損はしないが、大して得もしない。ガソリンを150円/Lとすれば、1000q走行したとき、900円ほど得をする。


 その6000円の添加剤を使用しているとき、「こりゃ、灯油の臭いじゃないか?」と思い、ネットで調べると、その添加剤の成分分析表が出ていた。しかし灯油の成分分析表は探したが見当たらない。臭いが同じなら、大雑把には同じじゃないか(ぼくの得意の考え方(^^;))、と考えた。そこで、いささか古い5年前の灯油(現在の我が家は、灯油は使っていない)が5Lほど残っていたので、それを上記に添加%で添加してみたら、上記の結果というわけ。現在は699qほどを平均速度26q/hで乗って、21.6q/L。まだ少しずつ上がっているから、22q/Lにはなると思っている。【この数値はカメラに撮っているが、以前の数値をカメラに撮っていないので、写真をここに載せても意味がないと思う】
 ここで強調しておきたいのは、上記6000円の添加剤がインチキだと言っているのではない。セラミックを使って濾過・分留して、作るらしい。灯油の臭いを消すのなんか簡単(臭いの強い添加剤を入れればいい)な筈だが、そういうこともしていない。100%石油製品だとメーカーも明記しているので、石油から作ったのだろう。


 灯油の具体的な添加方法:灯油の使用量はcc単位だから、コストは無視していい――これは気楽だよ。
 まずメーターで燃料タンクにどれくらい残量があるかどうかを、目分量で推測する。50L入りのタンクで、半分残っていれば、25Lと決めつける。100円ショップで10cc単位のメモリの付いたプラ容器を買ってきて、それに灯油を入れる。先のとがった、キャップの付いているやつが使いやすい。それで、残量が25Lなら、タンクに25cほどを注ぎ込む。入れすぎはだめだよ。《副作用》が出るかも知れないからね。
 後は、注油の毎に注入すればいい。30Lガソリンを入れたのなら、その後で、30ccをタンクに入れる。入れすぎはだめだけど、10cc程度は誤差の範囲と考えると気楽だ。
 ぼくはそうやって、約20%の燃費改善をした。今後も続けるつもり。何しろ、この「添加剤」はタダ同然の安さだからね。ぼくは200ccのプラ容器に入れて、ドアのポケットに入れている。
 なお、添加量1‰と言うのは、上記の奇妙な名前の添加剤の添加量です。その缶には、1‰以上の添加は無駄です、と書いてあるので、それを信用しているわけ。

 なぜ燃費が良くなるのかは、わたしの知識と経験、頭の程度ではわからない。それでも推測すれば(ぼくは実務者の経験が長かったから、こういう推測はしょっちゅうやらざるを得なかった。実社会では、設備がないからできません、ではすまないんだからね)、作用として、オクタン価が高くなっているせいだと思う。つまり、レギュラーがハイオクになっているんじゃないか。
 これ、試験設備があれば、すぐ正否は証明できるんだけどねえ。誰かやってくれないかなあ。

 なお、プリウスで年間1万キロ乗る人なら、ガソリンを150円/Lとして、年間6500円ほどの「お得」となる。たいしたことないや、と思うなら無視すればいいし、「おもしろい」と思うなら、やってみればいいだけの話です。

 添加をやってみようとする人は、
自己責任でどうぞ



 『リジカラ(商品名 Rigid Collarのもじり)』について――(2012/7/22)
 ラリーなどに出場する場合、ワークスチームなんかだと、エンジンなどが搭載されているサブフレームとフレームを溶接で固定してしまう。普通の市販車はボルト4本(車種、メーカーで異なる)程度でサブフレームとフレームを固定している。市販車の組み立ては機械化されているので、ボルトで締め付けるといっても、どうしても遊びが必要だ。上記の溶接はこの遊びをなくすためだ。ステアリングなどと違い、フレームとサブフレームの間に遊びは不要だし、そういう遊びは振動などで不利に働く。「リジカラ」はこの遊びをなくすための「カラー」と思えば、間違いない。【この理由は自分なりに納得できる】
 ボクのプリウスにこの「リジカラ」を取り付けてみた。効果は確かに体感できる。いままでの「ガタン」が「ゴト」になる。橋の継ぎ目、マンホールの蓋、アスファルト舗装のひび割れなどを通過するときのガタンが、それほど気にならなくなる。ワンランク、車格が上がったかな、という感じだ。
 どういうわけか、ステアリングがすこし重くなるが、これは問題ない。ステアリングが重くなることは、取り付けた人はみんなそう言っている。
 このリジカラを皆さんに推奨できるか、となると、しかし、それは問題だ。リジカラは部品とその取付の二つを別に考えなければならない。
 まず部品代が高価だ。おおむね、前部用(後部用もあるが、とりあえず前部でいい)で18,500円だ。材料費と加工賃だけなら、高くて2000円(500円×4個)ぐらいか。アルミブロックから削りだした、一升瓶の栓ぐらいの小さいカラーだ。
 取付は素人には無理だ。車を持ち上げる装置とトルクレンチがあれば、できないこともないが、整備工場に頼んだほうが遙かに安心だ。ボクはホンダ車専門の整備工場(チューンアップ専門という感じ)に頼んだ。トヨタのディーラー、街の一般の整備工場、オートバックス、イェローハットなど、すべて断られた。ボクが頼んだ工場では、ホンダ車にリジカラを取り付けたことはあるそうだが、プリウスは未経験だと言った。【車種によって、リジカラそのものの形状も違うが、取付位置もかなり違うようだ】 その取り付け費は21,000円。取付に掛かった時間は学習時間も含めて約2時間。次回からは、1時間程度でできそうだ。ネットで調べた限りでは、工賃はだいたいどこでも、こんなものだ。
 つまり、リジカラ取付に約4万円弱かかる。それだけの費用効果があるか、と聞かれれば、ない、としか言えまい。つまり、高すぎると思う。これが2万円前後なら、推奨できると思うけど。部品代が現状のままでは、「リジカラ」が一気に広がる、ということはないと断言できる。

 30年ほど昔、コロナ(4気筒、マニュアルの前進5速――このマニュアルミッションはすばらしかった!)のディストリビュータ(4つのプラグに高圧電気を配る装置)は機械式だった。これをセミ・トランジスター式に換えたときの感激はいまでも忘れられない。エンジンが「滑らかに回る」とはこういうことだったのか、と思ったものだ。「グイーン」が「ヒューン」になったのだから。しかも3速でしか登らなかった坂道を楽に4速で登ることができた。当時の現場は標高1200メートルのところ(竪坑の位置からトランシットで覗けば、谷川岳を登る人が見えた)にあったから、「箱根の坂のカーブを攻める」と同じようなことを毎日やっていた。タイヤのヘリが本当にものすごかったけど。
 この経験が、良さそうなものにすぐ手を出す、という癖を付けてしまった(^^;)
 このときの部品代が約15,000円――ホームセンターのようなところに売っていた。取り替えは、現場の修理工場で、自分でやった。これを現代の価格になおすと、取り替えを頼んだとして、4万円程度だろう。これだけの効果があれば、4万円でも、みんなに推奨できるんだが、残念ながら、リジカラにはこれだけの対費用体感効果はない。



 『マップ・オン・デマンド』――《ナビの地図更新》を利用した――(2012/6/15)
 プリウスを買ったのが2011年8月。ときどき利用する国道の一部が新しく開通して、そこがナビに出てこない。これだけなら、実用上は問題ないんだけど、近々、新東名を通る予定もあるので、ナビのソフトの一部に新しい地図を読み込むことにした。ボクのナビ・ソフトは2011年春版なので、2012年6月に更新すれば、ほぼ1年ぶりだ。新しいナビの地図はこのように買ったときから3年間(2回目からは2年間)は、好きなときに何回でも地図を更新できる。トヨタではこれを「マップ・オン・デマンド」方式と呼んでいる。

 ボクのナビはSD方式といって、8Gのフラッシュメモリーに書き込む方式で(つまり安いナビ)、1回の書き込みで日本全国を一度で書き換える。ほぼ1年間で書き込んだ個所(つまり、この1年間で道路状況が変わったところ)は約700個所だった。結構多いんだねえ。書き換える時間は、光ケーブルで、正味3時間――思ったよりも時間が掛かる。時間が掛かるのは地図のダウンロード。もっとも、2回目からは、こちらのPCにデータを残しているので、それほどは掛からないようだ。

 700個所を12か月で割ると、ひと月60個所。自分に関係ないところが殆どだと思うけど、ふた月に一度は更新した方がいいようだ。いつ、どこに行くのかわからないからね。

 パソコンに慣れていない人は、もう少し時間が掛かるだろう。1日仕事と覚悟しておくほうがいい。ソフトにちょっと癖があり(あくまでボクにとっては、という意味)、パソコンに慣れているはずのボクでも、途中でソフトが止まり、トヨタに問い合わせた。担当者に行き着くまで一度たらい回しされたけど、行き着けば、日本人のお姉さんの応答はわかりやすく、親切で、一度で解決したけどね。DELLなんかに電話してごらん、日本人なんか決して出てこないよ。



 『フォグライトと車幅灯等をLEDに変えた』 (2012/6/13)(2013/4/18)
 ボクのフォグライトの使用目的は、安全のために自車の存在をアピールすることだ。二輪車が昼間も点灯しなければならないのと、目的は同じ。とりわけ車は安全第一が優先するからね。ボクの中では、好き嫌いよりまず安全が優先する。だから周囲が少しでも薄暗くなると、フォグライトと車幅灯が先ず点くように、自動点灯のセンサーをいちばん敏感にしている(これはディーラーで無料でやってくれた)。当然尾灯も自動的に点く。もう一段暗くなるとスモールライトが点く。
 ただしこれはボクの希望に達しなかったので、ダッシュボードにある明るさのセンサーを黒い電工テープで60%ほど覆って、やっと目的を達成した。強い曇りの日でも、ちゃんとフォグライトが点灯する。
 あとひとつ、フォグライトの効果がある。フォグライトはもともと足元を照らすような構造だ。蓋のない側溝のある道路や十字路を左折するときには、これが意外と役に立つ。われわれの歳になると、夜間、照明の暗い十字路で左折するとき、暗色の服を着た横断歩行者は、前照灯だけでは、極論すれば、見えない。ところが、フォグライトをつけると、これが結構見える。車の前部の比較的短い範囲をできるだけ広く照らす、というのがフォグライトの目的だから、当然だ。だから、ボクは街中でもフォグライトは点灯する。
 ボクの車はオートライトだから、その感度をできるだけ上げ(ちょっと暗くなっても点くように)ているので、上記のように、車幅灯が点けばフォグライトも自動的に点く。つまり、スモールライトの前にフォグランプが点く。デイライトに近い使い方を目指している。
 オートライトは便利だ。とりわけ、トンネルの多いところでは本当に楽だね。それに「オートライト」にセットしておけば、点灯テストのとき以外は、ライトスイッチに触らなくていいんだからね。


 街中でフォグライトを(あるいはヘッドライトと同時に)点灯することを、無性に毛嫌いする人が結構いる。ドイツでは霧が出ていないときにフォグライトを点灯すると、罰金を取られるそうだが、幸い日本では、そんな狭量な法規はない(筈だ)。でも、なぜか毛嫌いする人がたくさん(ネット上では、ボクの感じでは50%ほど)いる。もしかすると、「フォグライト」という名称だから、霧の出ていないときに使うのは悪だ、とでも思っているのだろうか。それなら補助灯とでも呼び方を変えるとするか。
 物の名前はけっこう大事だよ。場合によっては、命にかかわる。3.11の津波のとき、市が避難所に指定していた3階建てのビルに避難して、3階を越える津波が来たので、気の毒なことに多数の人たちが亡くなったそうだ――目の前に5階建ての小学校があったのに。小学校に避難した人たちは、もちろん助かった。指定されていた避難所に避難した人たちに、もちろん落ち度はない。ただ、周囲の状況を一瞬で、自分で、的確に判断して、避難所ではないより高い小学校を選んだひとが、生き延びルことができた。

 街中あるいは霧のない道路でフォグライトを点けることを毛嫌いする人の車は、多分チープバージョンで、フォグライトが付いていないのだろう。男の嫉妬というやつだ。みっともないよ(と、当り散らしたくなるほど、反対者はシッコイのだ)。
 ただし、あと付けのフォグライトで、セットの仕方が下手なせいで、やたらまぶしいのが、たまにあるが、そんなのは論外だ。ノーマルのフォグランプのバルブを変えただけなら、そんなことは、まず、ない。取り付けた後で、夜間に点灯して、車の前方に坐りこんで覗き込んだが、まぶしい感じはしなかった。歩行者、対向車にまぶしいことはない筈だ。

 それにどういうわけか、日本の交通法規では近頃(2005年以降)、フォグライトの色は白色または淡黄色ということになっている。だから近ごろでは、オリジナルで装着されているフォグライトの色はほぼ電球色である。霧のときには黄色い光しか役には立たないという話は、近頃EUでは否定されたそうだ。視界10メートル以下の霧になれば、ボク自身の経験でも、白色灯のほうがいい。これはボルネオのキナバル山の麓、標高1000メートルほどの銅鉱石の露天掘りの採掘現場で、雨季になると毎日いやというほど思い知らされた。
 フォグライトをその目的で使用しなければならない場面は、関東以南の平地では、ほとんどないのではないか。少なくとも、ボクには一度もない。だいたいロービームで間に合う。ボクがフォグライトを使いたい場面は、雨降りとか夕暮れの始まったころの、少し薄暗くなった時だ。それだってロービームでもいいわけだが、それでは、ちょっと大げさな気がする。車幅灯だけでは、先行車や対向車にはほとんど意味がない。そうなると、せっかくフォグライトが付いているので、それを使いたいと考えるのは成りゆきというものだ。
 ところがノーマルのフォグライトのワット数はロービームと同じくらい大きい。30系プリウスなら55ワットで、ハロゲンのロービームと同一である。【ハロゲンのロービームは年寄りの役には立たないので、購入時にディーラーでHIDに変えている】 今度の車は9年は乗るつもりなので、消耗品である補機バッテリーにできるだけ負担をかけたくない。それに、プリウスの補機バッテリーはメンテナンス・フリーで結構高価だ。【だから、前車から使っている「ナノパルサー」(同じ機能で、ほかの商品名もある)というやつをバッテリーに付けている。こういう小物はオカルトめいた胡散臭いやつが多いのだが、これは間違いなく有効だよ】

 そういうわけで、ハロゲンのフォグライトを白色のLEDにした。二つで12ワットだ。正規のハロゲンの22%の消費電力だ。楽天で買って、一式(二つで)送料込みで3000円ちょっと。ついでの話だが、楽天のカードを使っていて、電気代・水道代・新聞代・電話代やプロバイダー費、ガソリン代などをカード決済にしているので、こんな買い物なんかは、いつの間にか溜まっているポイントで買える――楽天で買って、実質無料。取付はもちろんDIY。ただ、前バンパーの下面のカバーをめくるために、地面(コンクリート面)に寝そべる必要があった。プリウスのトリセツには、電球類はすべて自分で交換できると書いてあり、そのやり方も図解付きで記載されている。フォグランプの場合、下面カバーをめくるのにボルトを2箇所外すように書いてあるが、最前の1本を外せば十分だ。【ただディスチャージへの交換は、頼んだ方が無難かな。車幅灯も意外に面倒だよ】
 結果はきわめて良好だ。明るさは純正のハロゲンランプのほうが心持ち暗いと思うが、他車からの視認性は色調のせいで、こちらのほうがよろしい。法規を読む限り、フォグライトの明るさは10,000cd以下ならOKだから、車検も問題ないはずだ。【純正の電球よりも、見た感じ少し明るいかな】
 残っている問題は、LED(Samsun製)の耐久性だが、こればかりは時間がたってみないとわからない。きちんと作ってあるので、車の寿命よりも長いはずだ。

 車幅灯、番号灯、ドアカーテシライトもついでにLEDに換えた。本当はウィンカー(正式名称は「方向指示兼非常点滅灯」で4灯で42ワットもある。英語ではblinkerまたはturn signalというそうだ)もLEDに換えたいのだが、これが結構高価なのだ。回路にリレーをひとつ入れなければならず(フラッシャー現象回避のため)、1セットで、15,000円ほどする。あと1年もすれば安くなるかもしれないので、それまで待つことにした。現在でもネット上には安価なものがあるのだが、暗くて使い物にならないということだ。
 その腹いせでもないが、作動していないときのウィンカーのぼんやりした黄色が嫌なので、これを消すことにした。(LEDにすれば、未点灯時のこの黄色は消える。ぼんやりしたこの黄色がいいという人ももちろんいる) なお、ドアミラーのウィンカーはLEDなので、無色。
 ここまで来ると、完全に趣味(というよりは偏執狂かな)の領域だ。無作動時のウィンカーの黄色を消すことを、「仲間」の隠語で「ステルス化」と言うのだそうだ。ステルス戦闘機のステルス、野球のスチールと同じで、「しのび」とでも訳すのかな。
 近頃の車のウィンカーは、バルブだけがアンバー(色)で、反射レンズは無色だ。バルブの色が反射板に映りこんでアンバーか黄色に見えている。だから、バルブをシルバー(色)に塗れば、黄色の映りこみはなくなるはずだ。あとの問題は塗装による減光の度合いと点灯時の温度による塗料の変質だ。ネット上の情報では、シルバーに塗装すれば、減光の程度は実用上も車検上もOKだそうだ。つまり、十分に実用になる。(結果はそのとおりだった。情報提供してくれたネットの皆さん、多謝!
 塗料の熱変質の度合いは、簡単な実験でわかる。薄いアルミ板(厚さ0.3ミリ、長さ30センチほど、幅2センチほど)の端5センチほどに、車補修用のシルバーのペイントを薄く吹き付け、半日ほど乾燥させて、塗装した裏側からロウソクで熱してみる。5分も熱すると、塗装した反対側、30センチ離れた端さえ、持てないほど熱くなる。(アルミは熱伝導率がいいからね) その程度の熱では、ペイントの塗装面にはまったく変化が見られない。車補修用のペイントは意外に熱に強いのだ。この場合、高価な耐熱塗料など必要ない。シルバー色の車に乗っている人なら、補修ペイントなど、その辺に転がっているだろう。小さい缶なら、100円ショップで売っている。
 あとはバルブに塗る厚さだが、これはバルブのアンバー色がぎりぎり隠れればいい。塗りすぎは、当然バルブの輝度が落ちるので厳禁だ。ボール紙に切込みを入れ、バルブの端子を差し込んで立て、吹き付ける。念のため、バルブの端子はマスキングテープで保護したほうがいい。ペイントが流れ込んで付着する恐れがあるからだ。
 この方法でやってボクの場合、原価はほぼ0円、結果と効果は申し分がなかった。(下記のURLの写真とほぼ同じ)なお、この方法は「ウィンカー ステルス化」でググれば、写真付きでたくさん出てくる。一例として、下記。http://www.geocities.jp/chibisuke_tanto/diy/stealth/index.html
http://www5b.biglobe.ne.jp/~ccb/siruba-.html
 ただ、ペイントの耐熱実験は、誰もやっていないようだ。耐熱塗料を使ったほうがいいなんてコメントもあるが、塗料は普通の車用のやつで問題ない。
 アンバー色を隠したウィンカーバルブも売っているが、2個で送料込みで1,500円ほど。小さい電球の塗装なんか面倒くさいと思う人は、こちらを選べばいい。なお、点滅させた感じは、既製品でも塗装でもまったく変わらない。

↓こんな具合です。どこにもウィンカーのアンバー色は見えませんね(^^;)
 

 この「ステルス化」には思わぬ良い副作用があることを あとで「発見」した。
 ウィンカーのアンバー色を消すのは、まったく趣味の領域だ。実用には何のメリットもない。「あんたの車とは、ちょっと違うよ」と意味もない主張をしたいだけだ。そういうことに手間隙をかける奴は、車に関して一種の「偏執狂」だ。そんな奴の車に接触して、傷でもつけようものなら、きっとギャアギャア騒ぐだろう。あまり近づかないほうがいい、と普通の人なら考える。つまり、「ステルス化」している車は、暴力団御用達の「黒のメルセデス」と同じ程度かやや軽めに敬遠される。とりわけ、すぐ煽りたがる若者が運転している車(「ステルス化」の意味をわかっている車)があまり近づかない。だから、込み合った市内や高速道路を走っていても、あおられた事が、ステルス化以後、一度もない。(ボクは必要がなければ飛ばさないからね)
 その上、ぼくのライセンス・ナンバーは、一目見て、指定したな、とわかる番号だ。なお一層、「変な」車は近づかない。
 ボクが番号を指定するのには、きっかけがある。ボクの住んでいる市内で、クリスマス・イブの深夜、幼児とその若い母親を含む7人の死亡を含む事故があった。7人乗りに9人の若者(全員20歳以下)が乗って、水没事故を起こしたのだ。直接の事故原因はその車ではなかった。直接原因の「軽」の若者も、その場で、自殺に近い形で亡くなった。「軽」の中には、デパートの包装紙のクリスマスプレゼント(セットのコーヒーカップだったそうだ)が残されていた。その9人が乗っていた車の番号が「4255 ”死にgogo”」だった。さすがにその写真は新聞には載らなかったが、溜め池からクレーンで吊り上げられた、黒のワンボックス車の写真が2ちゃんねるに出た。はっきりとナンバーが読み取れた。「***50×」だから、指定番号ではなく、たまたまその番号だったらしい。「こんなの、いやだ!」と本心から思った。関係者の名誉のために言っておくけど、クリスマス・イブにもかかわらず、関係者全員に飲酒の痕跡はなかったそうだ。
 ついでの話だが、車のナンバー(ライセンスナンバー)に「42」と「49」はないという話があるらしいが、今では都市伝説のたぐいだ。ご当地ナンバーが増えると、プレートを発行する側にも「そんなこと関係なか!」という人も当然いて、「4949」というやつも見たし、「4215」(死に行こう)もあった。上記のようなナンバーもある。なお、「4255」は「福岡」ナンバーではなかった。
 
 「ステルス化」してひと月ほど走った結果の感想だ。これは本当にうれしい「副作用」だった。

 あと照明のLED化が済んでいないのは、バックライトと車内の照明関係だけだ。室内灯はやるつもりはない。安全に無関係だし、使う時間頻度が小さいからだ。ボクの場合、LED化するメリットがまったくない。ただし、プリウスで車中泊をする人には、車内照明のLED化のメリットはあると思う。LED化すると、なにしろ照明にほとんど電気を食わないのだから。




オーランチオキトリウム』――バイオ燃料について (2012/2/8)
 ウィキペディアによると下記のとおり。〈オーランチオキトリウム――Aurantiochytrium(aurantium:「橙黄色の」ラテン語〉は汽水域を好む藻類。葉緑体を持たず、光合成をしない従属栄養生物で、周囲の有機物を吸収し、炭化水素を高効率で作る。【以上、ウィキペディアから抜粋


 
自身のおさらいもかねて念のため。燃料に使う「油」は炭化水素。石油はもちろん炭化水素。食べられない。分子式はCmHnの形できわめて簡単。だからよく燃える。たいていの植物が作る油は「油脂」。難しく言えば、脂肪酸とグリセリンが結合したもの。(これでいいのかな?) ごく単純化すれば、炭素Cに-OH(ヒドロキシル基――簡単に言えばアルコール基)や-COOH(カルボキシル基――簡単に言えば酸基)がついたもの。オリーブ油のようにだいたい食べられる。ただし、エンジンなんかにはそのまま使えない。


 バイオ燃料(もちろん炭化水素)を高効率で作る点が評価され、近年、実用化に向けて研究が進んでいるようだ。評論家(かな?)・勝谷氏が強力に応援している。計算上では、日本の休耕田の一部を養殖池として利用すれば、国内の自動車燃料がまかなえる量が確保できるそうだ。【農用地区域で耕作放棄地面積は76500ha=765km2。これは日本で一番狭い香川県の40%ほど】
 しかし問題が多いし、そんなに単純じゃないと思う。バイオ燃料の主流にはなれないだろうとボクは考えていたが、そうでもないと考えるようになった。前途多難だが、とりあえず、これも主要な選択肢の一つではないか。以下はその理由である。


 休耕田を利用する場合を考えると、汽水の壁が立ちはだかる。つまり塩水が必要なのだ。汽水ならやたらに排水溝に放水できない。日本の田んぼは、上流から順々に下の田んぼに水をまわす仕組みだ。だから、休耕田を利用するのなら、これだけで独立した給水系を作る必要がある。水耕栽培のような仕掛けが必要だ。これはカネがかかるよ。ただ、これは従来の技術で何とかなる。


 一番の問題点と利点は、この藻類には「えさ」が必要だということだ。葉緑体を持たないから、普通の植物のように、太陽光と水があれば成長するというわけではない。ここですぐ思いつくのは、下水処理場でこの藻類を養殖し、下水の浄化も行わせる方法だ。下水には雑多な、変化に富む汚水が流れ込んでくるが、これが生成される炭化水素の成分に影響しないなら、おおいに有望だ。しかしその場合でも、下水処理場の副産物として、バイオ燃料がとれる、という立場は変わらない。燃料の量は汚水の量と成分にかかってくる。燃料の主流にはなれないと思う。それができれば、それだけでもおおいに結構なことだが。
 藻類を利用するのなら、淡水でも汽水でも海水でもいいから、光合成で炭化水素を作る藻類だと思う。これが理想である。つまり太陽光を餌とする植物だ。その場合、一番の問題は植物の色だ。葉緑体を持つ植物は緑色をしている。ということは、その植物は緑色が利用できず、つまり不要なので、緑色を反射して返しているということになる。緑色は太陽光のうちでもエネルギーが多い方だろう――緑は紫外線に近い紫に近いから。植物が利用している光線の波長は250nm~700nmである。そのうち青・緑の範囲400nm〜600nmで、その範囲はほとんど吸収・利用されていない。【理科年表2010年 生67】
 どこかで見た記憶があるが、植物が利用している可視太陽光は数パーセントだという。緑色の植物を利用することは、原理的・致命的に効率が悪い。オーランチオキトリウムは「えさ」を食べて炭化水素を作るのだから、光合成をする植物より効率がいいはずだ。緑色植物の効率を高めるためには、光合成の効率が飛躍的にいい植物を探すか(不可能だと思うが)、遺伝子組み換えを利用して、太陽光吸収のいい黒い(つまり、光をすべて吸収する)植物を作り、それに炭化水素を作らせることだ。これは今すぐというわけにはいかないだろう。できないかもしれない。できても、モンスターが生まれるかもしれない。これは怖い。
 光合成で生きている植物は動物のように敏捷に動かない。動くだけのエネルギーがないのだ。それに比べ、食物・餌で生きている動物は動くことができる。動くだけのエネルギーは食物――他者を食べること――でしか採れないのだろう。こう考えると、餌を必要とするオーランチオキトリウムは、炭化水素を作る藻類としては、「えさ」さえあれば、とりあえずの最良のものかもしれない。しかも、下水を利用できる点さえ確認すれば、もしくは利用できるようにすれば、炭化水素つまりバイオ燃料を作るという目的に一番近いのではないか、と思うようになった。ただし、下水処理場だけでは面積が絶対的に不足するけれど――つまり、バイオ燃料の量が不足するけれど、まずそのあたりから、やるべきだろう。海岸に近い処理場なら、海水が使えるので理想的だ。排水に塩分が含まれていても問題ない。


 ここで突然「エノモト藻」というのが出てきた。こちらはIHI(石川島播磨重工)が出資していて、実験室段階をすでに過ぎて、工業化をしようとしている。http://www.ihi.co.jp/ihi/press/2011/2011-7-07/index.html その藻に有効な培養プールもできたそうだ。一般的なボツリオコッカスに比べて、1ヶ月で1000倍の成長率である。ステップとしてはオーランチオキトリウムよりも進んでいる。エノモトは榎本でこの藻を発見・改良した先生の名前だそうだ。以前話題になって消えたボツリオコッカスの一種だという。エノモト藻は光合成をする。雑菌が存在する環境でも培養が可能(解放された環境でも培養可)で、生産する燃料は重油に相当する高品質だ。つまり、培養法も開発済みだそうだ。

 ただ、試験段階での成功が実用として成功したかというと、一般論では、そうでもない。油の絞り方、絞りかすの処理、蒸留法が従来のものを転用できるのか――いろいろまだ難関は多いと思う。その上、石油・シェールオイルと、コスト・品質で対抗できなければならない。しかし、なにはともあれ、がんばってほしい。将来、どれが残るのか、みんな消えてしまうのか、まだ白紙なんだから。
(未完)



 『プリウスの暖房』(2012/1/30)
 プリウスのエンジンはアトキンソンサイクルという方式を使っていて、効率がいいものだから、暖房が利きにくい。【ご存知のとおり、車の暖房はエンジンの熱を利用している】 プリウスの寒冷地仕様では、電気ヒーターがついているそうだ。ぼくは雪国勤務が長かったから、こういう車の寒さ対策は何でもない。ラジエターの前に風よけを取り付ければいい。今のエンジンは砂漠の中でもオーバーヒートしないように作ってあるそうだ。つまり、日本の冬では過冷却になるのだろう。
 溶接のときに使用する不燃布を持っていたので、ラジエターの前面約80%にそれを垂らしてみた。こういう工作はもちろん自己責任で行う。ディーラーに相談しても、返事はノーだからね。なおプリウスには、ラジエターの上部にプラスチックの黒いカバーがついていて、それを取り外さなければ、風防は取り付けられない。マイナスドライバーがあればすぐ外れるんだけど、外すにも取り付けるのにも、ちょっとしたコツがいる。機械いじりが嫌いな人には、ちょっとした関門だろう。カバーを取り外してみると、機能的には不要なものだ。ディーラーでアクアのエンジンルームも見たが、アクアにはプリウスと同じ個所に、余分なカバーなどついていない。一昔前のエンジンルームのように、エンジンカバーもついていない。普段はメカニックしか目にしない場所に、機能的に不要な飾りなんか付けて貰いたくないものだ。それだけ、安くしてほしい。ついでに、ホイールのキャップも不要だと思う。ただしこれをとると、ホイールのナットが丸見えなので、メッキした袋ナットに交換する必要がある。そうすると、かえって高くつくのかな。
 結果は予想どおりすこぶる快調で、すぐにヒーターが効きはじめ、そのほかに、驚きの、良い副作用もあった。燃費が良くなるのである。いままでは、エアコンを使用しないで19km/L程度(200kmほど乗って)だったが、風防をつけると21km/Lになった。【この件は下記に訂正あり】 走行距離が20km程度の実績なのであまり確言はできないが、燃費が良くなるのは確かだろう。それは、走行用電池の充電状態がいつも満タンに近いのでもわかる。従来のチョイノリでは、車庫入れ(プリウスのバックはモーター走行だけ)が終わった時点で、走行用電池は2段目ぐらいだったが、風防を付けてからは、ほぼ満充電(上2段ほどが空いている)だ。理屈としてはこれもわかる。

 プリウスは暖房の熱を得るためにもエンジンをかける、と考えれば、燃費が良くなる理由はよくわかる。もちろん、ハイブリッドではない古い車では、冬の風防で燃費は良くなっていなかっただろう。

 上記の燃費が良くなるという個所は訂正の必要がある。その後、風防を着けて200キロほど乗ったが、その平均燃費は19キロほど。風防を着けないときと同じになった。ただし、暖房の効きと走行用電池の充電状況は上記のとおりだ。


 九州なので、春3月になれば、風防を外すのを忘れないようにしなければならない。
 現在6600キロほど乗っているが、乗り心地はこんなものか。前に乗っていたヴィッツよりは少しいい、という程度。それよりも、瞬間燃費と累計燃費(1分と5分と累計)がダッシュボードのパネルに常時表示されるのは、非常に愉快だ。それだけで、アクセル加減がよくなる。


 ナビはここ5,6年でずいぶんよくなったが、長距離のとき、途中で高速を外れる案内の癖は直っていない。使用ナビは富士通テンだが、これはメーカーの癖と考えてあきらめている。【ディーラーからは丁寧な説明があって、結局それが仕様だということらしい】 ナビ画面のバックライトのLEDは快適だ。日が照っている昼間でも画面がはっきりと見える。前のやつは、同じ状況では使い物にならなかったからね。
 上記を除けば、ナビの表示はずいぶん改良されている。画面左半分に目的地までの経路が、車前20km先程度を直線で表されるのだけど、これが実にわかりやすい。実用にはこれだけで十分だ。交差点、曲がり角とその距離がすべて表示さる。普通はそれだけで十分だ。ナビの地図を見るのは、目的地の近くについたときだけだ。
 日常の使用(つまり、チョイ乗り)は常時「エコモード」だ。福岡・東京を往復したが、高速は99%ほど(つまり12kmほど以外は)はエコモードで十分だった。ただし、高速道路の長い上り坂では、エコモードは切っている。このモードの切りかえスイッチには黒い小さいゴム板を張って、手探りでもわかるようにした。なお高速の燃費は25km/L(2400km程度) とけっこういい線を行く。3改でエンジンを1.8Lに変えたのが効いているようだ。事情があって1000km点検を急いだために、九州を下の道で一泊一周(太宰府市・日田市・阿蘇・宮崎市・五木村・八代市・熊本市・太宰府市――これでほぼ1000キロ)したが、その時の燃費は20km/L程度だった。
 五木から八代に行くのに、五木村の橋が工事中で、ナビがまったく役にたたず、数人に道を聞いた。みんな親切に教えてくれたのだけど、教えてくれた人を疑うような道だった。だから、数人に聞くことになった(^^;)。もちろん、教えてくれた結果は正しかったのだけど。

 ドライブレコーダが1万円を切ったので、取り付けている。白バイからぶっつけられて、有罪になる世の中だから、自分の身は自分で守るしかない。こと交通事故に関して警察の処理能力はまったく頼りにならない。例えば出会い頭の事故なんか、証拠がなければ、ケンカ両成敗だろう。そういうことはイヤだから、ドライブレコーダで証拠を残そうというわけだ。そのうちにきっとドライブレコーダは標準装備になるよ。

 5年も乗ればシートも汚れてくる。そうなったら、汚れ隠しにシートカバーを取り付ける予定。外観はどうでもいいけど、シートの汚れだけはみっともない。コーラなどをこぼされたら最悪だ。【だからボクの車に孫が乗るときは、飲み物は日本茶と決めている――本当は水だけにしたいのだけど】 専用の人工皮革のシートカバーが6万円ほどでディーラーで売っている。専用品だけあって、フィット感は申し分ない。手触りと見た感じはまったく皮だ。水気に対する性能は本物の皮よりもいいはずだ。これで10年は乗ることができる。トヨタのハイブリッドの走行用電池は10年/15万kmほどは保つそうだ。(ホンダの走行用電池は比較的、寿命が短いと言われている。だからアメリカで訴訟を起こされ、敗訴した(現在、上告中)。中古(多分そうだと思う)で買ったシビックハイブリッドが13km/Lしか走らなかったというのが訴訟の理由。これはホンダのハイブリッドの一大欠点だ。ホンダの件は自動車評論家・国沢光宏氏のコラムによる
 ディーラーに任せると(ディーラーにもよるけれど)、7万km程度で走行用電池の交換を勧められるそうだ。費用は全部で15万円ほど。もちろん有償。燃費が10km/Lほどまで落ちていない限り、取り替えたら損だ。走行7万kmで燃費がそれまで落ちたのなら、クレームとしてタダで取り替えるように交渉した方がいい。車を趣味とするなら、節約することも趣味の一つとすべきだと思う。車はカネ食い虫だからね。


 『プリウスに変えた(発注済み)』(2011/6/30)
 今6月中旬。今乗っているヴィッツが2011年12月末に車検を迎える。本当はそれからあと2年、計5年は乗り続けるつもりだったが、連れ合いがどうしても一度は大きな車(せいぜいプリウスです!)に乗りたいというので、とうとう妥協した。「あなたは運転していて、関係ないでしょうが、隣とか後ろに乗るわたしの身になったことことないでしょう? 小さい車は乗り心地が悪い。プリウスの試乗に行こう」とうるさくせき立てる。「震災の影響で、納期が来年になるらしいよ――車検に間に合わない」
 これはプリウスα(アルファ)で、プリウスは3ヶ月ほどらしいということは知っていた。試乗車を予約して、ネッツに行く羽目になった。「今予約しても、12月に間に合わないだろう?」と知り合いの担当者に聞くと、こちらの顔色や態度は一切読まず、「今ご契約いただくと、おそくとも9月一杯には間に合わせます、早ければ8月かな」という。「プリウスの照明は暗いので有名なんだよな。LEDにする手もあるけど、最低19万円も高くなるんだよなあ。なんで、HIDの設定がないの? 老人にとって暗いライトは自殺行為だよ」と最後の抵抗を試みたが、ハロゲンのHID化はディーラーできるそうだ。施工料を含めて6万円程で、しかも3年保証付き。ぼくがネットで調べていた材料費だけで8万よりもはるかに安い。
 丁寧に試乗したが、なかなかいい。ぼくはあれ以上は求めないなあ。ぼくの贔屓の自動車評論家によれば、トヨタの車の乗り心地の悪さは、KYB(カヤバ)のショックアブソーバーのせいで、プリウスαの乗り午後心地がいいのは、アブソーバーに日立を使っているからだそうだ。レクサスブランドには日立(日産)かショーワ(ホンダ)だそうだ。トヨタだって、大衆版にはあいかわらずKYBを使っているのは、KYBのもつ耐久性だと思う。いくら系列の会社とはいえ、長所がなければ使いつづけないだろう。僕が一昔前乗っていたディーゼルは12万キロ乗ったが、いちどもアブソーバーの交換の必要はなかった。ずっと前のコロナは6万キロで交換した。そういえば、コロナからカローラに乗り換えた時の第一印象は乗り心地の悪さだった。当時のコロナは前輪がダブルウィッシュボーンだったから、そのせいかなと思っていたが、それだけではなかったらしい。
 とにかく今度のプリウス「S」がたぶん最後の普通車だから(このつぎの車は「軽」だ)、大事に乗ろう。色は連れ合いの強力な意見に押されて、あかるいシルバーメタリックにした。汚れた白というところ。本当はスーパーホワイトが希望だったのだが、近所で目立ちすぎるという。うちの車なんて、誰も見ていないって。
 こういう売れている車のいいところは、小さい改良が際限なくつづけられているとろろだ。ブレーキは前後ともディスク。ブレーキで電力の回生を行っていることと関係があるのだろうか。それに、ナビが安くなった。しかもナビのバックライトはLEDだ。これなら、昼間でもきちんと見えそうだ。(試乗車では昼間でも、よくえた)
 ヴィッツのDVD(前の車の載せ替え(^^;)で、5年前ぐらいの製品)ナビは、反応が遅く、違う道を行くと、反応するのにしばらく掛かる。今度のナビはメモリーナビなので、そういうことはないだろうし、それに可動部分がないので、大事に使えば壊れないと思う。
 今のヴィッツのナビの一番の欠点は、長距離を走ると、途中で一旦高速を出たがることだ。例えば、九州から東京まで高速を設定すると、大阪あたりで降りろと言う。東京から来るときは、名古屋あたりで降りろと言う。最新バージョンのバグだろう。前のはちゃんと走っていたのだから。本当に知らない道でこれをやられたら、これはたいへんだ。これは、ディーラーの担当者も言っていた。広島に向かって福岡から高速に乗ったら、山口で、降りろと指示が出たそうだ。「僕だけかと思っていました。ナビメーカーに厳重に連絡しておきます」と言うが、新しいバージョンで手直しするぐらいだろう。




  『車の色について』――黒い車に乗っている奴は、何も考えないバカだ――
 ひとが車を買う場合、その車の色はどういう基準で選んでいるのだろうか? わたしは「安全」を判断の基準にして選ぶ。そこに好き嫌いなんか入り込む余地はない。白か明色(せいぜいシルバー、薄い青程度か)の車は運転者に見えやすい。これが車の色の選択基準になる。
 還暦を大昔に通りすぎたわたしぐらいの年齢になると、暗色の車は非常に見づらい。安全上、一番困る。とくに、カーブミラーやバックミラー、サイドミラーなどのような鏡を通して見る場合、暗色の車では昼間でも見落とす場合がある。こういう色の車に乗っている奴に限って、薄暗くなってもライトは点けないし、デイライトなど点けているわけがない。安全など、考えたこともない奴らが多いから、当然そうなる。
 これは眼鏡などで補強してもだめである。若いときは、それほどでもなかったように思うが、今となっては、わからない。
 わたしは土木の建設現場が長かったので、安全にはひと一倍気を遣う習慣ができている。現場で人身事故が起きた場合のコストを本当に知っているからね。
 ゼネコンの現場で、下請けの作業員が事故で死亡しても、下請け会社は必ず保険に入っているので、下請けに金銭的なコストはたいしてかからない。聞いた話では、「焼け太り」さえあるそうだ。ところが、元請けは、死亡事故を起こしたのが下請けでも、被害は実に甚大だ。金に換算すると、身がすくむほどの被害が出る。責任をとるのが元請けの大きな仕事だから、すべての事故は元請けの責任になる。だから現場の責任者は、「安全」は骨身にしみている。
 今までわたしが自分で買った車で、暗色の車はない。白か、それがなければできるだけ明るい色だ。その場合、シルバーかベージュになる。間違っても、黒や濃紺、濃いブルーは選択肢に入ってこない。これはわたしが責任者をしていた現場で車を調達するときも、いつもそうした。現場の係員は小うるさいやつが多いのだが、この選択に異を唱えた奴は一人もいなかった。
 ところが、わたしがいた中堅ゼネコンの本社、支店の車――つまり、本社・支店の偉い人が乗る車、はすべて黒である。他社は知らないが、たぶん全部そうだろう。例外はないと思う。何かの会議の時、現場に来るときは、白い車で来てくれ、訳はこれこれ、と話しても、まったく相手にされなかった。会議では二言目には「安全第一」と言っている連中がこれである。こんな連中が、安全なんか本気で考えているわけがない。ひとの言葉なんか信じたらだめだよ。行いと態度を見ればすぐわかる。こんな連中が上の方にいる会社だったので、やがて会社更生法を申請しなければならなくなった。そうなると役員連中は総入れ替えである。自業自得だ。
 このホームページのどこかにも書いていたが、会社更生法が適用されると、部長クラスでも辞めさせられる人が出てくる。乗り込んできた弁護士の管財人が全平社員(課長以下)から無記名のアンケートをとる。「あなたが辞めて貰いたいと思う部長は誰ですか」と。【もちろん、それだけの項目ではなくて、多数の項目の中に紛れ込んで、その項目がある】 そんなアンケートだから、辞めさせられた部長クラスを見ると、共通項がある。仕事ができる、できないではない。いわゆる「イヤな奴」と「かげひなたのある奴」だ。仕事には自信があるあなた、気をつけた方がいいですよ。会社なんて、いつ潰れるかわからないのが現代だから。あの東京電力だって、事実上、潰れたのだからね。
 もちろん管財人だって、仕事ができない奴を選ぼうとしたわけじゃない。そのあたりは百も承知だろう。会社の風通しをよくしたかったのだろう。

 こういう連中の車を白に変えるとっておきのいい方法があるが、今の宮内庁の役人どもでは、たぶん採用は無理だろう。つまり、天皇陛下の御料車を白色にするのである。これで、日本の大会社の本社支店の車は白一色になるよ。かつて、これと同じことを実行されたのが、明治天皇だ。明治天皇がちょんまげを落とし、洋服(正確には軍服)を着た姿で公式の場に立たれたので、日本中がいっぺんに洋装化された。
 テレビで見た限りでは、秋篠宮殿下の車(病院に行かれるときだから、私有車か?)は明るいシルバーだった。これは心地よく記憶に残っている。

 台湾の会社で働いていたとき、台湾人の社長の車は黒のメルセデスだった。もちろん運転手付きだ。この車にはずいぶん乗せてもらった。今のわたしの車は安価な代表的なコンパクトカーだが、シートだけは革なのは、このメルセデスの革の座り心地に馴らされたせいだ。
 このつぎ車を換えるときは、これこれの安全上の理由で絶対に明るい色がいい、という話を現場の近くの餐店で社長と飲んでいるときにしたら、つまらなさそうな顔をして聞いていたが、社長の車が半年後に小さな事故を起こし、換えたつぎの車は、明るいベージュのレクサスだった。当時わたしは、レクサスがトヨタの車とは知らず、やすい韓国の車でも探してきたな――それにしても、格好だけはよくなったねえ、と思っていたが、口に出さないでよかった。いろいろ気にくわないことのある社長だったが、ひとの言うことだけは、真剣に聞いて、自分で考え、濾過していた。自分でもけっこう運転していたから、わたしの言うことがすぐ納得できたのだろう。
 風の噂に聞いたところでは、台湾のその建設会社は、リーマンショックをまともに受けて、景気はきわめて悪いそうだが、倒産だけはなんとか免れ、社長は今、小型の白いレクサス(小型のレクサスなんてあったっけ?)に乗って、営業に走り回っているそうだ。そういえば、その後、愛人に買ってやった車は白いカローラだった――濃い赤がいいと若い愛人は言っていたそうだが。赤がほしいと言っていたという話は日本語の堪能な老年の社長秘書から聞いた。



  『左足ブレーキについて
 2ペダルの車の場合、アクセルとブレーキは右足で踏むのが多数派だと思う。1991年11月にAT車限定免許が発足したが、教習所ではそれ以後もブレーキは右足と教えている。もちろん、左足でブレーキを踏んでも、法規違反なんかにはならない。
 日本自動車販売協会のデータでは、1999年の時点で、日本の乗用車に占めるAT車の割合は約90%(88.5%)である。
 日本で、乗用車販売台数に占めるAT車の割合が50%を超えたのが1986年だそうだ。ちょうどこの時期に、AT車の急発進・急加速による事故が頻発した。これらの事故は、ドライバーがブレーキとアクセルを踏み違えたと考えるのが一番わかりやすいが、ほとんどの場合、ドライバーは、そんなばかげたミスを自分がするはずがない、と主張した。メーカーは当然、構造的欠陥はないと主張する。これらの事故に関し、1989年に出した運輸省(当時)の報告の結論は、「ドライバーはアクセルとブレーキを踏み間違わないようにしましょう」というものだった。その調査の対象になった事故は1108件、そのうち本人が「誤操作」と認めたケースは14件(1.3%)だったにも関わらず、である。【交通安全公害研究所の表現は「ブレーキの機能の欠陥はなく、したがって運転者においてはブレーキ操作を確実に行うことが必要である」←典型的な役所文章ですねえ!
 つまり役所は、急発進・急加速の事故は、ブレーキとアクセルの踏み間違えと断定したと考えていい。
 当時のドライバーは圧倒的にMT車の経験が長かった。だから、MTとATのギアシフトの違いによる勘違いの原因もあるのではないか(MTのシフトパターンは感覚にぴたりと合致している)、とも思われたが、いかんせん、ATのシフトパターンはすでに世界標準だった。これから世界中に売り出そうとする自動車を独自のギアシフトにするわけにはいかない。
 それから30年経った今、自家用乗用車におけるMT車は趣味の領域である現在でも、急発進・急加速事故の状況は変わらない。
 これを見る限り、意図しない急発進・急加速の原因は、同じ右足で、同じ踏むという動作をするからだ、と誰が考えたって、そうなるだろう。運転は半ば無意識にやる場合も多々ある。半ば無意識にやっても、間違わない方法がいいに決まっている。

 少し長いが、以上が前書き。

 上記のような理由で、わたしは現在、左足ブレーキである。いつかは右から左へ変えようと思っていたら、仕事で台湾行きの話がきて、別に意味はないのだが、それじゃ台湾で変えようと何となくそう思った。きっかけは何でもよかったのだろう。
 台湾で働いていた8年間、最初の1年は右足ブレーキだった。台湾は日本と違い、車は右側通行である。それまでは右足ブレーキだったので、とりあえず台湾の右側通行に慣れるまでは、右足ブレーキにした。ふたつ一緒に変更するのは少し危険だと思ったからだ。台湾では職種柄、ど田舎住まいである。車の運転はおもに現場への行き帰りだ。台北などへ出かけるときは、プロの運転手に任せる。
 いつかは左足ブレーキに変えようと考えていたので、残りの7年間は左足ブレーキにした。何回か急ブレーキを踏まなければならいこともあったが、台湾では、まったく問題なかった。「緊急は左足」と今でも、思いついたときイメージトレーニングはしているけどね。

 左足ブレーキは「かっくんブレーキ」になるという意見があるが、これはクラッチを踏むような踏み方をするからだ。
 左足ブレーキにはちょっとしたこつが必要だ。左足のかかとはフロアにつけて、ブレーキは足の親指のねもとで押すというつもりで、踏めばいい。日本の乗用車なら、これで十分に効く。普段はフットレスト(または床――わたしの車は安物なので、フットレストなんてついてないなあ)にでも置いておけばいい。
 これは1時間も練習すれば慣れる。練習前にイメージトレーニングをすれば、あとはTOJ(trainig on the job)で十分やれる。

 帰国して3年目ほどに、ブレーキ・アクセル踏み違え防止を目的としたナルセ(成瀬)ブレーキというブレーキシステムがあるのを知った。これは右足ブレーキだが、アクセルを右足首の左右の動きで操作する。製造元の熊本の工場まで行って試乗もしてきたが、採用はあきらめた。
 まず値段が高すぎる。わたしは年金生活者だからね。取り付け費込みで11万円ほどだ。材料費だけなら3000円ほどだろうか。開発費とアイデア料、加工料と取り付け費込みで、(車種にあわせた手作りの現在でも)4〜5万だと思う。構造はよく考えてあるが、ブレーキのフィーリングがすこし鈍くなる。これは、右足は常時ブレーキペダルの上に置いていても、半ブレーキにならないようになっているなどの構造上、ブレーキの機構が増えているからだ。アクセルの機構はそれよりも複雑だが、フィーリングは問題ないと思った。アクセル操作は右足全体をすこしだけ右にひねればいい。そうすると足首も右に振れる。足首の動きだけでアクセル操作をしようとすれば、長時間運転はつらくなるだろう。
 今さら左足ブレーキはいやだ、しかし踏み違いは怖い、そのうえカネがあるので値段なんか関係ない、という人にはナルセブレーキはお勧めだ。何しろ、駐車場を4,5回まわればすぐ慣れるほど、違和感はすくない。左足ブレーキに慣れてなければ、わたしはたぶんこれに換えていたと思う。【試乗までさせてくれた社長さん、ごめんなさい】

 ネットの記事によれば、2008年のブレーキ・アクセルの踏み間違え事故は、約7000件、負傷者は1万人弱。そのうち死者は30人だそうだ。新聞種にならなかった自損事故を含めれば、事故件数はだいたい倍以上だろう。一日40件以上だ。しかもふつうの人は、そんなばかげたミスはしない、と普段から思っている。踏み間違った人でさえ、自分は踏み間違っていない、と信じている。

 左足ブレーキにしてから、アクセルの微妙な感覚がかえってわかるようになった。アクセルを戻すとき、戻りきるとコツンと小さくストッパーに当たるが、右足をアクセル専用にして初めてわかるようになった。右足ブレーキだと、アクセルが完全に戻っているか、なんて気にする必要ないからね。ブレーキをかけるときは、右足はアクセルから離れ、床を踏んでいる。左足ブレーキは肉体的疲労が少ないと思う。

 ただし、左足ブレーキをみんなに勧めることはしない。とくにわたしのように、右足ブレーキの時代が20年を超えているようなひとには、左足ブレーキは勧めない。
 先日、福岡・東京往復を左足ブレーキでやった。とくにそれでおおきな問題はなかったのだが、帰りの残り半分程度のところのサービスエリアで――つまり、疲労が溜まっている状態の時、ゆるめるべき右足が踏んだままの状態になった。つまり、左足でブレーキを踏み、右足でアクセルを踏んでいた。ブレーキは効くのだが、やはり当然、効きはよくない。場合によっては、これは致命傷だろう。ほぼ10年ほど左足ブレーキをやっていても、このざまだ。
 買い物などの日常の使用には、左足ブレーキだ。しかし、ブレーキの使用が極端にすくない高速道の長距離には、右足ブレーキがいいと思う。これは意見の分かれるところだろうが、先日の経験以来、わたしはそうすることにしている。
 マニュアルでの運転歴が長い人は、左足ブレーキよりもナルセブレーキだろう。

 安全や事故について真剣に考えるのなら、これは自分で対策を考えるしかない。



 『10年6月から始まる高速道路料金について
 普通車上限常時2000円というやつだ。ETCでも現金でも有効ということだが、ETCを付けてなければ、損する場合がある。九州から車では出ない、という場合は関係ないが、首都圏・大阪圏を通過する場合は損をする。

 たとえば、4月の時点で、名古屋ICから首都高を通過して仙台宮城ICまでは2950円。つまり、1000円+950円(首都高他)+1000円=2950円で、NEXCOの高速は合算されない、つまり2回とられる。
 6月の改訂後はETCを使えば2950円(2000円+首都高最高他950円)になる(つまりETCを使えばNEXCOの高速分は合算される)が、現金で支払う場合は、その都度精算するので2000円+950円(首都高他)+2000円=4950円になる。これは領収書を見せてもだめだそうだ。国交省のホームページには2950円になるとは例を挙げて説明してあるが、ETCを使えば2950円で、現金なら4950円になるとは、ひとことも書いてない。ただし、首都高を現金で乗ると、最高の900円を取られるとは書いてある。ETCなら500円から900円の距離制だ。また、「複数会社をまたぐ場合や均一料金区間を連続走行する場合はETCで合算」とは書いてある。それから察せよということだろうが、不親切きわまる。上例で、現金なら4950円になることは国交省に電話して確かめた。
 ETCは、ディーラーの正規の料金でも1万円ほどで買えるのだから、付けといた方がいいと思う。たとえ割安にならなくても、付けといた方が面倒くさくなくて、気持ちがいい。

 4月の時点では、福岡ICから京都南ICまでは、途中、阪神高速のゲートはないが、阪神高速固定料金区間を通過するので、1000+200(阪神高速3割引)+1000=2200円だが、新料金になったら2000+285(割引なし)=2285円だろうか、それとも2000円だろうか? 年間2、3回しか通らないのでどっちでもいいのだが、理屈としては気にかかる。

 国交省の発表によれば、新改訂で上限に達するのは、普通車・大型車なら20%だ。8割の車は恩恵を被らない。それどころか8割の車は、今まであった諸割引はなくなるので、実質値上げになる。国民は黙っていないだろう。高速料金は無料にすると言っておきながら、こんなことをするなんて、民主党は、7月の選挙が怖くないのだろうか? たとえば2区間以内なら無料にするなどの配慮がなぜできないのだろう?



 トヨタのリコール問題について ー10年2月24日時点でー』
 プリウスの、滑る路面上でのいわゆる「ブレーキ抜け」は決着がついている。フロアマットとブレーキペダルの問題も解決している。
 アメリカが問題にしているのは、意図しない急加速はアクセルの電子制御のせいではないか、ということである。以下はこの一点に絞る。
 アメリカが言っているように、電子制御にほんとうに問題があるのかどうかは、私にわかるわけがない。トヨタは第三者のエンジニアリング会社に依頼して電子回路を調査してもらい、問題ないといっているが、そんなのはトヨタの威光をもってすれば、どうにでもなる、ということぐらい、トヨタもわかっているはずだ。そんなことを言うから、かえって疑われる。
 アクセルの電子制御には多重に安全装置がかかっているとトヨタはいうけど、プログラムにはバグが必ず混じってくる、というのはその道の人でなくったって百も承知の常識だよ。


 トヨタには急加速のクレームのデータが集まっているはずだ。日本国内でも3年間に134件の急加速のクレイムが来ているそうだ。前原国交大臣がNHKでそう言っていた。20件以上あれば、簡単に統計処理ができる。【
20件以下でも、t分布を使って処理できるけど、精度が落ちるからねえ。30件以上あれば、これはもう統計処理の対象だ。めったに起こらない事象だからポアッソン分布で処理するのかな。選挙のとき、開票率3%で当選確実が出るのは、出口調査を利用した統計学の成果だね。
 電子制御以前の過去のデータとその後のデータを比較して統計処理すれば、電子制御以後の急加速クレームが有意かどうかは、科学的に(統計学上)簡単に計算できる。そのクレームがたんなるいちゃもんか、あるいは勘違いかはすぐにわかることなのだ。そんな統計学上の計算なんて当てにならない、という意見は正々堂々と無視すればいい。
 トヨタにはどういう情報があり、それをどう処理したかを、公表すればいいし、そうしなければ誰も信用はしない。問題がない(あるいは不可能)、ということの証明は難しい。フェルマーの定理の証明が難しいのと、根本は同じだ。
 こんなことぐらい、トヨタは十分にわかっているはずだと思う。それをしない理由は二つしかない。@トヨタは統計上信頼できるデータを持たないか、Aデータはあって統計処理したら、問題ありと出た、かのいずれかだ。
 信頼できるデータを持たないということは、ありうることだ。販売会社からあがってくるクレームを、トヨタ社内のどこかが握りつぶしてしまっている、ということは考えられる。組織によくある病理の最たるものだろう。上司には気に入られる情報だけを上げる、というパターンで、たいていの会社はこれでつぶれる。「都合の悪い話こそ早く持って来いよ」とたいていの上司は言うが、都合の悪い話を本当に持っていったら、まず間違いなくいやな顔をされる。これはシステムで対処しなければ不可能だ。いちばん簡単で有効なのは、無記名で、最高責任者である社長に報告できるシステムを作ればいい。現代はメールアドレスなんて、タダでいくらでも手に入る。つまりメールの差出人はわからない。それを利用するように仕向ければいい。間違っても、秘書あたりが検閲しないことだ。検閲はしなくても、選別は必要だ。こういう場合はどうしようもないゴミがたくさん混じる。それに、社長が読める量でもないだろう。
 こういう選別こそ信頼できる第三者のコンサルタントに依頼すればいいだろう。
 問題あり、と出たら、これは公表できないだろう。なにしろアクセルが運転者の意思に反して踏み込まれるというのだから。この場合は、速やかに問題点を見つけ出し、解決法を確定して、ダミーの適当なクレームを作り出して、その処理をすると称して一緒に直してしまえばいい。有能な実務家ならきっとそうする。さらに有能な社員なら、マスコミにわからないように被害者にそれなりの保障をするだろうね。


 アメリカにトッド・トレイシー(Todd Tracy)という、クルマ訴訟専門の弁護士がいる。クルマ関連の彼の訴訟数は2200件をこえている。死亡事故か重大事故しか扱わない。その彼が言うには、GM、クライスラーが破綻する前は、訴訟の数が多いのは、GM、フォード、クライスラー、ホンダで、販売台数がいちばん多いトヨタは意外に少なかったそうだ。現時点でも、彼が見るところでは、訴訟の数はホンダがいちばん多いという。トヨタがアメリカ人の反感を買ったのは、言うことがころころ変わるからだという。彼が指摘するのは、トヨタの上層部は中間層や現場が知っていることを知らないのではないか、ということだ。
 突然の加速に関するクレームは、GMやクライスラーが大いに稼いでいた2003年ごろから出始めていたそうだ。だから、GM・クライスラーが経営破綻した腹いせではないだろうという。(
わたしはそうは思わないけどねえ……NUMIのこともあるし。)
 【この節は「Diamond online http://diamond.jp/series/dol_report/10035/ 10年02月24日号より】
 だけど、レクサスで160キロまで加速されたというロンダ・スミスおばさんの証言はひどいねえ。あんな内容の話じゃ、車の免許証を持っている人間ならだれも信用しないけどねえ。100キロ以上の高速で走っている車のギアをいきなりバックにいれて壊れなかったのなら、トヨタはその頑丈さを誇っていい。その上、3000マイル(4,828km)弱走行していたそのレクサスを彼女は他人に売却して、買った人は現在2万7000マイル(43,452km)まで乗っているけど、なんともないと言っているとアメリカの新聞(Wall Street Jounal)に載っているよ。http://jp.wsj.com/US/node_36158/(tab)/article
 もし売る前に直したというのなら、取り扱ったディーラーの技術力はたいしたものだ。トヨタに教えてやってほしい。

 その後、アメリカの連邦裁判所(ご免なさい、正式名称がわかりません)はトヨタのブレーキに欠陥がないことを発表した。つまり、トヨタ車の暴走はブレーキとアクセルの踏み間違いだと認めた。日本の新聞はこの記事をごく小さく報道した。


 わたしはトヨタを40年ちかく乗り継いでいるが、リコールには一度も出会わなかった。ただし、具合の悪いことは一度あった。奇しくもそれは、エンジンの回転数がらみだった。
 排気ガス規制が始まったころ――ホンダがCVCCエンジンを作ったころ、のトヨタのエンジンはひどかったねえ。アクセルを緩めても回転数がしばらく(5秒ぐらいかな)落ちない。もちろんブレーキを踏むとちゃんととまるけど、当時は雪国勤務だったので、冬は危なくて乗れたものじゃない。当時はもちろんマニュアルなのでダブルクラッチもやりづらいし、トゥ&ヒールも調子が狂う。これはプリウスのブレーキ抜けの比じゃないよ。いまなら完全にリコールの対象だろう。
 頭にきたので、ディーラーにもっていき、何とかしてくれというと、それは仕様だとぬかす。新車だったので、買い換えるのも癪だ。自分でやるしかないと、エンジンルームを見ると、小指ほどの茶色のゴムホースで両端を連結された「ちくわ」ぐらいの大きさの金属製円筒の見慣れない部品がついている。【
ぼくは一応、工学部出身なのでエンジンルームはしょっちゅう覗いていた。その部品の役目もだいたい見当はついた。】 そのホースを外してエンジンをかけてみると、回転数はちゃんとすぐ落ちて、調子がいい。むしろその前よりエンジンの回転が安定している。近所を二三回まわったが、快調だ。エンジンルームに臭気もない。ざまあ見ろ、ということで、ホースは外したままで最初の車検まで乗った。車種はスプリンター。下取りに出すときは、元に戻しておいたけどね。このクルマの下取り価格は、3年ちかく乗ったのに、新車で買ったときとほとんど同じだった。きっと指名買いしたつぎの車種のせいだね。つぎに買ったのは、モデルチェンジ直前の1.8LのコロナGL。車のエンジンの調子は元に戻っていた。つまり、普通のエンジンになっていた。この車には何の故障もおきず20万キロほど乗った。わたしがなんとなくトヨタを乗り継ぐのもこのコロナのせいだろう。このコロナ、乗り心地はよかったねえ。前輪のダブルウィッシュボーンのせいかな。でも、ショックアブソーバは4万キロごとに換えなければならなかったけどね。
 ついでの話だけど、当時のディストリビューターは機械式だった。これを自分で、半日ほどかかってセミ・トランジスターに換えたときのエンジンの回転、そのときの感激はいまでも覚えている。とにかくエンジンが滑らかになったのだ。ちょっと踏めばキュンと回転数が上がる。「滑らかに動く」とはこういうことか、と思ったものだ。


 『
バイオエタノールについて
 バイオエタノールの議論がちかごろ聞かれなくなった。自動車会社あたりがおおいに力を入れていいと思うのだが、どうしてだろう?

 今後五百年の間、花形産業の地位を維持できるのは、エネルギー創世産業だろう。今後三百年間ならリサイクル産業も期待できる。
 それ以外は、時代時代の花形産業はあるのだろうが、それがなにかは見当もつかない。
 
 【
蛇足】石油を含めて資源産業は経済的に寿命がある。比較的、短命である。これは世界の動向に連動するからで、掘って無くなるわけではない。石油はいくら採掘してもなくならない。石油の寿命はあと30年なんて言っているのは、石油会社の関係者だけだ。まだたくさんある、と言ったら値段が下がってしまうからだ。売買のための探査だから、30年分ほどあれば十分なのだ。たくさんあったら、それこそ困る。あらゆる資源は、実効的に無限である。その典型が金(gold)だ。わたしが教わったころの教科書には埋蔵量はあと20年分と書かれていた。現在の教科書にもそう書かれている。あのときから20年の何倍かは過ぎたが、いまだ、あと20年だ。本当に20年ならどこかの政府が買い占めるだろうが、そういう話は聞いたこともない。プロはみんな知っている。エネルギー源としての石油は近いうちにその座を天然ガスに奪われるだろう。石油は硫黄などの有害物質を含むが、天然ガスはその点クリーンだからだ。石炭が石油になったのも、取り扱いのしやすさ(石炭は固体で灰がでる)とクリーンさのせいだ。
 わたしは鉱山学部(
当時は採鉱学部といっていた)の出身だが、わたしが学生の時代には、日本国内にも多数の石炭鉱山、金属鉱山があって、けっこう羽振りもよかった。それらは、卒業後15年で、ほとんど閉山した。現在でも国内で稼働している鉱山は、セメントの原料である石灰岩を採掘している石灰石鉱山と金鉱山だけだ。当時、実習で日本国内あちこちの鉱山を見たが、そのときの絶対の禁句があった。「ここは、あと何年採掘できますか?」。入社した鉱山でも、「探鉱さえきちんとしていれば、鉱山はつぶれない」と幹部は本当に真顔で言っていた。
 三井の大番頭であり三井三池鉱山を作った団琢磨(
MITの鉱山科卒業)は、三池炭坑の寿命を今後せいぜい百年と考えていたようだ。石炭積出港として作った三池港の設備が贅沢だ(今でも贅沢な設備だと思う)と批判を受けたとき、「二百年使える港を作っておけば、百年で炭坑がなくなっても感謝されるじゃないか」と応えたそうだ。事実、三井三池炭坑は、三井に払い下げられて百八年で閉山した。
 上に述べたように、地下資源は厳密に言えば、なくならない。経済的に採掘できなくなるだけだ。もしバイオエタノールがガソリンや軽油よりも安価に生産できるようになれば、原油を燃料として採掘する者など誰もいなくなる。もちろん、石油化学の原料にはなるが。
 ちょっと視点を変えれば、地下資源に依存するすべての物質には、採掘コストという宿命がのしかかる。あらたに採掘するよりも、すでに取り出したものをリサイクルした方が経済的に有利だという時代が、もう目の前だ。金よりも安価で、金よりも電気抵抗が少なくて、容易に化学反応をせず、加工しやすい物質が発明されれば、現在のようなppm単位の含有量の金鉱石を採掘するかどうか。
 都市のビルを考えてほしい。コンクリートの建造物の平均寿命は五十年である。五十年後には、今建っている建物はすべて壊され、新しくなっていると考えていい。たとえばここで、コンクリートを含む都市の構成要素の、経済的に有効なリサイクル法を発明できれば、一大産業になる。それ以前に、多くの種類の金属は現在でもすでにリサイクルに頼っている。リサイクルをゴミの分別程度にしか理解できないバカが多すぎる。リサイクルという概念は、哲学とシステムをその中に含む新しいサイエンスの一分野だと思う。
 現時点のリサイクルの問題点は、リサイクルを繰り返せば、品質が劣化するということだ。しかし、これは技術で何とか解決できそうだ。
 エネルギー創世産業にしろ、リサイクル産業にしろ、技術の出番の多い、技術力がものをいう世界だ。これこそ、日本のお家芸じゃないか。【
蛇足終わり

 自動車産業も技術の出番の多い産業だろうが、今のアメリカの自動車産業の現状を見ると、50年後には、自動車産業の主要国はインドと中国に移っているだろう。そのとき日本は何で食っているか、を考えた方がいい。ロールスロイスを持つイギリス、フェラーリを持つイタリアは自動車産業で食っているわけじゃない。ドイツだって、自動車の輸出額を、エネルギー関係産業(
太陽光発電装置、風力発電装置など)の輸出額が最近(07年頃か)超えた。自動車産業は発展途上国にしか育たない。国家が成熟あるいは爛熟すると自動車産業は衰退する。これは気をつけていた方がいい。

 現代文明を維持しようとすれば、エネルギー源は絶対に必要だ。だから、エネルギー源を再生可能な手法で確保できれば、その産業の寿命は、現時点では無限といっていい。
 自動車の燃料をすべてバイオエタノールにしたら、石油の枯渇と排気ガス(この場合、炭酸ガス)の問題を含めて、自動車の難問はおおかた片づく。何より、自動車自体の技術的な問題は何もない。現有の技術で十分に対応可能だ。
 三菱と日産は本気で電気自動車(バッテリーカー、EV)を目指すようだが、技術的なめどは立ったのだろうか? 1回10分間ほどの充電で、500キロほど走行できなければ、ハイブリッドには太刀打ちできないのは、誰が考えたって明瞭。コストの件もある。高性能のバッテリーは高価で、とうていハイブリッドにはかなうまい。軽自動車程度のバッテリーカーはできるかもしれないが、それで国家の屋台骨を背負うにはいかにも力不足だ。
 自動車の燃料をバイオアルコールにする場合の唯一の問題点は、その供給量だろう。価格(つまりコスト)は法規で操作できる。
 現在、バイオエタノールの原料はトウモロコシなどの穀物だが、これは絶対にまずい。まともに食料と飼料に競合する。現在、バイオエタノールが効率よく生産できるのは、サトウキビだ。砂糖は食料とはいえ、米やトウモロコシとは使用量も立場も違う。それで、とりあえず、サトウキビを原料にしたバイオエタノールを燃料に混ぜる。供給量によって添加量を増やしていけばいい。

 現時点でのバイオエタノールの生産能力は0.55L/m2である。07年の国内の自動車の燃料(
ガソリンと軽油)の使用量は93,143千キロリットル。国内の自動車用燃料のすべてをバイオアルコールでまかなおうとすると、それ専用に169,351平方キロメートルの土地が必要になる。これは、北海道の面積のおおよそ倍の面積になる。

 サトウキビは熱帯/亜熱帯の植物なので、沖縄県だけの生産量では間に合うわけがない。
 日本の商社かあるいは自動車メーカーが乗り出して、外国でサトウキビからバイオエタノールを現地で生産して、製品だけを輸入する必要がある。日本資本で作ったバイオエタノールは必ず全量買い入れるように法規で規制する。国内の自動車燃料のエタノール混入量はこれも法規で規制する。エタノール生産量が増えるにつれて、混入量を次第に増やしていく。それでも、現在のエタノール生産技術の水準では、30%程度の混入が上限か。

 それと同時に、バイオエタノールの生産技術を改良して、対象原料植物の拡大、遺伝子組み換え技術などを有効に使って、生産量の拡大を図る。
 サトウキビはpH4程度(
自然の土壌の酸性度の上限)の強酸性の土壌でも育つ。沖縄の現場で、仕事上必要があって、サトウキビ畑の土壌の酸性度を計測したことがある。カヤしか生えないような荒れ地でも平気で育つ。野菜などには必要な、土作りをする必要がない。仕事で知り合った琉球大学農学部の先生が言っていたのだが、沖縄にサトウキビを導入したので、農家が土作りをしなくなったそうだ。サトウキビが沖縄農業を荒廃させた犯人なのだそうだ。これらのサトウキビの生育条件は、熱帯の荒れ地を開墾して、栽培するのに最適の条件だ。とりあえずサトウキビで始めるのである。もっと条件のいい植物が見つかれば、そちらに舵をきればいい。

 現在バイオエタノールの最大生産国はブラジルで、サトウキビから作っている。砂糖を絞ったあとの残滓をバガス(bagasse)というが、これを燃料に使ってブラジルでは現在、エタノール生産用のための電気を発電しているし、余剰電力は売電していて黒字である。サトウキビからつくったバイオエタノールのエネルギー収支は、もちろん黒字である。

 バイオエタノールは自動車会社が作るのが一番いいと思う。もしかすると、50年後の日本の自動車会社は、エタノールの生産で食っていた、ということになるかもしれない。セルロース系バイオマスをエタノール化するRITE-HONDA法はどうなったのだろうか? あれはすばらしい技術だと思う。ぜひ早く実用化してほしいものだ。

 石油は化学工業に最適の原料だ。しかも、有限の資源である。これを燃料として燃やすのは本当にもったいない話だ。燃料は再生可能なバイオエタノールを使うのが一番いい。それには、法規制が絶対に必要だ。自由競争に任せていたのでは、時間がかかる。
 元首相の小泉さんは沖縄のサトウキビからエタノールを作る事業をずいぶん応援していたようだが、あの事業はどうなったのだろう? 尻切れトンボにするには惜しい試みと思う。

 09年8月上旬の記事によると、6社(日石、三菱重工、トヨタ、鹿島、サッポロエンジニアリング、東レ)連合が、セルロース(
つまり草木)からバイオアルコールを作ることを目指しているそうだ。目標は40円/gで20万kg/年、これを2015年までに。これは本気だと思う。これはすごい。ガソリン税の53.8円を加えても、93.8円/Lの燃料だ。ぜひ実現してほしい。6社の顔ぶれも申し分ない。
 各社の役割分担もわかっている。1)原料の選定と栽培がトヨタ自動車、2)収穫、運搬、貯蔵が鹿島、3)原料の前処理が三菱重工、4)酵素糖化が東レ、5)濃縮、脱水がサッポロエンジ、6)全体のプロセスコントロールが日石。
 これが実現すると、自動車の燃料は解決する。日本の未来もしばらくは明るいと思う。
 2004年の統計では、石油量のほぼ半分を運輸部門が消費している。石油は国内全エネルギーの半分を占めるから、国内エネルギーの25%は運輸部門、つまり自動車が消費していることになる。6社連合の計画が実現すれば、「炭酸ガス25%削減」の民社党「大口」公約は可能かもしれない。

 25%の炭酸ガス削減(1900年を基準とするそうだけど)は、今のままでは石油石炭天然ガスの輸入量を25%減らす事なんだよ。これじゃ日本の経済は崩壊する。公約を守って、経済成長も可能にするには、原発を増やして、バイオマス燃料を増産するしかない。
 あとひとつ手段がある。資源エネルギー庁のホームページを見ていて気づいた。1973年(つまり第一次石油ショック)を1としたとき、2005年では、産業部門のエネルギー消費は1.0倍だ。この間にGDPはほぼ2.3倍になっている。産業部門は省エネに努力したわけだ。この間の民生部門のエネルギー消費率は2.6倍、運輸部門は2.1倍だ。運輸部門はまあ妥当だろう。なお、産業部門・民生部門・運輸部門の05年のエネルギー消費比率は概算50:25:25である。
 問題は民生部門だ。つまり、家庭の電気、オフィスビルの照明・冷暖房だ。ここのエネルギー消費を押さえるには、一般家庭・オフィス用の電気代の値上げが有効だろう。現在の単価の倍ぐらいにする。3倍でもかまわない。その代わり、太陽光発電の電力会社の買電単価も同じにする。こうすると、太陽パネルの消費量も増え、その周辺の技術革新も進むだろう。蓄電の技術もいっそう改良されるに違いない。
 この案、実効性・即効性があると思うけどなあ。


 『新車に換えた!
 09年3月に車を換えた。こんどはヴィッツ。1.5LのI'LL(
これのシートが皮革だというのが、このグレードを選んだ理由のひとつ)というタイプ。ヴィッツのハイブリッドが出るまでのつなぎのつもりだ。それはたぶん11年に出るといわれている。10年にはフィットのハイブリッドが出かもしれないので、その出来がよかったら、そちらに代えるかもしれない。最近、こんなにばたばた車を変えるのには理由がある。なにしろ、人生の残り時間が少ないのである。(^^;)

 ぼくが車を選ぶときの第一の基準は、値段(
もちろん総価が安いほうがいい)と車両重量1トンあたりの馬力数だ。このトンあたり馬力数が100を切ると、運転していていらいらするというのが、今まで45年の経験で得た結論だ。このあたりで見当をつけて、試乗する。
 1.5Lのヴィッツではこの数値が104(ps/t)で、このあたりが下限だろう。ヴィッツには1L、1.3L、1.5Lとあるが、1.5Lを選んだのは、そういうわけである。
 ちなみに、「軽」のスタンダードであるアルトでは、74程度なので、遠出をしなくなるまで、「軽」はぼくの選択対象にはならない。
 1.8Lプリウスではこれが134(もちろんモーターも合わせて)で、けっこう加速はいいのだ。カローラ1.5Lではこれが96である。カローラに乗るのなら1.88Lになる。3Lのクラウンはこれが150になる。高級車といわれる所以だ。
 ホンダのインサイトは合計102馬力で1.19トン、つまり86しかない。プリウスのモーターは82馬力もあるが、インサイトのモーターは14馬力しかない。この差が歴然とでている。しかも、両車の値段(
プリウスは在来型)は全く同じである。トヨタからホンダに乗り換える人はほとんどいないはずである。しかしぼくは、ホンダが好きだ。インサイトが189万円という値段を付けなかったら、トヨタは新型プリウスを205万、従来型を189万という値段では売り出さなかったはずだ。日本の乗用車のこれからの潮流をホンダは作ったと思う。新型プリウスの値段はずっと前からいまの値段に決めていたそうだが、そんなことは言わないほうがいい。誰が聞いたって、しみったれた負け惜しみにしか聞こえないよ。

 今後ホンダに作ってもらいたい車は、インドのナノのような30万円の超廉価版だ。雨が降っても濡れない「カブ」、田舎の足、というコンセプトだ。車内は鉄板むき出しでいい。クーラーもいらないし、ラジオもいらない。車重が軽いからブレーキブースターもパワーハンドルも不要。ただし、トランスミッションはツーペダルにしてほしい。故障率は日本車の水準を維持してほしい。車輪はミシュランのトウィールのような形式のパンクレスにしてほしい。規格はもちろん「軽」だ。
 高級車なら、英国だってイタリアだって作れる。ちょっと前まではアメリカでも作っていた。これらの国の自動車産業が凋落したのは、世界中に売れる廉価な大衆車を作れなかったか、作ろうとしなかったからだ。ロールスロイスでは国民は養えない。歴史に学ばない・学べない奴はバカだ。そうはいっても、50年後の自動車王国はインドと中国だろう。もしかするとロシアも加わっているかな。これはアメリカの自動車産業の現状を見ると、そう断定せざるを得ない。自動車産業は準先進国向きなのだ。
 田舎では車が必需品。必需品は必要な要件を満たしていれば、安ければ安いほどいい。その必需品を30万円で作ってほしい。この車では使い勝手が悪いという状況のときには、お金がある人は、セカンドカーを買えばいいし、そうでない人はそのときだけ、要件を満たすレンタカーを借りればいい。日本人の車に対するレベルは今でもすでにこの程度には成熟しているだろう。
 30万円の軽、きっと売れると思うけどなあ。

 インサイトのハイブリッドエンジン(102馬力)をフィットに積めば、おそらく100程度になる。「出来がよかったら」とは、100を切らなかったらということだ。
 プリウスのエンジン(1.5L)をヴィッツに積んだら、全馬力は192馬力(110ps+82ps)、車重は1.6トン程度(ふつうのヴィッツより100キロ増し)となり、数値は165となり、これはクラウン以上で、オーバースペックだ。実際に出てくるときには、1.0Lのエンジン(71ps)に50ps程度のモーターだろうから、トンあたり馬力は1.04となり、まあまあだろう。
 ディーゼルはあきらめた。排ガス規制が厳しくて、乗用車に積むにはコストがかかり、ハイブリッドと太刀打ちできないので、しばらくは出てこないだろう。
 
 ぼくがトンあたり馬力にこだわるのは、年4、5回の片道1000キロ以上の長距離運転をするからだ。これはぼくの趣味だから、やめるわけにはいかない。長距離運転をしなくなったら、1Lのヴィッツクラスが一番いいだろう。片道200〜3000キロ程度の運転なら、日本車ならどんな車(
軽でも)でも問題あるまい。






温暖化』より

 2008年1月、インドのタタ自動車が28万円(
インドの通貨で1ラーク=10万ルピーというきりのいい数字)の乗用車を売り出したことは、もしかするとこの変化の象徴かもしれません。この「ナノ」(これがこの車のネーミング)は、従来の車を単純にコストダウンしたものではありません。材質、組み立て方法、販売方法、アフターサービスなどすべてを従来の方法とはまったく異なる、新しい手法を取っているようです。もちろん、インドの排気ガス規制もパスしています。スズキの鈴木会長も、現物を見て、「わが社でもこれまで安くできない」と兜を脱いだそうです。スズキがインドで作っている最廉価版がナノの約2倍だといいます。
 エンジンはRR(!)の623cc、インゼクションでバランサー付きの2気筒(
これは日本の一昔前のエンジンをぱくったのでしょうか!)。最高速度は104キロ、排気ガスは「ユーロ4」をクリア。あとちょっといじれば日本の規制もクリアするでしょう。格好は三菱の「i」を一回り小さくしたようなもの。もちろん、エアコンやラジオはついていません。
 しかし、そのつもりになれば、この値段でなら、日本メーカーでも作れるのではないでしょうか? 日本の部品メーカーもナノにはたくさんの部品を供給しています。鋼板を始め、ハンドルはジェイテク、ライトはスタンレー、ワイパーはデンソー、スイッチ類は東海理化学、オイルシールはNOK、配線類は矢崎総業だそうです。
 なにしろ、パワステなし、ブレーキブースターなし、エアバッグなし、もちろんクーラーもラジオもなし。シートはフランス車にならってハンモックでいい。スズキかホンダならエンジンはバイクを転用すればいい。田舎の足として、売れると思うけどなあ。必要なのは、発想の転換だけと思います。本田宗一郎の意見を聞きたいなあ。
 トヨタが今の地位を築いたのは、クラウンやレクサスを売ったからではありません。カローラとヤリスが世界中で売れたからです。ホンダの基礎は50ccのカブ(
いままでの最高の名車だといった人がいます。)が築きました。いわゆる「一般大衆」に受け入れられる製品を作ることができたものが、成功者でしょう。
 ナノはタタ自動車では組み立てません。組み立てるのは販売会社です。それが可能なように設計したそうです。つまり、自転車の売り方と同じです。インドの経営者・技術者がきっちっりと消費者のほうを向いて仕事をしているのが、本当に末恐ろしいと思います。
 開発途上国ではバイクの家族乗り(
つまり3人乗り、4人乗り。台北の繁華街でバイクの6人乗りを見たことがあります。そのとき台湾の友人が言うには「あれは7人乗り。奥さんは明らかに妊娠している」)はよく見かけます。こういう危険な状態をなくしたいというのが、1ラークの車を作らなければならないと考えたラタン・タタ(Ratan Tata)会長の決意・動機だったそうです。
 タタ会長のこの考えを聞いた自動車関係者は、鼻先であざ笑ったそうですが、ルノー・日産のカルロス・ゴーンただ一人が真剣に聴いてくれたといいます。そのことに関するタタ会長のコメントです。In all fairness,Carlos Ghosn has been the only person in the automotive area who has not scoffed at this.(
THE TIMES OF INDEA 08年1月11日付け
 ゴーンがでてきたからには、ゴーンを日産に招聘した当時の塙社長のことも言っておく必要があります。どうすれば日産が再生できるかは、とうぜん塙社長にもわかっていたでしょう。しかし、それを日本人がやっては絶対にうまくいかないこともわかっていた。何しろ、自分の先輩たちが社長をしている系列会社なども整理統合しなければならないからです。血も涙もなく、ただ目標達成のために会社を変革することができるのは、日本人とは縁もゆかりもない外国人を社長に据えて、あとは口出ししないとするほかないでしょう。たいていの不振会社の社長は、これぐらいわかっていますが、これを実行できたのは、塙社長ぐらいです。偉いと思います。


日乗』より

 問題は車だ。タクシーを使うほうが(
旅行などに使用するときはレンタカーを借りればよい。)、車を保有するよりも安上がりなのだが、自家用車の利便性はどうしても捨てがたい(と妻は言うし、ぼくもそう思う)のだ。
 8年ほど日本を離れていたが、その間の車の進歩には目を見張る。日本国内で使うのなら、1.5L程度のコンパクトカーで十分だね。プリュウスに換えるつもりだったけど、モデルチェンジで「3」ナンバーになったのでやめた。日本の道路幅には、3ナンバーは広すぎる。
 それに、いちど背の高い車を使ったら、背の低い車には戻れないなあ。スバルのインプレッサに乗ってみたら、その天井の低さに辟易した。

 リタイア後のぼくの計画は、日本国内の自動車旅行だ。二桁までの国道はすべて走破したい。そのためには使用する自動車に当然条件が付く。
 燃費がいいこと。貧乏な年金生活者には当然だ。だから、ディーゼルが望ましいが、現時点(07年5月)では、ほしい車種は売っていない。(ぼくはディーゼルのフアン。低回転のトルクが大きいから、とばさなければ、使いやすい
。それに燃費は同クラスのガソリン車の三分の一だ。燃費だけ比較するとハイブリッドなんか目じゃない。車体もトヨタで比較すると、ハイブリッドは220万円(車体のみ)だけど、プロボックスディーゼル(商用車。現在では乗用に使えるのは、これしかない。ただし、オートマチックはない。)は150万からおつりが来る。現時点では、ハイブリッドは高くつく。ただし、加速するときのなめらかなフィーリングという別の魅力はある。しかし、車体の差額70万円は、ふつうのタイプの乗用車で概算7万キロ(ふつうに乗れば7年分の燃料費だよ!)走行するガソリン代に相当する。

 ところで、日本のメーカーはどうしてシーケンシャルマニュアルの車を設定しないのだろう? F1だって、シーケンシャルマニュアルの時代なんだよ。 唯一の例外であるトヨタのMR-S(07年に製造中止)についているやつなんか、評判いいのにねえ。しかも安い。マニュアルとの差が8万円弱なんだからね。カローラのオートマとマニュアルの差が8.4万円。ポルシェだとマニュアルとシーケンシャルマニュアルとの差は70万円ほどになるそうだけどね。

 計画を完遂するには、春夏以外にも雪国も走らなければならないので、いつ雪に出会うとも限らない。そのためには、できるだけ四駆がいい。(
ただしこれは必須条件じゃない。) 連れあいが典型的な方向音痴なので、カーナビは絶対に必要だが、性能から考えてポータブルナビでいい。これなら5万円程度(09年3月現在)で買える。
 以上を満たして、1.5L(ディーゼルなら2.0L)以下の排気量で、できれば「5」ナンバーのオートマチックであること。結構狭い道も走るからね。

 こういう条件を満たす車が出たらすぐに買い換える予定だ。一般論としても売れると思うんだけどねえ。
 現時点では、トヨタのプロボックス・サクシードにコモンレールのディーゼルがあるけど、オートマチックがないんだよなあ。シーケンシャルマニュアルでもいいよ。商業車にこそシーケンシャルマニュアルじゃないの。(バネットのようなタイプは嫌だしね。)



ドイツ赤ゲット』より:

 アウトバーン(発音に忠実に書けばアォトバーンだそうです。)での乗用車の推奨上限速度は130km/hです。しかしトラックはどこでも80km/hが制限速度だそうです。(これはWikipediaにも載っている。
 乗用車はこれを超えても罰金があるわけではないのですが、みんなこれを守っているように見えた。われわれのバスは100km/h〜120km/h程度で走っていたので、当然乗用車からは追い抜かれる。しかし、同類の観光バスやトラックなどからは追い越されたことはありませんでした。乗用車に事実上制限速度はないのだが、みんなおとなしく走っているという感じでした。日本の自動車雑誌なんかで読んだ「速度制限のないアウトバーンでは、みんなばんばん飛ばしている!」という話とは明らかに違います。雑誌の記事なんか信用はしていないが、それでもあのアウトバーン神話はでたらめだからね。

 アウトバーンの通常の本線上に、夜間照明は見かけませんでした。本線でも、側道側のガードレールはできるだけ省略してあります。通行料がタダなので、これは理解できる。意外だったのが、本線にコンクリート舗装が結構あることです。進入路、退出路にもコンクリート舗装が多かったようです。コンクリート舗装は構造上、継ぎ目が必要なので、ここを走ると、騒音がひどい。鳥栖インターからすこし先の長崎道(
もうアスファルト舗装にオーバーレイしたのかな?)を走った人ならその程度がわかるでしょう。

 アウトバーンを走る車は、昼間でもライトをつけていました。これは例外がなかったから、法規なんかで、そう決まっているのでしょう。これは日本でも見習ったほうがいい。後続車の見分けがはるかにいいし、従って、事故減少にもつながるはずです。

 アウトバーンの標識は実に見やすい。これはローマ字のせいでしょうね。視認性――一目見てぱっとわかることは漢字の長所だと思っていたけど、考え直してみる必要がありそうです。行き先が外国の標識(
ドイツの道路で行き先はウィーンなど)を見かけると、さすが大陸だなあ、と思う。オーストリアにはいると、行き先がプラハだったりしました。
 ただし、本線から降りるときの標識は、いきなり標識が目にいるだけです。「1km先どこどこ入り口」なんて親切さはない。これは日本のほうが親切です。進入路、退出路にはガードレールなんか、あまりついていない。どこかの田舎の脇道からとつぜん高速道、という感じでした。
 
 無料のアウトバーンが国内に張り巡らされているせいか、それ以外の道路は案外狭いし安っぽい。たいていの郊外の道は、片側1車線の2車線です。「ロマンチック街道」(
文字どおり「ローマの街道」の意味なんだって。「ローマ街道」と訳したほうが正確なようです。)とか「古城街道」とか「アルペン街道」を通ったのですが、これがすべて、2車線でした。ボクの感じでは、日本の市町村道並です。
 これは感じだけですが、道路に関しては、アウトバーンが無料であることをのぞけば、日本のほうが相対的によろしい。これは意外でした。自動車道、国道などで、透水性舗装の箇所は一カ所も気づかなかった(
透水性舗装のうえを通れば、タイヤの出す音質が低音域に傾くので、すぐにわかるはずだ)。これも意外でした。

 アウトバーンに設置されているサービスエリア、パーキングエリアにある諸施設は民営だそうです。だから、エリアのトイレが有料だったり、無料だったりします。もちろん、有料のトイレはホテルのようにきれいで、清潔です。料金は0.5ユーロ(75円ぐらい)ですが、ちゃんときれいな領収書(
磁気テープ付き)が自動的に発行されて、その領収書がその売店でのみ、同額の金券として通用する。面白いアイデアですね。0.5ユーロでは水も買えないから、なにがしかの追加のお金を出して、全員が水やコーラ、チョコレートなんかを買っていました。これは、西洋人も日本人も同じでした。
 サービスエリアに関しては、日本のほうが使いやすいし、設備もいいと思います。通行料が有料(
それもかなり高価!)だからあたりまえか。
 アウトバーンのガソリンスタンドは、ぼくたちが止まったところは、みんなセルフ方式でした。ドイツのガソリンは高い。リッターあたり1.024ユーロ(
154円/後方に写真あり。1ユーロ=円)前後でした(このとき日本では円ぐらい)。乗用車でもディーゼルが多いわけですね。このとき軽油が0.964ユーロ(145円)だったから、燃費だけを比較するとガソリンの半分でしょう。日本ならこれが実質三分の一ですからね。車体購入費と燃料費を考えると、ハイブリッドよりもディーゼルのほうがはるかに有利です。排気ガスの規制が日本よりもはるかにゆるいヨーロッパで、ディーゼル乗用車が多いのは当たり前です。

 ドイツのサービスエリアには、たばこの吸い殻はどこにも散らかっていませんでした。しかし、オーストリアのサービスエリアに入ったとたんに、あたりに吸い殻が散乱しているところがあって、情けない話だけど、妙にほっとした覚えがあります。

 走っている乗用車はもちろんドイツ車が多い。トラックはメルセデス、マン、スカニアだが、バスに関しては、ボクがしらないメーカーが多かった。台湾ではボルボのバス、トラックをよく見たのだけど、ここでは一台も見ませんでした。
 乗用車では、トヨタとホンダとマツダをよく見かけましたねえ。とくに、マツダがよく頑張っている。これはロータリーエンジンのイメージの貢献でしょうか。それにニッサンとスズキも数台見かけた。スバルと三菱は、たぶん一台も見なかったと思います。フランスの乗用車はけっこう多いが、イタリアの乗用車はたぶん一台も見なかった。オーストリアライセンス(
Aとウィーンの紋章の表示があったから多分、そうだ。)のチェコのシュコダ(Skoda、スバルのようにWRCでがんばっているメーカー。)をドイツで2台見ました。どういうわけか、ポルシェには一度も出会わなかった。バイクはハーレーしか見ませんでした。これは意外でしたねえ。BMWの大排気量のバイクがどんなふうに手を加えられて使われているか、見たかったんだけどね。【アウトバーンのサービスエリアで休憩したときに、そこに駐車している車をかならず見て回りました。そのときの感じをもとに書いています。
 数えたわけではないが、アウトバーンを走っている乗用車(
日本車を含めて)の60%ぐらい(全くの見た感じ、つまり大ざっぱな話だけど)はディーゼル車でした。
 ただし、追い越しのときに薄い黒煙を吐いていた乗用車もかなりいた。コモンレール方式のディーゼルなら黒煙なんか吐かないから、古いタイプのディーゼルもかなり走っているということでしょう。
 なお、ドイツでは土・日曜日には、許可を取った大型車(
実際には、主として観光バス)しか走れないそうです。だから、土日なら車の流れはいいし、市街地でも渋滞らしいものもありませんでした。

 車に関して、予想外のことが一つありました。暗色の車が日本よりもはるかに多いのです。安全(
バックミラーやカーブミラーでの視認性)を考えれば、明るい色の車を選ぶはずなのだが、そうではありませんでした。ドイツの合理性も、車の色にまでは及んでいないのでしょうか。ドイツでは黒色の車は発売禁止、という記事をちゃんとした週刊誌か雑誌で読んだことがありますが、あれも〈がせネタ〉だったんですね。

 今回通過したドイツ・オーストリアの道路とアウトバーンは、フランクフルト→ハイデルベルク→(古城街道)→ローテンブルク→(ロマンチック街道)→ノイシュバインシュタイン城→(アルペン街道)→ザルツブルク→ウィーン で、アルプス寄りの山地です。上記のハイデルベルクからウィーンまでの道のりは、約1010kmでした。日本なら、だいたい下関から東京(1030km)まででしょう。日本の自動車道なら、その間にいくつトンネルがあるか、とくに中国道は、多すぎて数える気にもなりません。東京から長岡までなら250キロ、その間にトンネルの数は多数、高盛り土のところ多数、高架橋も多数。ドイツ・オーストリアの場合、長いトンネルは下記の国境近くのものだけでした。あと、ごく短いトンネルが二つ三つあっただけでした。高い高架橋も一カ所しか気づかなかった。高い盛り土も高い切り通しもありませんでした。
 なにしろ、海岸から470kmほど内陸のハイデルベルク(
東京から高速道路沿いに4000kmほど走ると、新潟に出て日本海だ。)を流れているネッカー川の海抜が100mほどなのです。【海岸線からみちなりに20キロ未満の平地にある我が家の標高が48mです。】 ハイデルベクからかなり上流まで、大きな船が遡行していました。アルプス山地をのぞけば、ヨーロッパは平坦なのです。
 日本の自動車道と比べたら、その平坦さがわかるし、建設費も日本の五分の一(
もしかすると十分の一)以下でしょう。維持費も日本の半分以下でしょう。なにしろ、周囲の牧場や畑と同じ高さの自動車道・国道が坦々と続くだけなのですから。
 ドイツでは、自動車道を無料にできた理由のひとつが、すこしはこのあたりにあるのでしょうか。



自己紹介』より

 趣味ではないが、職業柄(現場責任者だったんだからね)、くるまの運転は苦にならない。
 日本にいたときは、一回目の車検までに、つまり3年で、だいたい15万キロは乗った。これくらい走ると、燃費を考え(車は自分持ちで、燃料費・オイルなどの維持費は会社持ちだったから、燃費なんて考えなくてもいいんだけど、貧乏性だからね)、当然、ディーゼル車(ディーゼルはガソリン車にくらべて、おなじグレードなら10円は高いんだよ。車に会社の補助はなかったから、ぼくもバカだねえ)になる。
 それに、ガソリンエンジンのように高圧の電流を使っていないだけ、エンジンの信頼性はディーゼルのほうがだんぜんよろしい。われわれ土方(どかた)の使うくるまは、故障しないことが第一。第二以下はない。

 日本で使っていた「ターセル」(もちろん1.5リッターの旧型のディーゼルね)は3年でちょうど世界四周、きっちり十六万キロほど走った。1日に約150キロ。いつそんなに乗ったんだろうという感じ。このくるまは、高速道路なら29q/リッター(どうしても30qには届かなかった)は走った。

 30万キロか、9年(女房のくるま。9年で2万キロぐらいしか乗らない。こんな使い方だと、「軽」でじゅうぶんだと思うんだけどねえ……)を買いかえの目安にしている。買いかえるごとに一クラスずつさげていくと、日本では、実質的に、いつもおなじレベルのくるまに乗っていることになる。それだけくるまがよくなっているというわけ。二番目のコロナは4〜5万キロあたりでショックアブソーバがへたって交換したが、ディーゼルのターセルは20万キロでもアブソーバは交換しなくてもよかった。そのかわり乗り心地はコロナのほうがはるかによかった。車格もあるだろうが、乗り心地と耐久性を交換したのだろうか(
アブソーバのメーカーはいずれもカヤバだと思う。)? ぼくはそのほうが歓迎だけどね。
 コロナに始まり(最初のスプリンターは車検前に換えた)、カローラが2台、ターセルで4台目だから、歳がわかろうというものだ。

 このつぎに買うのは、宗旨をかえて、プリュウスこのくるまが出て以来、アメリカもドイツも、くるまでは二流国になりましたねえ。「あぁ、メルセデス、普通のくるまね」という感じ)にきめかけていたが、考えが変わった。モデルチェンジでプリュウスが「3」ナンバーになったからだ。MCまえは5ナンバーだったのに。狭い日本で3ナンバーなんて、とんでもない話だ。【
3ナンバーだから、税金が高くなることはない。税金は、排気量と車重(と購入価格――これは納税時に一回だけ)で決まる。
 だから、コモンレール式のディーゼル乗用車(軽のディーゼルでもいいけど。)が出てくるのを待っている。現時点では(2008/1)、適当な乗用車は未発売だ。2010年頃になるらしい。

 ここにきて(07/5)プリウスに乗らざるをえなくなってきた。連れ合いが一度はプリウスの所有者になりたいというのだ。ぼくの計算では、ハイブリッドよりもディ